需給動向 国内

◆牛 肉◆

肉専用種子牛などの生産費、前年度をかなりの程度上回る
―平成20年度生産費公表−


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省は21年12月25日に20年度の肉用牛の生産費を公表した。これによると、1頭当たりの資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という。)は、飼料費を中心に物財費が増加した結果、乳用おす育成牛及び交雑種育成牛を除いて増加し、1頭当たりの所得では子牛(肉専用種)を除き、軒並み赤字となった。

 畜種別では、子牛(肉専用種)、一頭当たりの全算入生産費は前年と比べ8.4%とかなりの程度増加し552,521円となった。増加した要因は、労働費は前年並みであったものの、配合飼料価格の上昇により飼料費が178,616円(同19.4%増)と大幅に増加したことなどによる。

 繁殖めす牛1頭当たりの粗収益は、和子牛市場価格の低下により394,500円(同20.9%減)と大幅な減少となった。しかし、1頭当たりの所得では、前年より144,892円低い54,784円(同72.6%減)と大幅に下回ったものの、黒字を維持した。

 これに対し、肥育牛(去勢若齢肥育牛)は、1頭当たりの全算入生産費は、前年と比べ8.0%とかなりの程度増加し1,055,310円となった。増加した要因は、もと牛導入時期(主に平成18年8月〜19年7月)におけるもと畜費が増加したことや、配合飼料価格の上昇により飼料費が335,141円(同19.6%増)と大幅に増加したことなどによる。

 1頭当たりの粗収益は、枝肉卸売価格が低下したことから878,605円(同7.4%減)となり、生産費を下回ったことから1頭当たりの所得は、前年より147,293円と大幅に減少し、マイナス107,481円と平成14年以来6年ぶりに赤字に転じた。同様に家族労働報酬においても前年より146,807円減少し、マイナス120,204円の赤字となった。 和牛肥育農家の経営状況は、配合飼料価格と素牛価格は下落傾向にあるものの、枝肉価格が低迷しているため、昨年度以上に厳しい状況が続いているものと考えられる。

図1 去勢若齢肥育牛の生産費(一頭当たり)
表 肉用牛の生産費及び収益性

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