米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○95年の輸出動向



● 前年比35%の増加


 先頃、 米国農務省が発表したところによると、 95年のブロイラー輸出量は、 前 年比35%増の177万トン (可食処理ベース・骨付き、 以下同じ) であった。 ブロ イラー輸出は、 85年以降、 毎年前年を上回って推移しており、 国内生産の増加や、 特に主要な輸出品目であるもも肉の価格を支える重要な要因となっている。 生産 量に占める輸出の割合は、 10年前には2%に過ぎなかったが、 95年には16%にま で上昇した。

● ロシア向けが引き続き急増


 国別では、 ロシア向けが前年比81%増と高い伸びを示し、 シェアも前年の29% から38%へと大きく拡大した。 同国では国内の食肉生産の減少などから、 用途が 広く、 かつ、 安価な米国産もも肉への需要が高くなっている。 なお、 米国におい ては、 もも肉の卸売価格は、 主に国内で消費されるむね肉価格のほぼ3分の1で ある。  なお、 米国からロシアへ直接輸出された数量は67万3千トンであったが、 エス トニアなどの近隣諸国に向けられたブロイラーの多くは、 ロシアへ再輸出されて いる模様で、 実際には、 さらに大量の米国産ブロイラーがロシアで消費されてい るものとみられている。 ちなみに、 米国のエストニア (人口約160万人) 向け輸 出量は、 約5万7千トンにのぼっている。  なお、 今年2月以降注目を集めたロシアの米国産家きん肉の輸入禁止問題につ いては、 これを実施しないことで両国政府が正式に合意したことから、 米国業界 関係者に安ど感が広がった。 ロシア向けのブロイラー輸出量は、 米国の生産量の 6%を占めており、 その比重の重さから、 禁止措置が実行された場合、 ブロイラ ー生産の利益が昨年の半分以下になるとする業界アナリストもいるなど、 その影 響が懸念されていた。

● アジア向けも好調


 ロシアに次ぐ輸出相手先である香港向けについても、 前年比36%増と大幅な伸 びを記録し、 全体の4分の1のシェアを占めた。  香港向けの大半は、 中国に再輸出されており、 中国での加工処理向けを中心と した需要の伸びが、 中継基地機能を持つ香港への輸出増加の要因と考えられる。  一方、 日本向けは、 上半期には円高などを背景に前年を上回ったものの、 秋以 降円安となったこと、 中国やブラジルからの供給が増加したことなどで、 通年で はわずかながらも前年を下回り (1%減)、 シェアも前年の9%から7%へと減 少した。
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