◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) が1月15日に公表した97年の全米の生乳生産量 (速報値) は、 前年比1.5%増の7,107万トンとなった。 97年の生乳生産量は、 第 1四半期に酪農地帯における悪天候のため生産が落ち込んだものの、 その後、 飼 料価格が比較的安価で安定的に推移したことなどから一転して生産が回復し、 9 7年通年の生産量は過去最高を記録した。 また、 搾乳牛1頭当たりの乳量 (年間 平均) も同2. 7%増加し、 過去最高の7, 690キログラムとなった。 一方、 減少傾向が続いている搾乳牛頭数 (各月末の平均) は、 今年も同1.2%減少し、 924万頭となっている。 ◇図:生乳生産量と1頭当たり乳量の推移◇
州別の生乳生産を見ると、 第1位は、 カリフォルニア州で前年比7.0%増と かなり増加し、 1,255万トンとなった。 しかし、 酪農経営体数は、 同3.4 %の減少となっている。 これは、 中小規模の酪農家が廃業するなかで、 大規模か つ企業的経営がさらに規模拡大を進めていることを物語っており、 これらの大規 模経営体はカリフォルニア州だけでなく全米の生乳生産をけん引していると言え る。 一方、 第2位以下には、 ウィスコンシン州、 ニューヨーク州、 ペンシルベニア 州、 ミネソタ州と北東部、 中西部の伝統的酪農諸州が続くが、 カリフォルニア州 とは対照的に生産が伸び悩んでおり、 これら伝統的酪農州とカリフォルニア州と の生乳生産量の差はますます拡大している。 主要酪農州における生乳生産状況(97年) 資料:USDA「Milk Production」、「Cattle」
USDAが1月30日に公表した調査結果によると、 97年の全米の酪農経営体数 は、 前年比8.0%減の11万7千戸となった。 これを、 規模別に見ると、 10 0頭以上の搾乳牛を飼養する酪農経営体は増加している一方で、 100頭未満の 中小規模の酪農経営体は減少しており、 特に、 30頭未満の小規模経営体は、 前 年比で16.0%の大幅な減少となっている。 今後、 連邦ミルクマーケッティン グオーダー制度の改革に伴う、 飲用向け乳価の算定方法の変更により、 多くのオ ーダー (地域) で乳価が低下すると見込まれている。 このため、 競争力の弱い中 小規模の酪農経営体を中心に酪農経営体数の減少傾向は一層強まるものと予想さ れる。
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