需給動向 海外

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豚枝肉卸売価格は高水準続くが、繁殖母豚頭数は減少


◇絵でみる需給動向◇


2月の豚枝肉卸売価格、前年同月比9.6%高

 欧州委員会によると、EUにおける2月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり157.83ユーロ(1万7519円、1ユーロ=111円)と前月から4.3%上昇し、前年同月と比べ9.6%高となった。域外向け輸出が引き続き好調なことなどが、高値になった要因と考えられる。

図4 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

繁殖母豚頭数、前年比3.6%減


 EU加盟国が実施した豚の飼養動向調査によると、EUの豚肉生産上位7カ国(合計で域内生産の約8割を占める)における2011年11〜12月時点の繁殖母豚頭数は983万頭と、前年と比べ3.6%減少した。総飼養頭数は、前年比1.2%減の1億1380万頭となった。繁殖成績の改善による母豚1頭当たり年間総産子数の増加などを受け、減少率は繁殖母豚に比べ小幅にとどまっている。

飼料価格の高騰が養豚経営を圧迫


 英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)は、豚枝肉卸売価格が好調であるにもかかわらず繁殖母豚頭数が減少した要因としては、生産コストの約5割を占める飼料費の高騰による養豚経営の収益性低下を挙げている。

表2 EUの生産上位7カ国の豚飼養動向(2011年11〜12月時点)
資料:EUROSTAT
 

 世界的な穀物価格の高騰を背景に、EUの豚用飼料価格は2010年7月以降急激に上昇した。2011年4月には1トン当たり295ユーロ(3万2745円)と、前年同月を4割上回る水準にまで達した。その後、弱含んだ穀物相場に連動して下落に転じたものの、2012年2月以降は南米で発生した熱波の影響で穀物生産の見通しが不安視されたことなどを受け、再び上昇傾向にある。

  また、2013年1月に施行されるアニマルウェルフェアの新規則による繁殖母豚のストール飼いの禁止も、頭数減少の要因の一つである。新規則に適合するためには、豚舎の改築など新たな投資が必要となることから、廃業や頭数規模の縮小を選択する養豚事業者も多いとみられている。

図5 EUにおける豚用飼料価格の推移
資料:欧州委員会

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