需給動向 海外

◆米 国◆

2015年の鶏肉生産量、過去最高を記録


生体重は増加傾向で推移

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2月25日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2015年の処理羽数は、前年比1.9%増の86億8846万5000羽となった。また、1羽当たりの平均処理時生体重は、飼料穀物価格が安値で推移したことなどにより、同1.8%増の2.7キログラムとなった。処理羽数および生体重が増加した結果、鶏肉生産量は、同3.8%増の1816万6000トンと過去最高を記録した(図14)。





ただし、2016年1月の鶏肉生産量は、1羽当たりの平均処理時生体重が前年同月比1.1%増と引き続き増加したものの、処理羽数が同3.6%減の6億9818万5000羽となったことから、同2.3%減の147万5000トンとわずかに減少した。

在庫量は高水準を維持

USDA/NASSが2月23日に公表した「Cold Storage」によると、2016年1月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、生産量の増加に加え、鳥インフルエンザを契機とした輸出減により、前年同月比12.9%増の37万4000トンと、高水準で推移している。主要部位別に見ると、むね肉は同28.9%増の7万4000トン、レッグ・クオーター(注)は同26.0%増の7万4000トン、手羽は同23.8%増の3万6000トンといずれも大幅に前年を上回った。

(注)ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。

輸出量は前年を大きく下回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が公表している「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2015年の鶏肉輸出量は、前年比13.4%減の286万6000トンとかなり大きく前年を下回った(図15)。



主要輸出先国別に見ると、需給緩和による価格安により、カナダ向けが同11.5%増の18万1000トン、香港向けは同27.0%増の13万3000トンとなった。一方、ウクライナ問題を背景に2014年8月からロシアが実施している禁輸措置に加え、中国および韓国が、鳥インフルエンザ発生を理由に米国産鶏肉の輸入停止措置を講じており、これらが輸出量の減少要因となった。

鶏肉卸売価格は安値で推移

USDA/ERSが2月29日に公表した「Wholesale Prices」によると、2016年2月の鶏肉卸売価格(丸どり)は、国内供給量の増加により、前年同月比10.7%安の1ポンド当たり82.7米セント(1キログラム当たり210円:1米ドル=115円)と、12カ月連続で前年を下回って推移している(図16)。





(調査情報部 渡邊陽介)


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