調査・報告  畜産の情報 2012年5月号

平成23年度牛乳・乳製品の消費動向に関する
調査結果の概要

調査情報部




【要約】

 本調査は牛乳・乳製品の消費構造の変化や動向を把握するため、牛乳・乳製品の消費・購入・嗜好等に関する基本的な項目を、地域・年代などに偏りが生じないように調査設計を行い、牛乳・乳製品の消費拡大方策を立案するのに役立つ資料を得ることを目的として実施した。
 ここでは、白もの牛乳類およびチーズの調査結果を中心に抜粋するが(報告書の要約版、全文については、機構ホームページ(http://www.alic.go.jp)で掲載)、牛乳・乳製品の消費拡大のため、この調査結果が酪農乳業関係者にとどまることなく広く活用され、牛乳・乳製品の消費拡大を進める上での参考になることを期待する。

T.白もの牛乳類の飲用実態

1.白もの牛乳類の飲用頻度
 〜白もの牛乳類をほぼ毎日飲む人は44%〜

 2011年の調査結果では、飲み方を問わず白もの牛乳類の飲む頻度を聞いたところ、「毎日飲む」と回答した人は35%だった。「週に5〜6日飲む人」を合わせると、中学生以上の44%が毎日飲んでいることなる。「ほぼ毎日飲用」する人の割合は2005年以降、減少傾向となっている。

 「ほぼ毎日飲む」人の割合は、男女とも中学生で高く、それぞれ78%、77%となっており、男性の20代〜60代、女性の10代(中学生除く)〜20代では、性別の平均を下回っている。
2005年まで10%台であった「全く飲まない」人の割合は、2006年に14%に増加し、2011年は16%まで拡大した。
図1 白もの牛乳類の飲用頻度(時系列)

表1 白もの牛乳類を飲む人の割合(性・年齢別)
<ほぼ毎日飲む人>「毎日飲む」「週に5〜6日飲む」の合計


2.1日当たりの白もの牛乳類の飲用量
〜1日当たりの平均飲用量は、 全体的に微減傾向〜

 白もの牛乳類の1日当たりの飲用量(注)は、2011年の全体としては微減傾向が見られた。性別では、男性は減少、女性は微増であった。性年代別に見ると、男性では、10代(中学生除く)〜30代で増加傾向、男子中学生・40代以上で減少が見られ、女性では、中学生・10代(中学生除く)・50・60代で増加傾向、20代・40代・70代以上で減少傾向となっている。

(注)1日あたりの飲用量…白もの牛乳類を飲むと回答した者の1日当たりの飲用量の合計を、総回答者数(非飲用者含む)で除して算出した1人当たりの平均量。

図2 1日あたりの白もの牛乳類の平均飲用量(性・年代別)

3.白もの牛乳類の飲み方
〜白もの牛乳類を「全く飲まない人」が増加(飲む機会は全体的に減少)〜

 白もの牛乳類の飲み方は、「そのまま飲む」飲み方で「毎日飲む」人の割合は24%、「他のものと混ぜて飲む」飲み方で「毎日飲む」人の割合は19%となった。過去3年間の変化を飲み方別に見ると、「そのまま飲む」「他のものと混ぜて飲む」でともに平均回数に大きな変化は見られないものの、「全く飲まない」が増加しており、白もの牛乳類を飲む機会が減少していることがうかがえる。

図3 白物牛乳類の飲用頻度(時系列)

 また、夏場と冬場の飲用頻度を比べると、「そのまま飲む」飲み方は、「他のものと混ぜて飲む」飲み方より、季節による変動が大きいことがわかる。

図4 白もの牛乳類の飲用頻度(季節変動)

表2 白もの牛乳類を他のものと混ぜて「毎日飲む」飲用者率(年間平均)
(男性計/女性計はそれぞれn=1600、それ以外はいずれもn=200)(%)

4.白もの牛乳類の飲用シーン
〜飲用シーンのトップは 「朝食をとりながら(43%)」〜 

 白もの牛乳類を飲むシーンで多いのは、「朝食をとりながら」「おやつや間食時」「のどがかわいたとき」で25%以上(飲用者の1/4以上)となっている。

 2011年は、「おやつや間食時」が3年連続で減少、「のどがかわいたとき」は大幅に減少している。
図5 白もの牛乳類の飲用シーン(複数回答)<飲用者ベース>

5. 白もの牛乳類の飲用理由
〜「カルシウム・栄養・健康」に関する ものが、飲用理由の上位を維持〜

 白もの牛乳類を飲む理由で最も多いのは「カルシウムがあるから」で、2番目に「栄養があるから」が多く、3番目には「健康によいから」が続いている。

  2011年は、これまで4番目の「健康によいから」が3番目へ、「おいしいから」は5番目から4番目へ、「好きだから」が6番目から5番目へ、それぞれランクアップした。一方で、「他のものと混ぜたり、他のものにかけたりするため」が2010年の3番目から6番目へランクダウンしている。
図6 白もの牛乳類を飲む理由(複数回答)<飲用者ベース>

U.白もの牛乳類の飲用を阻害する要因

〜牛乳を飲まない理由は「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる」「味にクセ」
「飲用後、口に残る」「におい」等〜

 白もの牛乳類の飲用量が減少した、あるいはもともと飲まない理由では、「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる(38%)」「牛乳は味にクセがある(38%)」「牛乳は飲んだあと口に残る(37%)」「牛乳のにおいが嫌い(36%)」の順となった。
図7 飲用量減少・非飲用理由<飲用量が減少した人/非飲用者ベース>

V.チーズの摂取実態と意識

1. チーズの食べ方と購入タイプ
〜チーズを週に1日以上食べる人は36%〜

 チーズを「毎日」食べる人は4%で、週に1日以上食べる人が36%見られる。  調査時点を含む1カ月間にチーズを使った料理を食べた人は67%で、食べた人の回数は平均4.5回、食べた料理で最も多いのは「ピザ」(59%)だった。  自分で購入するチーズのタイプは「スライスチーズ」64%、「ブロックタイプ」47%、「シュレッドチーズ」34%の順で多く、ナチュラルチーズかプロセスチーズで見ると、ナチュラル派が4割、プロセス派が3割、半々が1割となった。
図8 日頃チーズを食べる頻度

図9 この1カ月に食べたチーズ料理(複数回答)

図10 購入するチーズのタイプ<チーズ購入者ベース>

2.チーズ購入の意識
〜国産チーズ派は46%を占める一方、 産地を意識しない派も50%〜

 普段チーズ購入時に意識することは、全体では「国産のチーズを購入するようにしている」が46%、「生産国は意識していない」が50%、「外国産のチーズを購入するようにしている」が1%となった。
 国産チーズ購入での意識は、全体で「大手メーカーの製品を購入するようにしている」が68%を占めた。

図11 チーズ購入時の意識する事(年代別)<チーズ購入者ベース>

W.調査の概要

1.調査方法

  留置併用訪問面接法

2.調査対象

  全国の中学生以上の男女個人
  回収 3,200人

3.調査地域とサンプル数

  回収サンプルの地域別内訳は下表のとおり(沖縄を除く)。構成比はウェイト集計後の値。

4.抽出方法

エリアサンプリング

*地点の抽出および調査対象者の抽出手順は以下の通り

 まず、平成17年国勢調査時の母集団人口に基づき、地域(9分類)と都市規模(5分類)により層化し、調査地点数を比例配分する。各層ごとに大字・町丁目の該当人口に応じて、調査地点を抽出する。各調査地点において、世帯(居住者のいる一般世帯住宅住戸)を系統抽出する。世帯から個人の抽出は、性・年齢別の割当に従って、訪問世帯において対象者条件に適合する個人を抽出する。

5.サンプル設計およびウェイト集計について

 消費動向調査では、2007年度まで、地域・都市規模および性・年齢別の人口構成を反映したサンプル設計を行なってきたが、若年層では、回収サンプル数が少なく、性・年齢別の分析を行なうには十分ではなかった。2008年度から、性・年齢別に200サンプルずつを均等に割り当てるクォータ法により調査を実施し、集計時にサンプルごとに人口構成に応じたウェイト値を与えて、サンプル構成を補正した。本報告書記載のサンプル数は実際の回収サンプル数、構成比(%)はウェイト集計後の値である。

6.調査期間

2011年10月1日〜10月31日

データを読むうえでの注意点
この調査は消費者の視点にたちアンケートを実施している都合上、牛乳類の分類については、種類別牛乳の他にも低脂肪乳、無脂肪乳、栄養成分強化牛乳(カルシウム、鉄分、ビタミンDなどを加えたもの)を白もの牛乳類としており、法律や規約上の種類別分類とは異なる。

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調査にご協力いただきました皆さまに深く感謝しますとともに、併せて御礼申し上げます。

 


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