需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉生産者は緩やかな生産拡大を継続


◇絵でみる需給動向◇


繁殖豚は5四半期連続で増加、しかし、今後の分娩見込みは横ばいの見通し

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月30日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、本年3月1日現在の豚総飼養頭数は前年を1.9%上回る6487万2千頭となった。

 内訳としては、繁殖豚が前年比0.6%増の582万頭、肥育豚も前年比2.0%増の5905万2千頭と増加した。繁殖豚、肥育豚ともに5四半期連続で対前年を上回っている。
母豚分娩頭数をみると、12〜2月は前年比1.2%増であったのに対し、3〜5月分娩頭数見込みは前年に比べ約2万7千頭少ない0.9%減の289万頭、12〜5月分娩頭数見込みは前年とほぼ同水準の576万7千頭となることが見込まれている。

 さらに、6〜8月においては前年に比べ約4万7千頭少ない280万8千頭と予測されているなど、肥育豚価格が例年と比べれば好調であるにもかかわらず、母豚分娩頭数の伸びが横ばいないし減少傾向にある。トウモロコシ価格が依然として高値で推移する中、生産者は、積極的な規模拡大を行わず、1腹当たり産子数の伸びによる緩やかな増頭で様子見している状況がうかがえる。

 USDAが3月30日に公表した「Prospective Plantings」によると、2012/13年度(9月〜8月)のトウモロコシの作付面積は、昨年を約400万エーカー上回る9590万エーカーとなる見通しである。これは75年ぶりの高い水準であり、単収が2月のUSDAの予測値である1エーカー当たり164ブッシェルを超えれば、需給が緩和しトウモロコシ価格が弱含むことも想定される。今後のトウモロコシ需給と連動した豚肉生産者の生産拡大意欲の動向が注目される。

生産の増加等により、豚肉在庫が積み上がっている状況

 3月末の冷凍豚肉在庫量は、出荷頭数の増加により生産が昨年を上回る水準で推移していることなどから、前年同月比8.8%増の2億8千万トンと積み上がってきており、生産者の生産拡大意欲を減じる要因の一つとなっている。

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が3月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2012年1月の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、日本、メキシコおよび中国向け輸出の増加により、前年同月比36%増の15万9千トンとなり、昨年の好調な状態を維持している。特に、中国向けは前年同月比2倍以上の高い伸びを示しているが、昨年1月からの中国向け豚肉輸出量の推移をみると、昨年11月をピークに低下傾向となっている。

 輸出量の減少は需給緩和に一層の拍車をかける可能性もあり、今後の輸出動向が注目される。

表1 豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS 「Quartely Hogs and Pigs」
 注:各年3月1日時点
図2 冷凍豚肉在庫量の推移
資料:USDA/ERS
図3 中国向け豚肉輸出量の推移
資料:USDA/ERS

元のページに戻る