需給動向 海外

◆米 国◆

牛飼養頭数、7年連続で減少


総飼養頭数、前年比1.8パーセント減の8773万頭

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月31日に公表した牛の飼養動向調査「Cattle」によると、2014年1月1日現在の飼養頭数は、前年比1.8パーセント減(156万9600頭)の8773万頭となった(図1)。牛の飼養頭数は、2011、2012年の干ばつにより、繁殖雌牛のと畜が進んだことなどから牛群が縮小し、7年連続で前年の水準を下回り、2013年から9000万頭を割り込んだ。天候が回復した2013年は飼料穀物が豊作となり、飼料価格の下落により生産コストが削減されているものの、牛群を回復させるまでにはさらなる時間を要するものと考えられる。

図1 牛飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
  注:各年1月1日現在

肉用繁殖後継牛は増加も、経産牛は減少

 飼養頭数を種類別に見ると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は前年比0.9パーセント減(25万5000頭)の2904万2000頭と、8年連続で減少している。干ばつの影響で飼養頭数を縮小するため繁殖雌牛を淘汰したことにより、2012年、2013年の繁殖雌牛の減少幅は、それぞれ前年比2.2パーセント減、同2.9パーセント減であったが、2013年は、繁殖雌牛のと畜頭数も減少したため、減少幅は縮小している。

 また、肉用繁殖後継牛の頭数は、干ばつによる繁殖雌牛の更新により、同1.7パーセント増(9万頭)の547万1000頭と3年連続で増加している。
表1 部門別飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
注 1:表中の※1は500ポンド以上、※2は500ポンド未満
  2:各年1月1日現在

主要生産州の飼養頭数は、おおむね前年を下回る

 飼養頭数を州別に見ると、主要な生産州では、おおむね前年の水準を下回った。牛の飼養頭数が全米で最も多いテキサス州では、前年比3.5パーセント減(40万頭)の1090万頭となった(表2)。干ばつの影響が大きかった同州では、肉用繁殖後継牛の頭数は増加しているものの、繁殖雌牛の頭数は回復していない。

 一方、テキサス州の北に位置するオクラホマ州、ミズーリ州では、飼養頭数がそれぞれ前年比2.4パーセント、4.1パーセントと増加している。これは、テキサス州から干ばつの影響が少ないこれらの州へ牛群を移動させたことが要因とみられている。また、飼養頭数第3位のカンザス州では、全体の頭数は減少(0.9%)しているものの、繁殖雌牛は増加している。

 テキサス州においても、今後、草地の状態が良好であれば、繁殖雌牛が増加し牛群が拡大することが期待されるものの、本年初めの肉用牛生産地を襲った記録的な寒波と降雪により、草地が雪に覆われ、草地の生育にも影響があるとされており、本年の草地の回復状況に注目したい。
表2 州別飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
注 1:2014年飼養頭数上位10州
  2:各年1月1日現在
                                      (調査情報部 山ア 良人)


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