米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○不振のアジア向け輸出


日本向け輸出、 前年同期比21%減

 米農務省 (USDA) によると、 97年1月〜10月までのブロイラー輸出量 (可
食重量ベース、 骨付き、 以下同じ) は、 前年同期に比べ5.1%増の175万1
千トンとなった。 

 国別では、 最大の輸出市場であるロシア向けの97年1月〜10月までの輸出
量は、 前年同期比12. 3%増、 ロシアに次ぐシェアの香港向けは同10. 9
%減、 続くメキシコ向けは同14. 5%増、 日本向けについては同21. 0%
減と大きく明暗が分かれた。 最近の輸出動向は、このように依然としてロシア、NA
FTA向けが好調であるのに対して、香港、 日本などのアジア向けが不振の状況が続
いている。 


98年予測を下方修正へ

 USDAは、 98年に入り、 昨年12月に公表したブロイラー輸出量の98年見込
みについて、 4万5千トン減の215万5千トンへ下方修正すると発表した。 

 下方修正の要因としては、 まず、 長引くアジア経済の低迷を挙げている。 通貨
の急落などにより最も経済混乱が著しいとみられるインドネシアやタイについて
は、 米国産鶏肉の主要市場ではないものの、 日本はブロイラーの主要輸出先であ
り、 その影響は大きいとしている。 

 なお、 ターキー (七面鳥) についても、 韓国は主要輸出先の1つであることか
ら、 米家きん業界に深刻な影響を及ぼしている。 

◇図:ブロイラーの国別輸出割合(97年1月〜10月)◇


ドル高により輸出競争力が低下

 さらに、 第2の要因としては、 世界有数のブロイラー輸出国であるタイやブラ
ジルが、 米ドル高が一層進むことで、 逆に米国産に対する価格競争力が高まった
ことが挙げられる。 米国は、 これら2国と日本などの市場で競合しており、 今後
そうした主要市場のシェアが奪われる可能性があるとしている。 


香港への輸出意欲が再燃

 しかしながら、 これらの悲観的な要素ばかりではなく、ロシア、バルト諸国、 南
アフリカなどへの輸出は、 引き続き増加が見込まれており、 総輸出量では98年
は前年比1%の微増になると予測されている。 

 また、 香港で発生した新型インフルエンザの影響から、 米業界では主要輸出市
場である香港の鶏肉消費の減退を懸念していたが、 アメリカ家禽鶏卵輸出協会の
キャンペーンが功を奏したこともあり、 発生前の販売状況に戻りつつあることか
ら、 関係者の間では安堵感が広がり、 輸出意欲が再燃している。 

◇図:ターキーの国別輸出割合(97年1月〜10月)◇



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