◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) は、 1月、 月例の穀物需給見通しを公表した。 これによると、 米国では2年連続の豊作で穀物の取引価格が安定的に推移したことを背景に、 飼 料向けを中心とする国内需要がかなり増加していることが明らかとなった。 この ため、 97/98年度 (9〜8月) における飼料穀物の国内需要は、 前年度比5. 7%増の217.8百万トンに達すると見込まれている。 また、 昨年9〜11月 期における飼料穀物の国内消費実績が極めて好調であったことから、 今回の本年 度需要見込みは、 前月公表の予測から6. 1百万トン (2. 9%) 上方修正さ れた。
このうち、 国内需要全体の約4分の3を占める飼料向け需要は、 肉牛のフィー ドロット飼養頭数が依然として高水準にあるほか、 肉豚、 ブロイラーの飼養頭羽 数がいずれも拡大していることから、 97/98年度には前年比5.6%増の1 65.7百万トンに達するとされている。 一方、 トウモロコシのアルコール製造 利用等を中心とした加工原料向け需要も増加しており、 97/98年度には同6. 1%増の52.1百万トンになることが見込まれている。ちなみに、 飼料向け、加 工原料向けともに昨年9〜11月の消費実績が好調であったことから、 いずれも 需要見込みが前月より上方修正された。
また、 穀物の生産量がほぼ前年度並みにとどまる一方で、 国内需要が拡大する ことから、 97/98年度末の穀物期末在庫は、 前年度比140万トン (5.2 %) 減の25.6百万トンに落ち込むと見込まれている。 これにより、 96/9 7年度末に10.5%にまで回復した在庫率 (総需要量/在庫量) は、 今年度末 には9.5%と、 再び一桁台に低下することが予測されている。 2年連続の豊作 になったとはいえ、 価格安定に伴う国内需要の活発化で、 在庫の積み増しには至 らない状況となっている。
一方、 米国の飼料穀物輸出は、このところ国際市場で苦戦を強いられている。す なわち、 米ドル高によって輸出競争力を失いつつある一方で、 東欧諸国、 アルゼ ンチン等の主要な生産地域の生産がいずれも好調であり、 国際市場をめぐる競争 が一段と激しくなっているためである。 また、 昨年来の東南/東アジア諸国にお ける経済混乱が、 これらの国々の穀物輸入を縮小させると見込まれていることも、 米国にとってのマイナス要因のひとつとなっている。 一方、 米国飼料穀物協会は、 中国が、 370万トンの輸出国 (97/98年度) から、 210万トンの輸入国 (98/99年度) に転ずるとの予測を発表した。 こうしたことから、国際穀物市 場をめぐる動向は予断を許さない状況となっている。 米国の飼料穀物需給 飼料:USDA「Crop Report」
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