需給動向 海外

◆豪 州◆

豪州の牛肉輸出、2014年も依然好調


と畜頭数増加により1月の牛肉輸出は好調な滑り出し

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2014年1月の東部州の1週当たり平均と畜頭数(子牛は含まない)は12万1654頭(前年同月比19%増)と、主要肉用牛生産地で干ばつとなった2013年から、引き続き増加傾向で推移している(図2)。北部準州やクイーンズランド(QLD)州北部沿岸などでは、1月に入り夏季のモンスーンによる降雨がようやくもたらされたものの、QLD州内陸部やニューサウスウェールズ(NSW)州では、依然として乾燥状況が続いている。

図2 成牛と畜頭数の推移
資料:MLA
  注:QLD州、NSW州、VIC州、SA州およびTAS州の主要なと畜場における
    成牛と畜頭数の合計
 豪州農漁林業省(DAFF)によると、と畜頭数増加により、2014年1月の牛肉輸出量(船積重量ベース)は6万9511トン(前年同月比26.0%増)と、1月単月で見ると過去最高を記録する好調な滑り出しとなった(図3)。なお、1月は例年、クリスマス以降の休暇による食肉処理加工場での処理頭数の減少や、雨期を迎える豪州北部での肉用牛の出荷停滞により、輸出量の少ない月となっている。
図3 牛肉輸出量の推移
資料:DAFF
  注:船積重量ベース
 同月の日本向け輸出量は1万5486トン(同8.7%減)と、上位10カ国中で唯一、前年同月から減少した。一方、旧正月(2月1日)の需要期を控えた韓国向けが1万214トン(同31.1%増)、中国向けが1万2トン(同125.4%増)と、大幅な増加となった。また、2012年の干ばつの影響により国内の肉用牛飼養頭数が減少する米国からの引き合いも増しており、同国向けは1万3832トン(同15.8%増)と大幅に増加した。
表3 2014年1月の牛肉輸出先上位10カ国・地域
資料:DAFF
  注:船積重量ベース

2014年の牛肉輸出は前年に次ぐ水準となる見通し

 MLAは1月23日、2014年の豪州肉牛産業の見通しを公表した。これによると、2014年のと畜頭数は760万頭(前年比9.1%減)と、前年からかなりの程度減少するとしている(図4)。これは、2013年の干ばつにより肉牛の出荷が増加したことや、子牛の死亡率が高まったことを要因としており、2014年後半には出荷頭数が減少するものとみている。

図4 成牛と畜頭数の見通し
資料:ABS(2001〜2013年)、MLA(2014年)
  注:2013年以前は実績値、2014年はMLAによる予測値

 牛肉輸出量については、米国や日本、EUなどの経済回復、また、米ドルに対して豪ドル安での推移が見込まれることなどが、豪州産の輸出を促進するとみている。これにより、2014年の牛肉輸出量は102万トン(同7.2%減)と、と畜頭数の減少に伴い前年から減少が見込まれるものの、過去最高となった2013年に次ぐ高水準を見込んでいる(図5)。
図5 牛肉輸出量の見通し
資料:DAFF(2001〜2013年)、MLA(2014年)
注 1:船積重量ベース
注 2:2013年以前は実績値、2014年はMLAによる予測値
                                      (調査情報部 伊藤 久美)


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