需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成23年度の豚肉需給、生産量は前年並み、輸入量はやや増加


◇絵でみる需給動向◇


 平成23年度の豚肉生産量は、89万4千トンとなり、口蹄疫の影響で生産量が減少した前年度並みとなった。年度内の推移を見ると、年度前半は、東日本大震災の影響や、一昨年の猛暑による受胎率の低下から、前年を下回って推移したものの、平成24年1月以降は前年同月を上回って推移した。

 また、平成23年度の豚肉輸入量は、前年度比4.5%増の80万3千トンとなった。内訳を見ると、国産豚肉と競合するとされる冷蔵品は、同9.3%増の25万8千トンとなった。冷蔵品の増加要因については、年度前半の国産豚枝肉の卸売価格の高水準での推移や、平成23年7月の牛肉からの放射性セシウム検出による、牛肉から豚肉への代替需要などによるものとみられる。主に加工原料に仕向けられる冷凍品は、同2.4%増の54万5千トンとなった。これは、年度前半の輸入量が前年同期を下回ったものの、夏場にかけて輸入品在庫の取り崩しが進んだことから、平成23年10月から平成24年1月の輸入量が大幅に増加したためとみられる。

 なお、年度後半の在庫が増加傾向であったことから、平成23年度末の推定在庫は、前年度末比5.1%増の18万3千トンとなった。
これらの結果、平成23年度の豚肉の推定出回り量は、国産品は89万8千トンと前年並みとなったものの、輸入品が同3.8%増の79万トンとなったため、全体では同1.8%増の168万8千トンとわずかな増加となった。

 こうした需給動向を反映して、平成23年度の卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、年度前半はおおむね前年同月より高値で推移したものの、年度後半はおおむね前年同月を下回り、年度全体では同4.0%安のキログラム当たり455円となった。年度後半に前年を下回って推移した理由としては、比較的需要が弱まり卸売価格が低下する時期であることに加え、安価な輸入冷蔵品の増加が一因となったと思われる。平成24年度の卸売価格についても、引き続き動向を注視したい。

図3 豚肉の推定出回り量と卸売価格の年度別推移
資料:農林水産省「食肉鶏卵速報」、農畜産業振興機構調べ
 注:卸売価格は東京・大阪市場の省令規格加重平均


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