調査情報部 国際調査グループ
T はじめにわが国の牛肉消費量の約6割は海外からの輸入で占められており、主な輸入先は、豪州、米国を中心にニュージーランド(NZ)、カナダと続く(図1)。このうち、米国や豪州では、相次いだ干ばつなどを背景に肉牛飼養頭数は減少を続けており、今後の牛肉生産・輸出への影響が懸念されている。また、豊富な水資源と広大な土地に恵まれたカナダでも、2009年から米国で実施されている農産物・食肉に関する原産国表示(COOL:Country of Origin Labeling)※により、米国向け肥育もと牛の輸出が停滞するなど国内の牛肉生産・輸出構造に変化が表れてきたとされている。※COOLに関しては、「V各国の状況−2カナダ」で説明。
しかしながら現在、世界の主要牛肉輸出国は、特定の国・地域にとどまっており、増頭には一定の繁殖条件や飼料基盤の確保などが必要とされることで、早急な輸出量の拡大や新たな牛肉輸出国の参入は難しい状況といえる(図2)。このため、世界的な牛肉需要の拡大傾向が続く中で、主要牛肉輸出国の生産・輸出状況は、わが国のみならず世界の牛肉需給に大きな影響を与えることになる。
なお、本稿中の為替レートは、1米ドル=105円(8月末日TTS相場:104.74円)、1豪ドル=99円(同99.03円)、1カナダドル=97円(同97.13円)、1中国・人民元=17円(同17.17円)を使用した。 〔横田 徹〕
U 全体の状況(米国、豪州、カナダ)米国やカナダの牛肉生産は、肥育を含め食肉処理・加工段階での企業買収・統合による大規模化、寡占化が進むとともに、牛肉生産、流通段階での垂直統合も数多く見られる状況にある。これらは、いずれも企業資本による経済効率の追求によるものであるが、結果的に安価な牛肉の安定供給が可能となり、また、北米のみならず世界の食肉消費の拡大にも寄与してきた。一方、豪州の牛肉生産は、かつての家族経営を中心としたものから、海外資本の積極的な導入による企業の買収・統合で大規模化が進んでいるが、米国ほどの寡占化は見られない。また、放牧を主体とした安価な牛肉輸出を主体とすることで、国際市場で一定の地位を築き上げている。 しかし、消費を見ると、米国やカナダが、北米自由貿易協定(NAFTA)による巨大消費市場(加盟国である米国、カナダ、メキシコの3カ国の人口は約5億5000万人とEUの約5億600万人を上回る規模)を抱える一方、豪州では人口が2000万人強と、その規模は大きく異なる。 対日輸出国の中でも、このような特徴を背景に三者三様の需給バランスが形成されている(図3)。
一方、豪州は、牛肉生産量に比べて国内市場規模が小さいことで必然的に輸出市場を念頭に置いた牛肉需給バランスとなる。このため、例えば日本や韓国向けは穀物肥育牛肉を中心に、また、米国向けは牧草肥育牛肉を中心とするなど、牛肉生産は輸出先のニーズに合わせた生産手法が取られている。また、隣国のインドネシアなどへの牛肉用途としての生体牛の輸出も多い。ただし、輸出主体であることから、米国に比べ同一部位のみの大量供給が困難であることと、国際相場の影響を受けやすいのが特徴として挙げられる。 次に各国の状況を報告する。 〔横田 徹〕
V 各国の状況米国(1)概況ア 飼養頭数米国では1920年以降、8回のキャトルサイクルを経ているとされるが、牛の総飼養頭数は1975年に過去最高となる1億3200万頭を記録した後、周期的な増減を繰り返しながら構造的には減少傾向で推移している(図4)。近年では、2005年に増加に転じたものの、2006年、2007年の干ばつによる放牧環境の悪化や、これに伴う飼料穀物価格の高騰などで繁殖経営の収益性が悪化し、繁殖雌牛のと畜増加により規模拡大が抑制されたことで2008年には再び減少となった。 また、2011年の南部、2012年に中西部のコーンベルト地帯を襲った干ばつは、再び放牧環境を悪化させるとともに飼料穀物価格の高騰を招き、これが繁殖雌牛などの早期と畜を加速させたことなどから、2014年の牛飼養頭数は前年比2%減の8773万頭と過去最低となった。 過去には、子牛の価格、肥育期間などがキャトルサイクルに大きな影響を及ぼすとされたが、近年は干ばつなどの気候変動が大きな要因となっている。干ばつで牧草が不足すると、繁殖農家は繁殖雌牛の出荷を増やし、結果的に頭数拡大が先延ばしされることになる。また、穀倉地帯で干ばつが発生した場合、大豆やトウモロコシなどの飼料穀物価格が高騰するため肥育経営への影響も甚大となる。
牛1頭当たりの枝肉重量は、飼料効率の向上や牛の遺伝的改良などに伴い増加傾向で推移しており、2014年(1〜6月平均)は2000年に比べ15.8%増となる1頭当たり855.7ポンド(去勢牛:約388キログラム)となった。 一方、牛肉生産量は、牛飼養頭数の減少に伴うと畜頭数の減少により2011年以降、前年を下回って推移し、2013年には前年比1%減の1165万6000トンになった。2014年は、と畜頭数が減少基調にある一方、需要は堅調に推移している。こうした中、肉牛の早期出荷傾向は見られず、肥育業者はトウモロコシなど価格が安定している飼料を多給し、1頭当たりの重量確保に努めることで、供給量が確保されている。米国農務省農業経済調査局(USDA/ERS)は、牛飼養頭数の回復が遅れる中で、2014年の牛肉生産量を前年比4.4%減の1114万1000トンと見込んでいる(図6)。
2013年の牛肉輸入量は、前年比1%増の102万トンとなった。国別輸入量を見ると、 豪州:28万3000トン(全体の28%) カナダ:24万4000トン(同24%) NZ:23万9000トン(同23%) メキシコ:11万4000トン(同11%) である。豪州やNZからは、主にハンバーガーのパテなどに利用される冷凍の加工向け牛肉の輸入が主流であるのに対し、カナダやメキシコからの輸入量の約8割は、ステーキなどに用いられる冷蔵牛肉となっている。国内の牛肉消費が好調に推移する中で、USDA/ERSは、牛肉生産量が減少し需給がひっ迫傾向にあることで、2014年の牛肉輸入量を前年比14.8%増の117万2000トンと引き続き増加を見込んでいる(図7)。
日本:30万4000トン(同26%) カナダ:21万2000トン(同18%) メキシコ:18万3000トン(同16%) 香港:16万3000トン(同14%) 韓国:11万5000トン(同10%) である。2003年に国内で発生した牛海綿状脳症(BSE)の影響により2004年の輸出量は大幅に減少したものの、その後、各国での米国産牛肉の輸入解禁や輸入条件の緩和などにより回復基調に転じており、2011年はBSE発生以前の輸出水準を上回った。 また、近年では新興国(アジアや中東諸国など)の牛肉需要が高まる中で、主にアジア向け(香港など)の輸出量増加が目立っている。なお、ロシア向けは、米国産牛肉に対するラクトパミン(飼料添加物として用いられる成長促進物質)の問題により、2013年の輸出量は大幅に減少した(図8)。 牛肉の国際相場が上昇基調にあるとされる中で、USDA/ERSは、2014年の牛肉輸出量について前年比1.2%増の118万8000トンと増加を見込んでいる。
牛肉卸売価格は、世界的な牛肉需要の増加や国内の牛肉供給量の減少に伴い高値で推移しており、2013年は100ポンド当たり196米ドル(1キログラム当たり453円)となった。また、卸売価格の上昇に伴い牛肉小売価格も高値で推移しており、2014年6月には同594米ドル(100グラム当たり138円)と過去最高値を更新した(図9)。 牛肉消費が好調に推移する中で、USDA/ERSは、2014年の牛肉小売価格について最終的に前年比6.5〜7.5%程度上昇すると見込んでいる。
(2)牛肉生産を取り巻く状況ア 気候変動(干ばつ)主要生産地域が集中する中南部州では、2011年、2012年と連続して干ばつが発生し、牛の飼養環境や飼料の生育は甚大な影響を被った。2011年の干ばつは、最大の肉牛繁殖地域であるテキサス州などの中南部州を中心に発生し、繁殖経営にとって欠かせない放牧地の環境に深刻な被害をもたらした。また、2012年はコーンベルト地帯(中西部)を中心に干ばつが広がったことで、トウモロコシなどの飼料穀物生産量が減少し、国際的な飼料価格の大幅上昇につながるなど、米国の畜産経営のみならず、わが国の畜産経営にも大きな影響を及ぼした。干ばつの影響は、2013年に入り中西部では軽減されてきたが、2014年6月時点で、依然、テキサス州など南部地域の一部で継続している。また、2014年は、乳用牛を多く飼養するカリフォルニア州南部を中心に異常な干ばつが発生しており、同州の牛飼養頭数減少が懸念されている(図10)。
フィードロットでは、肉牛にトウモロコシなどの穀物を主体とした飼料が多給される。このため、トウモロコシの価格動向はフィードロット経営に直結することとなり、価格の変動にあわせて肥育期間が調整される。つまり、トウモロコシ価格が牛1頭当たりの枝肉重量や牛肉生産量の増減を左右することとなる。 トウモロコシ価格は、2006年下半期以降、同年のエタノール振興政策に伴う需要の増加や干ばつの影響などから、上昇基調となった。2009年には、世界的な不況による穀物需要の減退懸念などから下落したが、2010年には再び上昇に転じた。2012年にはコーンベルト地帯を中心とした干ばつによる作柄悪化のため高騰し、同年7月には一時、過去最高の1ブッシェル当たり8.07米ドル(847円)を記録した(図11)。
2013年は、干ばつが解消に向かったことで豊作の見込みが強まったことから価格は下落し、その後も豊作となったことで米国内のみならず国際相場も安値で落ち着いた。また、2014年もトウモロコシの生育は各地で順調と報告されており、9月11日時点のUSDAの予測では前年度比3.4%増の生産が見込まれている。このため、価格は安値基調で維持しており、2014年8月末は同3.59米ドル(376円)となっている(図11)。USDAでは、豊作予測による期末在庫の積み増しが見込まれることで、今後の生産者平均販売価格を1ブッシェル当たり3.20米ドル〜3.80米ドル(335円〜398円)での推移を予測している。
1人当たり年間食肉消費量は、2006年の干ばつ以降のと畜頭数の落ち込みにより牛肉小売価格が上昇したことで、2007年から2011年まで減少傾向で推移した。2012年には6年ぶりに前年を上回ったものの、2013年は2011年、2012年に発生した干ばつによる肉牛頭数のさらなる減少や、飼料穀物価格の高騰により、牛肉価格が過去最高値をつけたことで前年比1.7%減の25.6キログラムと過去最低を記録した(図12)。 これは、2000年(30.6キログラム)と比べた場合、約5キロの減少となる。また、小売物価上昇率で見ると、牛肉価格の上昇率は他の食肉や食品よりも際立っており、継続的な価格上昇が消費量の減少の一因となっている。
なお、鶏肉に次いで価格が低い豚肉の消費量は同2%増の同20.0キログラムとなり、鶏肉同様2年連続で増加している。 (3)輸出動向牛肉生産は国内市場向けを主体としているが、国内外を問わずより高価格で販売できる市場をターゲットとしていることもあり、価格動向によって国内市場に供給せずに輸出に回し、その分輸入を増やすといった使い分けが行われている。最近は海外の需要が高まる中で、輸出は増加傾向で推移している。2013年の輸出量(副産物・子牛肉を含む。)は、前年比6%増の117万2000トン、輸出額も需要の高まりによる輸出価格の上昇に伴い前年比11.7%増の60億米ドル(6300億円)と前年からかなり増加した。2014年も、牛肉生産量が減少傾向で推移する中で堅調に推移しており、1〜6月で前年同期比4.7%増の56万7000トンとなった。 輸出の特徴として、カナダやメキシコは高価格帯とされる冷蔵牛肉が中心であるのに対し、香港、韓国などは価格が安い冷凍牛肉が中心となるなど、輸出市場のニーズにあわせた形となっている。 ア 日本 米国にとって日本市場は牛肉輸出量の26%(2013年)を占める最大の輸出先である。2003年12月に米国で発生したBSEによる日本の輸入停止措置などにより、同年以降、日本向け輸出は大きく減少したが、その後、順調に回復に向かい、2013年2月に輸入月齢制限が20カ月齢から30カ月齢に緩和されたことなどを受け、2013年の輸出量は20万トンを超えた(図13)。 ほかの仕向先と異なり、日本へは、冷蔵・冷凍ともにバランスよく輸出されている。これは、米国産牛肉が同一部位を安定的、かつ、十分に供給する力があるため、テーブルミートから加工用まで幅広い用途に対応できることが大きい。2013年の日本向け冷蔵・冷凍の内訳を見ると、冷蔵牛肉輸出先としては第3位(冷蔵牛肉輸出量全体の24%)と2009年以降、増加傾向で推移している。また、冷凍は同じく第2位(同27%)となった。 一方、2014年は減産に伴う価格上昇により輸出価格が上昇していることで、1〜6月の日本向け輸出(副産物・子牛肉を除く。)は、前年同期比6.9%減の9万4000トンとなった。市場関係者によると、米国の牛肉生産量が減少する中で一定規模の需要があることから、日本からの需要が多い部位の対応が困難な状況もあるとしている。このため、今後も米国の価格上昇が続いた場合、米国内への供給が優先され、日本向け輸出量は前年の水準を割り込むとの見方も出ている。
カナダ向け牛肉輸出量は、1989年の米加自由貿易協定(FTA)発効以降、安定して推移しており、2013年には牛肉輸出量の18%となった。2003年以降は、BSEの発生によりカナダが輸入禁止措置を講じたため大幅に減少したが、2004年以降、順調に回復している。 2013年のカナダ向け冷蔵・冷凍の牛肉輸出量を見ると、冷蔵牛肉輸出先としては第1位(冷蔵牛肉輸出量全体の30%)となったものの、2011年以降、米国産牛肉の価格高や日本やアジア諸国での需要増により2年連続で減少となった。また、冷凍は同じく7位(同2%)で冷蔵牛肉と同様、2011年以降、減少傾向で推移している(図14)。 カナダ向け輸出は、高級部位を中心としていることもあり、2013年の輸出額は10億ドル(1050億円)を突破している。
メキシコ向けの牛肉輸出量は、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)発効以降増加し、2013年には米国の牛肉輸出量の16%を占めるまでになった。2008年以降は、米国の牛飼養頭数減少に伴う減産や牛肉価格の上昇、また、2011年のメキシコでの干ばつによる同国のと畜頭数増加に伴う牛肉生産量の増加などにより、2012年まで輸出は減少傾向で推移した。2013年は、干ばつの緩和に伴う牛群再構築などによりメキシコ国内のと畜頭数が減少したことで牛肉生産量が減少し、同国向け輸出量は増加に転じている。 2013年のメキシコ向け冷蔵・冷凍の牛肉輸出量を見ると、米国からの冷蔵牛肉の輸出先としては第2位(冷蔵牛肉輸出量全体の29%)となった。また、冷凍牛肉は同じく第6位(同2%)で前年比87%増となったものの、2003年以降、低水準で推移している(図15)。 2013年のメキシコ経済は、前年後半からの景気後退により1%台の成長率となったが、2014年は公共投資の拡大などにより3%台まで回復すると予想されており、米国からの牛肉輸出増加が期待されている。
北米自由貿易協定(NAFTA)の概要 北米自由貿易協定(NAFTA)は、米国、カナダ、メキシコの3カ国により締結された地域自由貿易協定であり、1994年1月1日に発効した。NAFTAでは一部の例外品目はあるものの、加盟3カ国の関税および非関税障壁を15年間(農作物は10年間)で撤廃し、貿易の拡大と投資の促進を図ろうとするものである。 NAFTAは、米国およびカナダ間で1989年に発効していた米加自由貿易協定(米加FTA)を包含している。生きた家畜、牛肉、豚肉などの関税については、合意内容が前倒しされ、1993年から無税となっている。 エ 香港 香港向け牛肉輸出量は、韓国や日本と同様、2003年以降、米国のBSEの発生により大きく減少したものの、2005年に米国産牛肉の月齢制限が緩和(30カ月齢未満に引き上げ)されたことで、その後は増加傾向で推移している。2013年の輸出量は、牛肉需要の増加などにより前年比90%増と大幅に増加し、輸出先では第4位に躍進した。 2013年の香港向け冷蔵・冷凍の牛肉輸出量を見ると、冷蔵牛肉は2000年と比べて10倍以上増加しているが、依然、冷蔵牛肉輸出量全体に占める割合は1.7%とわずかである。一方、冷凍牛肉は輸出先としては第1位(冷凍牛肉輸出量全体の28%)となった(図16)。また、最近、輸出単価が上昇しているとのことから、従来スソ物といわれた低価格の製品から、価格の高い部位へと輸出内容に変化が生じてきたことがうかがえる。 こうした中、香港が2014年6月に、米国産牛肉の輸入月齢制限を撤廃したことで、今後、さらなる輸出量の拡大が見込まれる。 なお、2013年の香港向け米国産牛肉輸出量(副産物を含む。)16万3000トンを香港の人口711万人(2011年)から算出すると、1人当たり約23キログラムとなり、日本(同約6キログラム)を大幅に上回り、米国の消費水準に匹敵する。このため、相当部分が加工製品などとして中国などに出荷されているとみられている。このようなことから、米国食肉輸出連合会(USMEF)では、香港と中国、さらにマカオとベトナムを加えて大中華圏として市場を捉え、輸出戦略を立てており、他の輸出国にとっても注目に値する動きと言えよう。 中国の牛肉消費は引き続き拡大が見込まれる中で、今後の香港向けの輸出の動向は、他の米国の輸出先にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
韓国向け牛肉輸出量は、米国でのBSE発生に伴い、2003年以降大きく減少したものの、その後の輸入月齢制限の緩和などにより、2006年以降増加傾向で推移している。2013年の輸出量は、韓国の牛肉生産量の増加や豪州産牛肉の輸入増により減少となった。 2013年の韓国向け冷蔵・冷凍の牛肉輸出量を見ると、冷蔵牛肉は、輸出量として第6位(冷蔵牛肉輸出量全体の2.4%)となり、2009年以降、ほぼ横ばいで推移している。一方、冷凍牛肉は同第3位(冷凍牛肉輸出量全体の21%)となったが、米国産牛肉の価格上昇などにより、2011年以降、減少傾向で推移している(図17)。 米国は、韓国と2011年に自由貿易協定(FTA)を締結し、米国産牛肉に対して2012年から関税を段階的に引き下げ、2026年にはゼロにすることとしている。このため、今後、米国からの牛肉輸出量の増加が見込まれているが、2014年は米国の牛肉価格が高水準にある中で、豪州産牧草肥育牛肉(グラスフェッド)の輸入価格が米国産に比べて割安とされることから、関税削減の効果は発揮されないとの見方も出ている。
このほか、中東地域向け輸出の伸びも目立っている。原油価格の上昇を背景とした経済成長やドバイなどの観光開発などにより、この地域の牛肉需要は高まっているとみられ、米国からの輸出量も増加基調にある。USMEFによると、2013年の同地域向け輸出量は14万8000トン(2004年比で7倍弱の増加)、輸出額は2.8億ドル(294億円、同2倍弱の増加)となった。輸出は主に価格帯の安い冷凍牛肉が中心とみられている。 中東地域は、豪州やブラジルなど他の牛肉輸出国と競合するが、一定の需要が見込まれるだけに今後の伸びが期待されている。 (4)まとめ日本の牛肉輸入量全体の約4割を供給する米国では、2006年以降の度重なる干ばつの影響を受け、牛飼養頭数が減少したことで2013年の牛肉生産量は3年連続の減少となった。また、USDA/ERSによると、2016年までは牛飼養頭数の減少が続き、牛肉生産量のさらなる減少が見込まれている。2013年に入り、一部地域を除いて干ばつの影響が緩和され、放牧環境が改善されつつあることから、繁殖農家を中心に牛群再構築に向けた動きがみられている。このため、繁殖雌牛を中心にと畜頭数が減少しており、肥育牛価格はかつてない高水準で推移している。食肉パッカーの多くは、肥育牛の確保が困難なことでと畜場を閉鎖するなど牛肉生産・供給面での問題も生じてきている。 また、牛肉生産量の減少に加え、国内の牛肉消費が引き続き好調であることや、中国や香港などの牛肉需要の増加などにより、輸出向け米国産牛肉の価格も高値で推移している。特に、日本向け牛肉輸出量の半分以上を占める冷凍牛肉は、韓国や香港の輸入需要と競合関係にあることから、価格高により商品を確保できない事態も出ているとされる。当面の牛肉生産量が低水準で推移することが予想される中で、輸入国側から見ると、冷凍牛肉を中心に輸入牛肉確保は厳しさを増す可能性がある。 一方で、10億を超える人口を抱え、世界最大の牛肉消費国とされる中国では、2003年の米国でのBSE発生以来、米国産牛肉の輸入を禁止しているが、豪州やカナダ、南米からの輸入が増加しており、その輸入量は年々拡大している。牛肉輸出国が限られる中で、中国や新興国の牛肉需要の拡大は継続すると見込まれることから、米国産牛肉の輸出価格も上昇基調が続くとみられている。 〔渡邊 陽介、山神 尭基、横田 徹〕 中国の牛肉需給動向
○ 消費国際通貨基金(IMF)によると、中国の2011〜13年の実質GDP成長率は8.2%となった。2ケタ成長を誇った時期に比べて景気の失速感はあるものの、いまだに高い水準にある。こうした経済成長に伴い、国民1人当たり所得も2000年に入ってから急速に増加しており、購買力の高まりをみせている(図18)。
米国農務省(USDA)によると、2014年の中国の牛肉消費量は過去最高の626万トン(前年比5.1%増)と見込まれている。国内の牛肉需要は、1人当たり消費量の増加や生産年齢人口の割合が多いこと(人口ボーナス)を考慮すると今後も堅調に増加するとみられる。
USDAによると、牛の飼養頭数は、2008年以降緩やかな減少傾向にあり、2014年は1億419万頭(前年比0.02%減)となった(図20)。肉用牛は豚や鶏などに比べて生産サイクルが長いため、飼料費などの投入コストも多くなる。このため、零細経営が依然として多い中で規模拡大に取り組む生産者が少なく、頭数増加には至っていない。
このような中、国家発展改革委員会(中央政府)は2013年9月、「全国牛肉・羊肉生産発展計画(2013−2020年)」を公表した。同計画は、資金面や技術面のサポートを通じて飼養頭数の増加、ひいては牛肉の増産を図るものであり、中央政府が国内の牛肉生産の支援を行うのは初の試みとなる。しかし、養豚や家禽の支援策に比べて融資額などが少ないことや、支援対象農家が限られているため、政策の実効性は不透明である。 牛肉の国内生産量は緩やかに増加しているものの、需要の伸びに供給が追いつかず牛肉の小売価格は上昇傾向にある(図21)。2014年8月の価格(もも)は、1キログラム当たり66.3元(1127円)とこの5年間で2倍程度値上がりしており、輸入牛肉に対する価格競争力を失っている。
増加する国内の牛肉需要を賄うため、牛肉輸入量は近年、急増しており、2013年は前年比約4.8倍の29万4000トンとなった(図22)。2014年に入ってからもこの勢いは衰えず、上半期(1〜6月)は15万6000トン(前年同期比30.9%増)と、大幅に増加している。
ブラジルについては、2012年にブラジル・パラナ州で発生した非定型BSEにより、中国は2012年12月から輸入を停止していたが、習近平国家主席の訪伯に伴い2014年7月からの輸入再開が決定された。米国については、2003年の同国でのBSE発生以降、輸入停止が続いている。 中国では、食肉に関する不正事件が幾度となく発生しており、消費者の食の安全への意識は年々高まっている。このため、牛肉の安全性に対する信頼の厚さといった面でも輸入品への需要は今後も高まると見込まれる。 一方、香港の牛肉輸入量は、中国本土と同様に急増しており、2013年は前年比約2倍の32万9000トンとなった(図23)。また、2014年上半期も19万1000トン(前年同期比38.0%増)と大幅に増加している。主な輸入先は米国とブラジルであり、この2カ国で輸入量全体の9割を占める。米国産牛肉について香港は段階的に輸入制限を緩和しており、2014年6月に月齢制限が撤廃された。これにより輸入可能な製品が拡大するため、米国産牛肉の輸入量は今後も増加すると見込まれる。
〔木下 瞬〕
2 豪州(1)概況ア 飼養頭数近年、豪州の牛総飼養頭数は2600万頭〜3000万頭で推移し、うち肉牛が2400万頭〜2600万頭程度と、全体の9割弱を占めている(図24)。肉牛の飼養形態は、放牧が主体である。穀物などの濃厚飼料を与え集約的に肥育するフィードロットの飼養頭数は、肉牛全体の3%程度にすぎず、かつ、フィードロットへの導入までは放牧で育成される。したがって、肉牛飼養頭数は気象状況に大きく左右される構造となっており、干ばつにより放牧環境が悪化すると、肉牛は早期出荷・淘汰されるため、飼養頭数は減少に向かう。2000年以降では、2度の大干ばつの発生による頭数の減少があったが、2010年以降は気象状況の改善に伴う牛群再構築により増加に転じ、2013年までのところ高水準を維持している。同年6月末時点の牛総飼養頭数は、1978年に次ぐ高水準の2930万頭、うち肉牛は2650万頭となった。 一方、2012年後半頃から東部の広範囲で高温乾燥気候に転じ、肉牛主産地のクイーンズランド(QLD)州では干ばつに発展したことから、2013年以降、と畜頭数は増加傾向にある。このことから、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、牛総飼養頭数は2015年まで減少するとみており、同年6月末時点の牛総飼養頭数を、過去20年で最低水準の2610万頭と見込んでいる。
前述のとおり、肉牛のと畜頭数は、気象状況による影響を反映して推移しており、図25からは、干ばつの発生でと畜頭数が増加し、飼養環境の改善に伴う牛群再構築により減少することが見てとれる。2013年のと畜頭数は、前年後半からの干ばつによって836万頭となり、1000万頭を超えていた1978年以来の高水準となった。
一方、牛肉生産量は、と畜頭数の変動に比べて緩やかに推移している。これは、天候に恵まれた年には肥育期間の長期化により1頭当たり枝肉重量は増加するが、干ばつの年には早期出荷により減少する上、雌牛のと畜割合も増加することによる。このため、2011年や2012年は、2010年と比較し、と畜頭数が減少したものの、牛肉生産量はわずかながらも増加している(図26)。 また、2013年の1頭当たり枝肉重量は前年を下回ったものの、と畜頭数の大幅な増加を受けて生産量は232万4000トンと過去最高記録を更新した。 なお、長期的に見れば、1頭当たり枝肉重量は出荷体重の増加や牧草の品種改良、牛の遺伝的改良を受けて増加傾向で推移している。
生産された牛肉は、全体の約3割が国内消費となり、残りの約7割が輸出に向けられる(図27)。このため、牛肉の生産や価格は海外市場の影響を受けやすい構造にある。
豪州では、年間肉牛出荷頭数の6〜10%が生体で輸出されている(図29)。特に、北部準州(NT)やQLD州北部、西オーストラリア(WA)州北部では、肥育もと牛や輸出先国の食肉処理・加工施設に直接出荷される肉牛(以下「と場直行牛」という。)の、東南アジアや中東に向けた生体輸出が重要な産業の一つとなっている。
(2)牛肉生産を取り巻く状況ア 気候変動(干ばつ)豪州東部では、2012年後半以降高温・乾燥が急速に進行した(図31)。2014年以降はニューサウスウェールズ(NSW)州南部やビクトリア(VIC)州などでは改善が見られているが、肉牛の約半数が飼養されるQLD州では、2年連続で雨季(11月〜翌3月:夏)にまとまった降雨がなかったことから、放牧環境が著しく悪化した。2014年8月現在、同州の4分の3が干ばつ宣言地域に指定されている。
肉牛価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格を見ると、牛群再構築が行われ、肥育もと牛の出荷やと畜頭数が減少した2011年は高水準で推移し、同年12月には1キログラム当たり428豪セント(424円)と過去最高値をつけた。しかしながら、高温・乾燥気候に転じた2012年後半以降、と畜頭数の増加、早期出荷による肉牛の品質低下、牧草肥育牛生産者からの肥育もと牛需要の減少などから右肩下がりとなり、2014年1月下旬には同278.5豪セント(276円)まで下落した(図34)。 こうした状況を受け、干ばつが長引く北部の肉牛生産者の経営は悪化している。2013/14年度(7月〜翌6月)の北部の肉牛生産者1戸当たり現金所得は4万9000豪ドル(485万円)と、過去10年平均の5割程度にまで減少した(図35)。
2013/14年度の冬作物の生産量は、最大の生産地域であるWA州や南オーストラリア州の主要生産地帯で生育期の降雨に恵まれたことから、過去2番目の高水準となった。一方、QLD州やNSW州北部では、干ばつにより2年連続の減産となり、同州南部の穀倉地帯ダーリングダウンの周辺に集まるフィードロットとブロイラーなどとの飼料需要が競合したため、QLD州の穀物価格は飼料用を中心に高騰した。現在は、一時期よりも下落しているものの、VIC州などと比べると依然高い水準で推移している。
(3)輸出動向干ばつによると畜頭数の増加に海外からの堅調な需要が加わり、牛肉輸出量は2010年以降、増加の一途をたどっている。2013年5月には初めて単月で10万トンを超え、2014年7月までに単月記録は数度更新されており、この輸出増加を米国や韓国、中国、インドネシアなどの堅調な需要が吸収した。豪州産の強みとしては、口蹄疫やBSEの未発生国であること、アジアや中東などへのアクセスが良いこと、多様な飼養品種や飼養方法(牧草肥育と穀物肥育、さまざまな出荷月齢)による製品の多様性や価格の柔軟性があること―が挙げられる。 豪州は、米国でのBSE発生後に日本や韓国への輸出を伸ばしたが、近年は、製品の多様性や価格の柔軟性を活かし、価格の安いインド産や南米産に対抗しつつ東南アジアや中東にも輸出を伸ばしている(図38)。
現地関係者によると、新たな市場の需要は、主に冷凍牛肉や牧草肥育(グラスフェッド)牛肉に対するものであり、冷蔵牛肉や穀物肥育(グレインフェッド)牛肉への需要はまだ限定的であるという。このことは数値にも表れており、冷蔵および冷凍牛肉の輸出量の推移を見ると、冷蔵牛肉はここ数年25万〜27万トンとほぼ変化が見られない一方、冷凍牛肉は増加を続けており、2010年以降の輸出をけん引している(図39)。また、飼養方法別の輸出動向を見ると、ここ数年、グレインフェッド牛肉輸出量は20万トン前後で推移する一方、グラスフェッドは確実に伸びている(図40)。
(ア) 日本 日本は2004年以降、最大の輸出先であったが、日本での米国産の輸入再開に伴って、日本向け輸出量は減少傾向にあり、2013年は28万8794トンとなった(図41)。日本での米国産との競合は冷蔵で著しく、冷凍牛肉は一定水準を維持する一方、冷蔵牛肉は右肩下がりの推移となっている。 2013年の国別牛肉輸出価格を見ると、冷蔵と冷凍のいずれも、日本向けはおおむね他国を下回っており、他国向けとの競合の激化も減少に影響したとみられる(図42)。
MLAは、今年7月に調印された日豪EPA(経済連携協定)について、豪州にとっては輸出促進の機会を創出するとしているが、日本にとっては米国向けと主に加工用で、中国向けと冷凍牛肉全般で競合するほか、インドネシアやEU向けなどほかの成長市場との価格競争によって、EPA発効後も厳しい取引環境が続くとみている。 (イ) 米国 近年、米国は、豪州の第2位の牛肉輸出先となっている。2013年の輸出内訳は、冷凍牛肉が83%を占め、部位別では、ハンバーガーなどの原料となる加工向けが7割を占めている。 米国向け輸出量は、米国内の近年の牛肉輸入量の減少に伴って減少傾向で推移し、2013年には21万2702トン(前年比5.1%減)と2001年と比べると半減したが、2014年から好調に推移し、2014年1〜7月では19万595トン(前年同期比1.6倍)と日本向けを超える数量となった(図43)。
米国でBSEが発生する2003年まで、韓国の最大の輸入相手先は米国であったが、米国産の牛肉輸入停止により、豪州の韓国向け輸出量は2004年から2006年にかけて増加した(図45)。
韓米FTA(自由貿易協定)が発効した2012年から、米国産の関税率は段階的に引き下げられ、2014年の豪州産と米国産の関税率の差は8.0%となっている。しかしながら、豪州産と米国産の輸入価格(CIF)を見ると、米国産が減産で高騰しているため、豪州産との価格差は拡大傾向にある(図46)。2014年1〜6月の米国産の輸入価格は、冷蔵、冷凍ともに、豪州産を大きく上回り、図47のとおり関税率の差を相殺する形となっている。 韓豪FTAは2014年4月に調印され、米国産と同様、現在の関税率40%は15年かけて撤廃される予定である。今年中に発効されれば、以降の豪州産と米国産との関税率の差は5.4%に縮小されることになり、豪州はこれが韓国市場での優位性につながるとみている。
中国向け輸出量は2012年9月頃から増加し、2013年は前年の4.7倍となる15万4833トンと急伸した(図48)。内訳を見ると、冷凍牛肉が9割を占め、部位別ではばら、もも、すねが満遍なく輸出されており、日本向けでは約4割を占める加工向けは1割に満たない(図49)。特にばらは価格面で日本向けと競合し、輸出量の減少の要因になったとされる。
中国政府は現在、インドからの水牛肉の輸入開始や、ブラジル、米国からの輸入再開に向けた交渉を進めているとされるため、今後、他国産との競合が強まると見る向きもある。一方、豪州政府は、中国と年内のFTA締結を目指して交渉を進めるほか、生体牛輸出拡大のための協議も行っている。 (オ) 東南アジア・中東 東南アジア向け牛肉輸出量の約4割を占めるインドネシア向けの動向を見ると、2009年まで増加傾向で推移した後、2011年、2012年は牛肉輸入枠の縮小により大きく減少した。しかし、2013年は、国内の牛肉価格高騰を抑制するために、後半以降の牛肉輸入枠が拡大されたことから再び増加し、3万9418トン(前年比45.5%増)と4年ぶりに増加した(図50)。
一方、中東向けの5割を占めるサウジアラビア向け輸出量は、2013年に3万1126トン(前年比5.9倍)と急増し、2014年1〜7月も2万2513トン(同11.7%増)と、これまでのところ好調に推移している(図51)。 サウジアラビアは、2012年12月のブラジルでのBSE発生により、同国からの牛肉輸入を停止した。輸入の内訳を見ると、2012年はインド産が60%、ブラジル産が26%であり、豪州産は5%に満たなかったが、ブラジル産が禁止された2013年以降、豪州産は同国のシェアを奪った状況となっている。 MLAは、ブラジル産の輸入が再開されれば、豪州産は冷凍を中心に減少するとみる一方で、堅調な需要が見られる冷蔵の高価格帯を中心に、サウジアラビアでの一定のシェアを保つとみている。
(4)まとめ2013年の豪州の牛肉輸出量は、2012年後半から悪化した干ばつに伴い牛肉生産量が増加する中で、中国における需要急増や米国での牛肉生産量の減少、2012年末のブラジルでのBSE発生などが重なった結果、過去最高を記録した。豪州政府は、今年4月に韓国とのFTA、7月に日本とのEPAに調印し、中国とのFTA交渉も年内締結を目標としている。生体牛についても、今年に入りエジプトやカンボジアなど4カ国へのアクセスを獲得した。こうした動きについて、豪州政府は、長引く干ばつに苦しむ生産者に、出荷先の選択肢を広範囲に用意することが政府の重要な役割だとしている。 南部では、気象条件が改善したことや好調な輸出需要を受けて、2014年に入って以降、肉牛価格は前年に比べると上昇基調で推移している。と畜頭数や生体牛輸出が増加し、肉牛供給力が低下しつつある中、北部での牛群再構築が進行すると、さらに供給量は減少し、肉牛および牛肉価格は急騰するとみられている。 このため、豪州産への堅調な需要が引き続き見込まれる中にあっては、価格志向の強い市場を中心に、今後の日本における豪州産の手当てが困難になっていくものと考えられる。 〔伊藤 久美〕 NZの牛肉生産・輸出概況
○ 概要世界第5位の牛肉輸出国であるNZでは、豪州と同じく生産量に比べて国内の市場規模が小さい(人口:440万人)ことから、必然的に輸出市場を念頭に置いた需給バランスとなる。ただし、豪州との違いとして、NZ国内では穀物の生産基盤が非常に小さく、基本的には牧草肥育による牛肉輸出が中心となる。また、NZは世界的な主要酪農生産・輸出国であることで、輸出される牛肉は酪農部門から供給される乳用種の肥育や経産牛を多く利用していることが特徴的であり、飼養頭数の約7割は酪農が盛んな北島で肥育されている。このため、一般的に、低コスト生産による牛肉が中心となる。 牛の飼養動向を見ると、世界的な乳製品需要の高まりを背景に酪農生産・輸出が伸びており、飼養頭数はこの10年間で乳牛が約3割の増加となる一方、肉牛は2割の減少となった(図52)。
なお、肉牛の生産・肥育に特化した生産者は少なく、一般的には羊との複合経営が多い。 ○ 生産 前述のように国内市場が小さいことから、牛肉生産量の約95%を輸出に向けなければならず、生産、価格ともに国際相場の影響を受けやすい。 また、酪農生産現場からの供給が一定の割合を占めることで、例えば国際的な乳製品需要の高まりにより生産者乳価が高水準になると、酪農家の生産意欲が高まり経産牛の出荷などが少なくなる。一方、干ばつなどによる放牧環境の悪化や生産者乳価が低迷した際は、酪農家からの早期出荷が増えるなど、気候変動や乳製品相場も牛肉生産に影響を及ぼす。
2012/13年度の牛肉輸出量を見ると、4割強が米国向けとなっている。米国向けは主にハンバーガーのパテなどに利用される冷凍の加工向けが主流である。これは、経産牛のと畜が多いNZの特徴を示したものであり、低コスト生産を武器に特定の分野で高い輸出競争力を発揮し、一方で米国側も、加工用として安定かつ低価格での数量を確保できることになる。 このほか、中国向けの伸びも注目される。NZと中国は2007年4月に自由貿易協定(FTA)を締結しており、牛肉については2008年から段階的に関税率が引き下げられ、2016年にはゼロとなる。これを背景に、2012/13年度は米国に次ぐ輸出先であった日本を抜いて中国向けが2位となった。 2013/14年度については、期中の実績(10月〜翌7月)であるものの、米国向けおよび中国向けで、旺盛な牛肉需要を背景に前年度水準を上回っている。一方で、日本向けは、両国への輸出が増加する中で、他の牛肉輸入国との競合などにより前年度水準をかなり大きく下回っている(図54)。
〔横田 徹〕
3 カナダ(1)概況カナダの牛肉生産は、隣国の米国の牛肉需給と密接に関係しているとされる。1989年の米国との米加自由貿易協定(FTA)発効による牛肉生産・輸出部門への米国資本の参入と米国向け生体牛輸出の増加、また、2008年の米国で導入された農産物・食肉に関する原産国表示(COOL)による生体牛輸出の減少などは、カナダの肉牛飼養頭数や牛肉生産に対する大きな変動要因となっている。ア 飼養経営体数 肉用牛飼養経営体数は近年、一貫して前年を下回って推移しており、2014年1月は8万2515戸(うち酪農専業を除いた肉用牛飼養経営体数は6万8480戸)と、2000年と比べ3割減少した。 カナダも米国と同様、繁殖経営、肥育経営、食肉処理・加工部門のそれぞれが専業化し、規模拡大や経営の集約化を図ることで、牛肉の生産コストを削減している。特に、米加FTAやその後のNAFTA発効により肥育や食肉処理・加工部門への米国資本の参入(現地資本の買収を含む)が増加してきたことで、大規模化がより加速したとされる。 2014年の肉用牛飼養経営体数の内訳を見ると、繁殖経営が全体の67.1%(5万5350戸)、育成経営が同10.8%(8950戸)、肥育経営が同3.4%(2815戸)である(図55)。繁殖経営は1戸当たり飼養頭数が約120頭と、米国より専業化が進んでいる。
2014年7月1日現在の牛総飼養頭数は、1333万頭となっている。飼養頭数については、2003年5月、BSEの発生に伴いカナダ産牛肉(生体牛を含む。)の輸入が相次いで停止された影響により、一時的に増加し、2005年には過去最高の1688万頭となった。 その後、米国が月齢制限など(牛肉は30カ月齢超、生体牛は1999年3月1日生まれ以降)を設けた上で、輸入解禁に踏み切ったことから、滞留していた牛が出荷され、2006年以降飼養頭数は減少傾向で推移した(図56)。
2008年に入り、米国向け生体牛の輸出は、カナダドル高(対米ドル)の影響により、生体牛に割高感が出てしまうなど、著しく落ち込むこととなる(図57)。 このため、繁殖雌牛の頭数回復には至らなかった。
現在、カナダの飼養頭数はほぼ横ばいで推移しているが、米国の肉牛生産の回復にはさらに時間を要することが見込まれることから、繁殖雌牛後継牛頭数がCOOL施行前の水準に近づきつつある(図58)。
ウ フィードロット経営 カナダの牛肉は、その大部分が大麦やトウモロコシなどの穀物肥育によるフィードロット経営から供給されている。一般的な生産サイクルは、まず、誕生した子牛は6〜8カ月間、繁殖経営の放牧地で飼養され、育成経営に移動する。そこで約1〜2カ月間、牧草などで飼養された後、フィードロット経営に移動する。フィードロット経営では約8カ月間、西部は大麦、東部はトウモロコシを中心とした飼料穀物が給与され、20〜21カ月齢で市場に出荷される。 2014年1月のフィードロット飼養頭数を州別に見ると、アルバータ州が全体の64.6%となる93万4400頭、オンタリオ州が同16.8%の24万2900頭である。一方、経営体数ではアルバータ州が605戸となり、1経営体当たりの肥育頭数では平均約1500頭、オンタリオ州が1435戸で同170頭と規模の格差がみられる。アルバータ州などの西部諸州では、豊富な飼料穀物を背景に米国資本などによる規模拡大が進んでいるとされる。 一方、オンタリオ州など小規模の経営体は、飼料コストが西部諸州に比べて高くなることから経営効率が悪いとされ、最近の飼料穀物価格の高騰などの影響を受け、戸数および頭数減少が進んでいる。
2013年の1頭当たりの平均枝肉重量は372キログラムとなり、飼料効率の向上や牛の遺伝的改良などにより増加傾向で推移している。このうち、去勢牛では、2000年の369キログラムに対して2013年は397キログラムと、この13年間で7.6%の増加となった(図61)。
牛肉生産量は、1頭当たりの平均枝肉重量が増加傾向で推移している中で、2003年のカナダでのBSE発生により米国向け生体牛輸出が停滞したことで、カナダ国内でのと畜頭数が増加した。2004年をピークに、それ以降は、米国向け生体牛輸出の再開とその後の増加や牛飼養頭数の減少などから減少傾向で推移し、2013年は、2004年に比べ約3割減の104万9000トンとなった(図62)。
2013年の牛肉輸出量は、29万3000トンであった。輸出量の約7割は、隣国であり世界最大の牛肉輸入国でもある米国に向けられている。次いで香港、また、NAFTA加盟国であるメキシコ、さらに日本、中国と続いている(図64)。
生体牛輸出は、米国で2008年に施行されたCOOLにより、2008年をピークに激減した。米国向け生体牛輸出の減少を補う新たな輸出先を確保できなかったことから、その後の肉牛飼養頭数は減少し、肉牛産業は大きな影響を被ったとされている。 なお、2012年以降は、米国で牛肉生産量が減少しているため、牛肉需要を満たすべく生産に直結すると場直行牛として生体牛輸出は増加に転じている。 農産物・食肉に関する原産国表示
COOLは、消費者への情報提供の強化などを目的に、2002年米国農業法で牛肉や豚肉などの原産国の表示が義務付けられ、2008年農業法で規定の一部が修正された後、2008年9月30日より施行された。(Country of Origin Labeling:COOL) 北米の牛肉・豚肉産業は国境を挟んで分業となっており、カナダで出生した牛や豚が米国に拠点を置く肥育業者やと畜業者へ出荷されている。COOLでは、米国産とされる食肉は「出生」、「肥育」、「と畜」のいずれも米国国内でなされたものに限るとされている。このため、(1)米国の食肉企業はカナダで出生・肥育した家畜、(2)カナダで出生・米国で肥育した家畜、(3)米国で出生・肥育した家畜を牛肉の生産・流通・販売段階で仕分ける新たな作業が必要となった。これら仕分けに係るコストを敬遠して米国の食肉業者は、カナダ産などの家畜に対し、受け入れの停止や、値引きを要求するようになったとされる。この影響で、生体牛輸出頭数は激減した(図65)。
牛肉輸入量については、牛肉生産量の減少に伴い2005年以降は増加基調にあるが、2013年は前年比5.0%減の18万3552トンとなった。2013年の輸入量を相手先別に見ると、米国が75.6%を占め、次いで、豪州、NZ、ウルグアイと続き、この4カ国で全体の99.9%を占めている(図66)。
(2)牛肉生産を取り巻く状況ア 飼養品種と牛肉品質の優位性上述のとおり、カナダの牛肉生産は、米国の牛肉需給と密接に連動し、また、肉用牛の生産技術などについては、基本的に米国と同じであるが、牛肉の品質については、米国や豪州などよりも優位性があるとされている。 カナダは、太平洋側の西海岸沿岸部を除き、ほぼ全域が亜寒帯、寒帯に属している。肉用牛が多く飼養されている西部諸州や、都市が多い東部諸州も亜寒帯気候に属する冷涼な気候であるため、米国南部や豪州で飼養されている暑さや乾燥に強い熱帯種(Bos indicus)は飼養されず、ヨーロッパ種(Bos taurus)のアンガス種などが基本となっている。ヨーロッパ種は、熱帯種に比べて肉が軟らかく、肉質も安定しているとの研究結果が出ている。現在のカナダで飼養されている品種は、増体や歩留まりなどを求めてヨーロッパ種の交雑種が主流となっている(図67)。
イ 飼料生産 カナダは、世界有数の小麦や大麦などの穀物生産国であり、給与される飼料のほとんどが自給可能となっている。また、寒冷な気候であるため、干ばつによる被害は少なく、安定した飼料供給が期待できることから、ほかの牛肉生産・輸出国に比べて優位性があるといえる。34年ぶりとされる干ばつの発生により、2002年の大麦の収穫量は低水準となったが、肉牛の飼養頭数に影響するまでには至らなかった。 2012/13年度(8月〜翌7月)の主要穀物の生産量を見ると、小麦が2721万トン、大麦が801万トン、トウモロコシが1306万トンとなっている。 なお、フィードロットで給与される飼料穀物は、その地域の飼料穀物生産・流通事情を反映し、東部諸州は米国のコーンベルトに近いことからトウモロコシが中心であるのに対し、西部諸州は大麦が中心となっている。 大麦の重要性について、カナダ農務・農産食品省(AAFC)の資料によると、カナダのフィードロット生産のエネルギー源として最も経済的であるとした上で、生育期・仕上げ期の牛に必要なタンパク質の所要量に適合しているとしている。また、同資料では、大麦肥育の方が、トウモロコシ肥育よりも牛肉の霜降りの割合も大きく、また、脂肪の色も白いとしている。さらに、消費者に試食してもらったところ、大麦肥育の方がトウモロコシ肥育より好きという結果であった。和牛生産においても、大麦を給与した牛は、飽和脂肪酸が多いため脂肪融点が高く、風味豊かな美味しさのきめ細かな肉質に仕上がると言われている。なお、フィードロットでは、約8〜9割が大麦由来の飼料となっている。 飼料穀物は豊富な一方で、飼料穀物価格は国際相場の影響を大きく受けている。米国のトウモロコシとカナダの大麦を年平均で比べてみると、ほぼ同じ値動きとなっている(図68)。2006年下半期以降、米国でのエタノール需要増加などに伴うトウモロコシ価格の上昇時も、カナダの大麦価格は連動して上昇し、また、2012年に干ばつにより米国のトウモロコシ価格が上昇した時も、同じく大麦価格は上昇するなど、米国の飼料穀物需給はカナダの肉牛経営に影響を与える大きな要因となっている。
国内の食肉処理・加工施設は、2007年には31施設あったが、BSE発生による出荷頭数の減少やカナダドル高で推移する為替相場などを背景とした収益の悪化、また、海外資本の参入による統廃合などにより、2013年1月現在、19施設まで減少している(表2)。 施設の規模については、主要肉牛生産地であるアルバータ州には、週当たり2万頭を超えると畜能力を持つ外国資本の大規模食肉処理・加工施設が2カ所(2013年の国内と畜頭数全体の70.3%)存在するが、それ以外は比較的規模が小さいとみられている。
(3)輸出動向牛肉輸出は、生産量(製品重量ベース、と畜として出荷される生体牛を含む。)の約44%を占めており、食肉業界にとって非常に重要な位置付けにある。輸出相手先は、世界70を超える国や地域となっており、米国を中心に香港、メキシコ、日本、中国で全体の95%を占めている。米国でのCOOL以降、生体牛の輸出が減少したことで、輸出競争力を高めるために相手国のニーズ(部位やカット)に即した牛肉輸出体制を整えるなど、「牛肉」としての輸出強化が推進されている。ア 米国 米国は、NAFTAによる恩恵もあることから、最大のパートナーであり、輸出量および輸出額ともに最大の取引先となっている。2003年はカナダでのBSE発生により停滞したが、同年9月には30カ月齢未満の骨なし牛肉の輸出が再開し、2005年7月からはすべての牛肉の輸出が可能となっている。 しかし、牛肉輸出量に占める米国向けシェアは、カナダ国内の牛肉生産の減少やカナダドル高で推移する為替相場、また、米国での景気後退の影響などから年々、低下しており、2005年の86.2%から2013年は70.9%(19万6000トン)まで落ち込んでいる。 2013年の輸出量を品目別に見ると、冷蔵牛肉が85.4%を占め、高級部位とされるテーブルミート向けとしての輸出が中心となっている(図69)。
イ 香港 2013年の香港への輸出量は、2万5000トンと全体の9.2%を占めている。香港向けは、安定した経済成長に伴う好調な牛肉需要から増加傾向で推移している。 カナダでのBSE発生により一時輸出が停止されたものの、2004年12月に月齢制限を設け骨なし牛肉が解禁され、さらに、2009年12月には、米国産牛肉に先んじて輸入月齢制限が撤廃された。これにより、2010年以降、大きく輸出量を伸ばしており、2013年にはメキシコを抜いて第2位の輸出先となった。なお、2013年の輸出量を品目別に見ると、冷凍牛肉が70.3%を占めている(図70)。
ウ メキシコ NAFTAに加盟するメキシコへの輸出量は、2013年に全体の6.4%に相当する1万8000トンとなった。2012年までの牛肉輸出量は米国に次ぐ第2位であったが、為替相場や経済の低迷などにより減少しており、2013年には香港に次ぐ3位に落ち込んだ。 2013年の輸出量を品目別に見ると、冷蔵牛肉が63.6%、内臓肉が35.8%を占め、テーブルミート向けの輸出が主体となっている(図71)。ヒスパニックが主体の同国向けの主な部位は、「かた」、「ネック」、「内臓肉」となっている。 なお、メキシコ向け輸出は、現在も月齢制限が維持されていることから、メキシコ向け輸出の減少要因の一つにもなっているとみられている。
2013年の日本への輸出量は、全体の5.6%を占める1万5500トンであった。日本向けについても、BSE発生により輸出が一時停止したが、2005年12月から再開され、2009年以降、輸出量は1万トンを超えている。2013年2月には米国とともに月齢制限が緩和(30カ月齢以下に引き上げ)されたことで、高級部位の輸出拡大につながっている。 2013年の輸出量を品目別に見ると、冷凍牛肉が58.1%、内臓肉が31.2%を占めている(図72)。また、日本向けは、ステーキ用の「リブロース」が主体となっている。 カナダビーフ国際機構によると、カナダ産牛肉は、日本国内でメーカーを問わず西側の大麦主体の飼料で生産された牛肉を「ロッキー山麓牛」、東側のトウモロコシ主体の飼料で生産された牛肉を「楓牛」と、カナダのイメージによるネーミングを付して販売されている。現在、日本向けに輸出可能な認定食肉処理・加工施設(子牛肉の処理場を含む。)は5カ所にとどまっているが、マーケティング活動がうまく浸透してきており、対日輸出量は増加している。
2013年の中国への輸出量は、輸出全体の2.3%を占める6500トンであった。BSE発生により、中国向け輸出は一時停止したが、2012年2月に月齢制限を設け解禁され、また、2014年6月には月齢制限を緩和した上で骨付き牛肉の輸出が可能となった。牛肉需要が拡大する中国では、カナダからの輸入を拡大したいとの背景から、輸出認定食肉処理・加工施設を増やしており、現在、8カ所が認定されている。 カナダの牛肉業界は、中国について、北米で唯一、輸出が解禁されていることや、牛肉需要が高まっていることなどから極めて重要な市場と位置づけている。業界関係者によると、今後、中国向けの牛肉輸出は、年間2億4000万カナダドル(232億8000万円)と、2013年の約10倍まで伸びると見込んでいる。2012年の輸出実績は、540万カナダドル(5億2380万円)、2013年は2500万カナダドル(24億2500万円)であった。 2013年の輸出量を品目別に見ると、リブロース、かたなどの冷凍牛肉が86.1%、内臓肉が13.5%を占めている(図73)。
このほかの輸出先として、韓国向けへの輸出拡大が期待されている。カナダ政府と韓国政府は2014年6月、FTAの締結を発表した。この協定では、牛肉(冷蔵・冷凍)の関税について、韓国が豪州および米国との間で締結したFTAと同様に、現行40%を15年間かけて撤廃することとしている。また、内臓肉については、18%の関税を米国とのFTAでは15年で段階的に撤廃するとしたところを、カナダとのFTAでは11年で段階的に撤廃することとしており、業界関係者は、この部分での市場獲得に期待をかけている。 韓国向け輸出実績として、BSE発生以前の2002年には1万4000トンを記録するなど、輸出先としては当時、第4番目の市場であった。2012年の輸出再開後は、先に韓国とのFTAを締結した豪州、米国の影響もあり、カナダからの牛肉輸出量は年間1000トン程度にとどまっている。 (4)まとめ北米の肉牛のキャトルサイクルは、10年程度と言われているものの、ここ数年のカナダの飼養頭数は、ほぼ横ばいで推移している。ただ、これまで、米国への肥育もと牛輸出を阻害していたCOOLについては、WTOの紛争小委員会および上級委員会は、米国に対して見直しを求めることとしており、米国の改善策に対する最終判断が、本年中に公表される見通しとなっている。これが、カナダの生体牛輸出に有利に働くことが期待されている。 また、米国での子牛の不足によりもと牛価格は上昇しているが、カナダドルは、2013年以降、米ドルに対して、弱含みで推移しているので、米国向け肥育もと牛輸出の拡大の要因となることも考えられる。 このような状況に加えて、中国向けの輸出が増加していることや、大麦を飼料とした生産管理による高品質な牛肉を前面に打ち出したプロモーションが行われていることを考慮すると、繁殖雌牛後継牛の保留が強まっているカナダの肉牛生産は、ほぼ横ばい状態から今後は上昇基調に転じるものと考えられる。 〔山ア 良人〕
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