需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

11月のチーズ向け生乳処理量、前年同月を上回る


◇絵でみる需給動向◇


  農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、生乳のチーズ向け処理量は、21年1月以降、長期的な景気低迷による外食を中心とした消費の減少と輸入チーズ価格の下落による原料チーズとしての輸入品の増加により、国産チーズの需要が落ちこんだ結果、前年同月を下回って推移していたが、10月は42,518トン(前年同月比9.7%増)と9カ月ぶりに前年同月を上回り、11月においても41,343トン(同12.3%増)と引き続き前年同月をかなりの程度上回って推移した(図5)。

 チーズ向け処理量の増加の要因は、21年10月にホクレン農業協同組合連合会が行ったチーズ向け乳価引き下げが挙げられる。引き下げは1995年以来であり、ゴーダ、チェダー向けが現行のキログラム当たり55円から9円引き下げの同46円、その他向けが同55円から5円引き下げの同50円とした。

 今回の引き下げにより、ナチュラルチーズの生産拡大が促され、バターや脱脂粉乳向けの乳量が抑えられることから、累積するバターや脱脂粉乳の在庫の積み増しに歯止めがかけられることが期待される。

 なお、プロセスチーズを含むチーズ全体の生産量は、21年6月以降は前年を上回って推移し、11月は11,593トン(前年同月比13.5%増)となった。うち直接消費用ナチュラルチーズは2,235トン(同20.9%増)となっている。

 長期化する景気の低迷で消費者の節約志向が依然として続く中、今回のチーズ向け乳価の引き下げにより輸入チーズと置換える国産ナチュラルチーズの生産量をどれだけ上積みできるか、さらには生乳全体の需給引き締めにどの程度貢献できるか、今後の動向が注目される。

図5 乳製品向け処理量(対前年同月比)

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