◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) が1月30日に公表した調査結果によると、 98年1月1日 現在の全米の牛の総飼養頭数は、 前年同期比で1.9%減、 実数で196万頭減 少し、 9,950万頭となった。 90年に底を打ったキャトルサイクル (肉牛経 営の収益性の変化がもたらす循環的な牛群消長) は、 6年後の96年にピークに 達し、 以後、 下降局面に入っており、 総飼養頭数は、 5年ぶりに1億頭を割り込 んでいる。 ◇図:牛の総飼養頭数の推移(1月1日現在)◇ 飼養頭数の内訳を肉用牛部門についてみると、 肉用繁殖雌牛 (経産牛) は、 同 1. 7%減の3, 368万頭とわずかな減少にとどまった。 一方、 更新用の未 経産牛は、 同5.1%減の575万頭と経産牛に比べて減少率が大きく、 今後も、 肉用牛群の縮小傾向は続くものと予想される。 表1 総飼養頭数 (注)1)500ポンド以上 2)500ポンド未満の子牛 資料:USDA「Cattle」
97年の子牛生産は、前年比で2.7%減、 実数では106万頭減少し、3,8 72万頭となった。 特に7割以上の子牛が生産される時期に当たる97年1月か ら6月の子牛生産頭数は、 前年同期比3.1%減と落ち込んでおり、 これは、 繁 殖雌牛の減少に起因するものと見られる。 表2 子牛生産頭数の推移 資料:USDA「Cattle」
一方、 USDAが1月23日に公表した98年1月1日現在の主要7州におけるフ ィードロット (飼養頭数が千頭以上) の飼養頭数は、 前年同期比5.7%増の9 46万頭となり、 肉用牛群が縮小傾向にある中、 依然高い水準を保っている。 こ の要因としては、 1)現在フィードロットで飼養されている牛が生産されたと見ら れる96年後半において、 子牛生産は減少したものの、 前年に比べて雌子牛の多 くが繁殖雌牛の更新ではなく肥育に向けられたことにより、 肥育仕向けの子牛頭 数は前年並みであったこと、 2)96年には飼料価格の高騰を受けてフィードロッ トでの肥育期間が短縮されたと見られているが、 現在は平常の状態に戻っている ことの2つが挙げられる。 しかし、 導入頭数をみると、 牛群縮小による子牛生産 減を受けて、 97年10月から前年水準を下回って推移しており、 フィードロッ トにおける飼養頭数は、 今年前半中には前年水準を下回ると見ている専門家もい る。 表3 主要7州におけるフィードロットの飼養動向 資料:USDA「Cattle on feed」
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