需給動向 海外

◆米 国◆

生乳生産は増加基調、需給は改善の見通し


◇絵でみる需給動向◇


搾乳牛頭数は増加し、生乳生産量は2.5%増

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月19日に公表した「Milk Production」によると、12月の搾乳牛飼養頭数は前年同月を0.6%上回る913万6千頭となった。飼養頭数は、2009年から2010年前半に実施された生乳生産者団体による牛群とう汰事業の効果もあり、前年を下回って推移したが、10月以降3カ月連続で前年同月を上回った。これは、昨年7月1日現在の乳用後継牛頭数が前年を2.5%上回ったという同局の調査結果(「Cattle」)を裏付ける動きといえる。乳用後継牛頭数は、今年1月公表の「Cattle」でも前年同月比0.7%増となっていることから、2011年も搾乳牛飼養頭数は前年を上回って推移するものと考えられる。

 また、2010年の1頭当たり平均乳量は前年比2.8%増、生乳生産量は12月は前年同月比2.5%上回る733万トン、2010年通年では前年を1.8%上回る8742万トンとなった。

乳製品の生産量は増加するも、バターの在庫は大幅に減少

 生乳生産の増加に伴い乳製品の生産も増加傾向で推移している。同局が2月1日に公表した「Dairy Products」によると、2010年12月の乳製品生産量はバターが前年同月比4.8%増の71,704トン、脱脂粉乳が同10.1%増の63,276トンとなった。2010年通年の生産量は、バターが前年比0.7%減の708,627トン、脱脂粉乳が同3.3%増の706,945トンとなっており、生乳生産量の傾向と同様に下半期にバターと脱脂粉乳の生産が増加した。

 また、バターと脱脂粉乳の在庫は、脱脂粉乳は7月以降前年を上回って推移し、12月末は前年同月比9.0%増の65,472トンとなる一方、バターは同38.4%減の37,159トンと、堅調な国内消費を反映し前年を大幅に下回る水準となった。

図6 搾乳牛頭数と生乳生産量の推移
資料:USDA/NASS「Milk Production」
図7 バターの生産量と在庫量の前年同月比の推移
資料:USDA/NASS「Dairy Products」、「Cold Storage」
図8 脱脂粉乳の生産量と在庫量の前年同月比の推移
資料:USDA/NASS「Dairy Products」

バターの卸売価格は大幅に上回る

 バターの需給が締まっている状況を反映して、2010年12月のバターの卸売価格(シカゴ・マーカンタイル取引所のスポット取引価格)は、前年同月比16.9%高の1ポンド当たり1.63ドル(135円:1ドル=83円)と依然として前年を大幅に上回っている。しかし、バターの生産は、2010年上半期が前年同期比6.3%減であるのに対し、下期は同6.7%増となっており、2011年も増産基調で推移するとみられる。こうしたことから、同省経済調査局(USDA/ERS)の1月19日公表の予測によると、2011年の出荷量は乳脂肪分ベースで1.4%増となっている。また、それに伴いバターの卸売価格も下降し、2011年の第4四半期には1ポンド当たり1.41〜1.54ドル(117〜128円)にまで下がると予測されている。

図9 バターと脱脂粉乳の卸売価格の前年同月比の推移
資料:USDA/AMS「Dairy Market News」

 


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