◇絵でみる需給動向◇
台湾省政府農林庁がこのほど発表した97年11月末現在の豚飼養状況調査結 果によると、 豚総飼養頭数は796万7千頭となり、 97年3月に口蹄疫が発生 して以来初めてのセンサスとなった前回調査 (97年7月末) 時点と比較して6. 6%の減少となった。 昨年7月中旬以降は口蹄疫の発生が一旦終息したことから、 口蹄疫の影響を強く受けた前回調査の減少率(96年11月末比20.2%減)に は及ばないものの、 肉豚卸売価格の低迷による豚の減産気運の高まりに後押しさ れる形でさらに減少したものとみられる。 なお、 調査後の12月から本年1月末までに、 8県・市で12件の口蹄疫の再 発生がみられたことから、 感染豚の殺処分および再発防止施策によって、 現時点 での飼養頭数は、 一層減少しているものと思われる。 また、 98年1月より、 肉 豚の供給過剰の解消を目的として、 養豚農家による自主的な繁殖母豚および子豚 の淘汰事業が開始されたことから、 今後、 飼養頭数は引き続き減少に向かうもの と見込まれる。 ◇図:豚飼養頭数の推移◇ 豚飼養頭数(97年11月末現在) 資料:台湾省政府農林庁
飼養動向を豚のタイプ別にみると、 繁殖豚群の前回比減少率が16.2%と大 幅だったのに対し、 肥育豚群の減少率は5.0%にとどまった。 中でも、 哺乳豚 は他の全てのタイプの飼養頭数が前回値を下回る中、 8.2%増と唯一、 上回っ た。 これは、 口蹄疫に感染した豚の大規模な殺処分が行われた直後の7月末調査 時点において、 養豚農家が豚群の整理を強いられる中にあっても、 将来に備えて 繁殖豚群の確保に努めたことが要因と考えられる。
政府は、 台湾の養豚産業に極めて大きな打撃を与え、 豚肉輸出の再開を妨げる 口蹄疫の撲滅に力を注いでいるが、 97年12月以降の再発生がみられたことか ら、 一層の危機感を募らせていると伝えられる。 政府関係機関紙 「養猪報導」 に よると、 政府はこのほど、 養豚農家に対し、 ワクチン補強接種の徹底に加え、 肉 豚の出荷に際しては獣医師が発行・署名した 「豚出荷証明書」 の所持を義務付け た。 これは、 当該証明書を所持していない出荷者の肉豚卸売市場への入場を事実 上禁止するもので、 流通経路の入口で口蹄疫の拡散を阻止しようとする政府の強 い意志が現れたものとなっている。
元のページに戻る