豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○フィードロットの飼養頭数、 回復傾向が鮮明に


12月末の飼養頭数が前年比で22. 4%の大幅な増加

 豪州フィードロット協会 (ALFA) と豪州食肉畜産公社 (AMLC) による四半期ご
とのフィードロット飼養動向調査によれば、 97年12月末のフィードロット飼
養頭数は約44万8千頭となり、 前年同期 (96年12月末) と比較すると、 2
2.4%の大幅な増加となった。 これは大部分が豪州国内市場向けの増加による
もので、 豪州国内では、 大手量販店が戦略的に穀物肥育牛肉を取り扱っているこ
ともあって、 国内需要が拡大傾向にあることを反映しているものと思われる。 し
かし、日本でのO−157問題などによる消費の減退により、 輸出が大きく落ち込
んだ96年の状況からは回復したものの、 まだ95年12月の頭数水準には達し
ていない。 

◇図:仕向け先別飼養頭数の推移◇

州別フィードロット飼養頭数

 資料:ALFA/AMLC「National Feedlot Survey」
   ( )内は対前回比:%


前回との比較では季節的な要因などにより減少

 一方、 前回調査時点 (9月末) と比較すると、 飼養頭数は8.1%の減少とな
っている。 12月末のフィードロット飼養頭数を州別に見ると、 9月末時点で全
飼養頭数の半分以上を占めていたクイーンズランド州では、 本格的な放牧シーズ
ンを迎えたという季節的な要因に加えて、 当初予想されていたエルニーニョの影
響がそれほど顕著に見られず、 むしろ、 降雨による干ばつの解消で放牧が増えた
ことなどを反映して、 前回調査時点より19.1%減少した。 また、 サウスオー
ストラリア州でも4割ほど減少している。 一方、 その他の州で増加してはいるが、 
クイーンズランド州における減少分 (5万頭強) をカバーするには至っていない。 


今後の飼養頭数、 増加傾向へ

 ALFAでは、次回98年3月期のフィードロット飼養頭数は、放牧シーズンが終わ
りを迎えることなどから増加に転じ、 97年12月末と比較すると全体で6.3
%増の47万6千頭になると予測しており、 前年 (97年3月) と比較しても8. 
9%とかなりの増加が見込まれている。 頭数規模は小さいものの、 特にビクトリ
ア州、 サウスオーストラリア州およびウエスタンオーストラリア州で飼養頭数が
増えると予測されている。 

 さらに長期的には、 前述の豪州国内市場向けの拡大傾向に加えて、 依然として
仕向け先の過半を占める対日輸出の回復・増加も今後の動向に大きく影響するも
のと思われる。 低迷していた日本での牛肉消費がさらに回復すると予想されるこ
とや、 昨今の米ドルに対する豪ドル安の影響により、 豪州と競合関係にある米国
と比較して輸出競争力が増していることなどが、 対日輸出面で豪州にとって有利
な展開をもたらすと考えられる。 これらを背景に、 今後の飼養頭数は増加傾向で
推移する可能性が高い。 



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