需給動向 海外

◆豪 州◆

2009/10年度の生乳生産量は前年度比3.1%減の910万キロリットルの見込み


◇絵でみる需給動向◇


2009/10年度(7〜10月期)の生乳生産量は前年同期比5%減

 デイリーオーストラリア(DA)が発表した直近のデータによると、2009/10年度(7月〜翌年6月)の7〜10月期における生乳生産量は前年同期比5%減の327万キロリットルとなった。州別に見ると、最大の酪農地域であるビクトリア(VIC)州、またVIC州同様加工向け生乳生産が大半を占めるタスマニア(TAS)州は、初春の低温、湿潤気候および低い初期生産者乳価により一部の酪農家が経産牛飼養頭数を削減したこともあり、いずれも同7.3%減の216万3千キロリットル、20万6千キロットルと大幅に減少した。また、南オーストラリア(SA)州が同2.8%減の20万9千キロリットル、西オーストラリア(WA)州が同1.8%減の11万9千キロリットルといずれも減少した。一方、ニューサウスウェールズ(NSW)州が同3.3%増の38万5千キロリットル、クイーンズランド(QLD)州が同6.8%増の18万8千キロリットルと増加した。また、豪州農業資源経済局(ABARE)が2009年12月に発表した農産物需給予測によると、2009/10年度の生乳生産量は、前年度比3.1%減の910万キロリットルと見込まれる。この要因として、生産者乳価が同19.8%安の1リットル当たり34豪セント(29円:1豪ドル=84円)と見込まれること、また経産牛飼養頭数が同2.7%減の160万頭と見込まれることなどを挙げている。なお、生産者乳価については、乳製品需要回復の兆しを受けて、10月以降引き上げられている。

図12 月別生乳生産量の推移

2009/10年度の乳製品輸出量は大幅に減少する見込み

 DAによると、2009/10年度7〜10月期の主要乳製品輸出量は、同期間の乳製品生産量が大きく減少した一方、全粉乳を除き増加した。今後は生乳および乳製品生産量が減少する中、主要乳製品輸出についても減少すると予測される。ABAREは、2009/10年度の主要乳製品輸出量について、バターは前年度比19.0%減の5万7千トン、チーズは同7.1%減の13万6千トン、脱脂粉乳は同12.5%減の14万2千トン、全粉乳は同4.6%減の11万1千トンとすべての品目で減少すると予測している。

図13 乳製品輸出量の推移

2009/10年度の酪農経営は前年度の黒字から一転して大幅な赤字へ

 豪州では、国内の市場規模が小さいため、生乳生産量のおよそ8割は加工向けであり、また製造される乳製品の6割程度が輸出に向けられる。このため、輸出の減少による酪農家の収益への影響が懸念される。

 こうした状況を反映し、ABAREは、2009/10年度における酪農家所得(粗収入―経常費用)は、1戸当たり平均44,000豪ドル(3,696,000円)と、前々年度(131,650豪ドル(11,058,600円))や前年度(89,700豪ドル(7,534,800円):推計値)に比べ、かなり低い水準になると見込んでいる。

 この原因としては、粗収入については、生産者乳価、特に加工原料用乳価が低下した上、生乳生産が微減したことに伴い大幅に減少したのに対し、経常費用については、粗飼料や肥料などの資材価格が引き続き低下したとはいえ、その減少が限定的であったことによる。

 この結果、酪農家の収益(酪農家所得+流動資産の評価額の変化―減価償却費―家族労働費)は、前年度の黒字から一転して55,000豪ドル(4,620,000円)の大幅な赤字になるとみられる。


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