需給動向 海外

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乳製品国際相場、高水準で推移


10〜11月の生乳生産、かなりの程度増加

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2013年10〜11月の生乳生産量は、611万8000トン(前年同期比4.7%増)となった(図26)。8月から4カ月連続で前年同月を上回っており、昨夏の干ばつからの回復は順調に進んでいるものとみられている。特に10月は全国的に気象条件が良好であったことから、南島の主要生産地域であるカンタベリー地域を中心に生乳生産が増加したため、単月で300万トンを上回る記録的な水準となった。11月は、気温が高く降雨が少なかったことから、10月ほどの増加は見られなかったものの、増加傾向は継続している。

 この結果、2013/14年度上半期(2013年6〜11月)の生乳生産量は、1037万1000トン(同5.6%増)となった。生乳生産増加の背景には、良好な気象条件に加え、生産者乳価が高い水準にあることで、生産者の増産意欲が高まり、補助飼料の投入が増加していることがあるとみられている。

図26 生乳生産量の推移
資料:DCANZ
  注:年度は6月〜翌5月

全粉乳輸出の増加傾向が継続

 2013年11〜12月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が8万7407トン(前年同期比15.8%減)、全粉乳が32万8847トン(同21.8%増)、バターが11万2182トン(同22.3%増)、チーズが5万2385トン(同27.0%減)となった(図27)。全粉乳はニュージーランド(NZ)の主要乳製品であるが、最近の中国や東南アジア、中東からの堅調な需要を背景に、全粉乳の生産・輸出を特化する傾向にある。NZ最大の乳業メーカーフォンテラ社は、2013年12月、南島ダーフィールドの大規模粉乳処理施設の稼働開始とともに、北島パヒアトゥアでの新たな粉乳処理施設の建設計画を公表した。こうした設備投資により、今後もNZは全粉乳生産の増加を図るとみられている。
図27 乳製品輸出量の推移
資料:Statistics NZ
  注:2013年10月以降は暫定値

国際相場、高止まりの状態が続く

 2014年1月21日に開催された、乳製品国際相場の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均価格はトン当たり4,698米ドル(48万8592円:1米ドル=104円、前年同期比32.3%高、前回比0.2%高)、全粉乳は同4,943米ドル(51万4072円、前年同期比50.3%高、前回比0.2%高)と、依然高水準にあるものの前回から横ばいの価格となった(図28)。また、粉乳に比べ取引数量は少ないものの、バター、チーズ(チェダー)の価格も上昇傾向にあり、乳製品全般の需要の高まりが推察される。こうした結果、取引された乳製品の総平均価格は5,025米ドル(52万2600円、前年同期比46.0%高、前回比1.7%高)と、5,000米ドルを上回る記録的な水準となった。
図28 GDTにおける平均価格の推移
資料:GDT
                                       (調査情報部 根本 悠)

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