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オランダで2,100名を超えるQ熱患者を確認


Q熱とは?

 Q熱とはコクシエラ菌(Coxiella Burnetii)という病原体によりインフルエンザ様の症状が引き起こされる人畜共通感染症で、ヒトには、コクシエラ菌に感染している山羊、緬羊などの家畜のふん便、生乳などを通じて感染する。オランダ農業自然省(以下オランダ農業省という。)の発表によれば、同国における患者数は、毎年20名程度で推移してきたものの、2007年には170名、2008年には1,000名の患者が確認されるなど近年増加傾向で推移しており、2009年おいては12月初旬までに2,100名を超える患者が確認されるに至っている。このオランダにおけるQ熱の流行についてはまだ不明な点が多いものの、複数の専門家は、この患者数の急増と、Q熱の病原体により引き起こされる緬山羊の流産の流行との間に関係があるとみている。

 オランダ国内では、山羊が約35万頭、緬羊が約120万頭飼養されているが、緬山羊乳を対象とするモニタリングの結果、これまでに、山羊を飼養する55農場においてQ熱の病原体が確認されている(これまでのところ、緬羊を飼養する農場ではQ熱は確認されていない。)。これらの農場内で飼養されている家畜の頭数は約6万頭とみられるが、このうちどの程度がQ熱に感染しているかについての確認にはさらに数週間を要するとみられる。

オランダ農業省は緬山羊の管理徹底と生乳のモニタリング強化を通知


 オランダ農業省は、12月9日付で、緬山羊における流産の流行を受け、ヒトへの感染を防止する観点から、Q熱が確認された農場において以下の措置を徹底するよう通知した。

・緬山羊群の分娩期間終了から30日を経過するまで畜舎からのふん尿などの搬出を制限。

・畜舎から搬出されたふん尿は、農場内の処理施設で覆いをした上で90日間たい肥処理。この際、搬入、搬出日およびたい肥散布日の記録について保存。

・流産時の汚物(胎盤など)を保管する密閉容器を農場内に整備。

・緬山羊乳を農場外に譲渡することを制限。ただし、家畜のと畜場への出荷および子山羊・子羊の肥育農場への譲渡は可能。(緬山羊乳を生産する農場に対する子山羊・子羊の譲渡を制限。)

・Q熱発生農場への部外者の訪問を制限。(Q熱発生農場は、その旨を公表する義務有。)

 さらに、オランダ農業省は、12月14日付で、Q熱のモニタリングのために実施している緬山羊乳に対する検査の頻度を従来の2カ月毎から2週間毎に強化する旨発表した。この理由について、オランダ農業省は、常に緬山羊乳中に病原体が確認できるわけではないためと説明している。

国境を接するベルギー衛生当局もオランダと同様の措置を講じるよう通知

 オランダと国境を接するベルギー衛生当局(AFSCA)も、12月10日付でQ熱に関する通知を発出した。この通知では、隣国オランダでのQ熱患者の増加は、大規模の山羊乳生産農場における飼養管理上の問題による可能性が高いとして、以下の事項について管理の徹底を呼び掛けている。

・農場への部外者の訪問を制限。

・農場で生産された生乳の殺菌処理を推奨。

・妊娠中の家畜とそのほかの家畜の接触を可能な限り制限。

・分娩および流産の際の汚物を密閉容器に保管。

・感染源の可能性が高いとされるふん尿を畜舎から搬出した場合は、覆いを施したい肥化。

・飼養されている山羊とほかの動物(ペット、げっ歯類)との接触を制限。
 
 また、この通知では、緬山羊乳を対象としたQ熱のモニタリングを実施することにも触れられている。これまでのところ、ベルギー国内ではQ熱は大きな問題とはなっていないが、隣国での患者急増を教訓として警戒を強めているとみられる。

  (参考:オランダにおけるQ熱発生農場の分布)
   http://www. rivm. nl/cib/themas/Q-koorts/


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