需給動向 海外

◆中 国◆

乳業メーカーの過剰在庫で粉乳輸入量は減少


乳価は引き続き緩やかに上昇

中国農業部によると、需要の減少などにより低下していた生産者乳価は、2015年9月に底を打って緩やかな上昇基調に転じ、2016年3月は1キログラム当たり3.6元(約64.8円:1元=18円)となった(図27)。この要因として、乳業メーカー各社による活発な乳製品の販売促進が家計消費を増加させていることが挙げられる。



一方で、乳牛の飼養頭数は引き続き減少傾向となっている。現地の乳業関係者によると、乳業メーカー各社は、コスト削減のため自由貿易協定(FTA)の相手国であるニュージーランド(NZ)や豪州から、国産品よりも安価な粉乳を輸入していることから、国産生乳需要が減少するとしている。このため、産地指定牛乳向け原料乳を生産する一部の大規模酪農経営や乳業メーカーの直営牧場などを除き、中小規模の経営を中心に、今後も飼養頭数の減少や離農が見込まれている。

2016年1〜2月の粉乳輸入は減少

粉乳(全粉乳および脱脂粉乳)については、乳業メーカー各社による輸入在庫の取り崩しが進みつつあるが、経済の減速傾向などを背景として国内の需要が減少していることにより、2016年1〜2月の輸入量は、全粉乳が12万561トン(前年同期比5.7%減)(表5)、脱脂粉乳も3万3486トン(同17.8%減)と前年同期を下回った(表6)。





粉乳の最大の輸入先であるNZに対するセーフガード(SG)の発動状況を見ると、2015年は年が明けてわずか3日で発動したのに対し、2016年は年明け21日後の発動となった(表7)。現地の乳業関係者によると、これまで乳業メーカー各社は、特恵税率でいかに多く輸入するかが課題であったが、2016年は、過剰在庫を消化しきれていないため、輸入よりも在庫消化を優先させているとしている。しかし、依然として国産品に対する不信感を持つ消費者が沿岸都市部を中心に多いため、在庫消化をさらに進めるためには、輸入原料使用を全面に押し出した安全性の訴求や、新商品の開発などによる需要の喚起が求められるとのことである。



需要が低迷している国産品については、一人っ子政策の廃止により、育児用調製粉乳(育粉)を中心に、内陸の地方都市での需要が伸長する可能性がある。現地報道によると、これらの地域では産科の医師、看護師およびベッド数に加え、育粉などの乳児用品も不足し始めているとしている。これは、一人っ子政策廃止初年度である2016年が、中国で縁起がよいとされるさる年であるため、第2子の出産を希望する夫婦数が増加しているためとされる。内陸の地方都市は沿岸部より所得水準が低く、輸入品よりも安価な国産品の人気が高いことから、これらの地域が国産品の需要をけん引するとみられている。

(調査情報部 伊澤 昌栄)


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