特別レポート 

南米の牛肉産業の現状と南米産牛肉の特性 (第11回世界食肉会議より (3))

企画情報部



 前月号に引き続き、 第11回世界食肉会議における講演内容を紹介する。 

 アルゼンチン牛肉産業協会会長のヴィクトール・トネリ氏は、「南米産牛肉のア
ジア太平洋地域への輸出見通し」 と題し、 アルゼンチン、 ウルグアイ、 ブラジル
の南米3国の牛肉産業の現状と南米産牛肉の特性について次のように講演した。 


1.アルゼンチン、 ブラジル、 ウルグアイの牛肉産業


 (1) 資源

 アルゼンチン、 ブラジル、 ウルグアイの3国の総面積は、1,150万平方キロ
メートルで、 中国より20%、 また、 米国より25%広い。 

 これら3国は、 国土の大半が南緯10度から40度の間に位置しているため、 
気候は亜熱帯もしくは温帯気候に属している。 したがって、 放牧により肉牛を繁
殖させ、 肥育するのに絶好の条件が整っているといえる。 

 このような気候条件と整った自然環境から広大な牧草地が確保できるため、 当
地域は、 天然資源を十分活用した食糧生産地帯となっている。 

 3国の肉牛飼養頭数は、 2億2千万頭 (世界の総肉牛飼養頭数の21%) であ
り、 肉牛は大気汚染とは無縁の自然環境の下、 主に牧草で飼養されている。 

 (2) 経済状況

 60年代終わりから90年代初頭まで、 3国の政治的、 経済的状況は、 安定せ
ず、 その結果、 牛肉産業の発展は遅れ、 輸出も伸び悩んでいた。 

 世界の主要牛肉輸出国に比較して、 3国の牛肉産業の発展が遅れた原因として
は、 高いインフレ率、 不安定な政治・経済、 政府による産業への過剰な関与、 取
引市場の欠如が挙げられる。 

 また、 他の牛肉生産国とは異なり、 南米では牛肉生産を奨励する補助金制度が
導入されなかった。 それどころか、 政府は、 生産の抑制につながるような経済政
策を打ち出したため、 牛肉産業は大きな打撃を受け、 輸出市場での競争力も弱ま
る結果になった。 

 しかし、 幸いなことに、 90年代初頭から3国の経済政策が大幅に修正された
ことで、 牛肉産業の競争力は高まっている。 政治体制が通常の状態に回復したこ
と、 低金利、 国民総生産 (GNP) の順調な伸び、 公営企業の民営化、 そして地
域の経済成長を促す政策が功を奏して、 3国の農業は活性化された。 

 このような状況の下、 適切な輸出奨励プログラムが打ち出されれば、 3国の牛
肉産業は、 世界市場で大きなシェアを占めていた今世紀前半の生産レベルおよび
市場シェアを回復できるものと考えられる。 

 (3) 牛肉生産とその生産性

 3国の牛肉生産量の合計は、 世界の総牛肉生産量の17%に相当している。 
 以下の表は、 南米3国の牛肉生産に関する主要データを、 世界のデータととも
に、 示したものである。 



 南米3国のと畜率 (注:と畜頭数÷飼養頭数×100) は、 他の主要輸出国に
比べて、 非常に低い値になっている。 ちなみに、 米国は37%、 豪州は30%、 
ニュージーランドは40%である。 

 3国の間には、 程度の差こそあれ共通して、 と畜率が低いという問題が存在し
ている。 主な理由として、 以下のことが考えられる。 

1)雌牛1頭当たりの繁殖率が低いこと (アルゼンチンおよびウルグアイは60%、 
 ブラジルはそれよりさらに低い。) 

2)3歳まで子牛を生まない未経産牛の割合が高いこと (特にブラジルが高い。) 

 3国の生産者の中には、 近代的な技術を導入し、 ほぼ国際水準に等しい生産性
を達成している肉牛ブリーダーもいる。 それ以外の生産者も、 そのような技術に
関する知識を備えており、 価格および収益獲得可能性に関する情報が明らかとな
れば、 技術を導入することは可能なのである。 

 また、 1頭当たりの平均と畜重量が、 世界の主要牛肉輸出国である豪州より1
0%、 また米国より30%低いため、 牛肉の総生産量は飼養頭数の割には少なく
なっている。 

 3国で生産された牛肉は、 国内で消費される割合が高くなっており、 このこと
が影響して、 一頭当たりと畜重量が低くなっている。 特に、 ブラジルおよびアル
ゼンチンは、 それぞれ総生産量の96%、 83%が国内で消費されている。 

 しかし、 市場の動向から、 枝肉重量の大きい肉牛に対する需要が高まれば、 比
較的短時間に現在の遺伝学を用いてこれに対応することも可能である。 

 (4) 牛肉産業

 3国のうち、 特にアルゼンチンとウルグアイは、 建国当初より牛肉生産に携わ
ってきた伝統的な牛肉生産国である。 今世紀の前半には、 世界の総牛肉貿易量の
なかで大きな割合を占めていた。 

 このように3国の牛肉産業は長い歴史と伝統を有しており、 また、 さまざまな
条件を満たしながら、 牛肉を生産し、 取引する経験を豊富に積んできている。 

 今世紀の後半に入ってからは、 口蹄疫が発生したことで牛肉貿易が規制された
ことに加え、 前述したように経済状況が好ましくなかったことから、 牛肉産業へ
の投資が抑制されるとともに、 その重要性が低下することとなった。 その結果、 
牛肉産業の設備は全般的に老朽化が顕在化してきた。 

 しかしながら、 技術および輸出に関連する豊富な専門的知識があることから、 
3国の牛肉業界は、 製品の安全性および特性に関して市場が厳しい要求をしても、 
近い将来そのような要求に応える潜在能力を有するものと考えられる。 ここで、 
3国の牛肉産業が、 新たに確立された品質管理システム (HACCP、 ISO9
000など) の要件を満たすための取り組みを開始していることを指摘しておき
たい。 

 3国では、 政治的、 経済的状況が好転したこと、 ウルグアイおよびアルゼンチ
ンにおいて口蹄疫が一掃されたと公認され、 新しい市場へのアクセスが可能とな
ったことから、 最近は、 牛肉産業への投資ブームが再び沸騰しはじめている。 

 (5) 牛肉の種類

 前述したように、 南米産牛肉は、 牧草で飼養された肉牛から生産されたグラス
フェッド牛肉である。 よって、 穀物肥育された肉牛から生産されたグレインフェ
ッド牛肉とは、 明らかに異なる特性を持っている。 

 世界の様々な国および南米地域 (特にアルゼンチンとウルグアイ) で実施され
た化学的な研究により、 グラスフェッドの牛肉は、 筋肉脂肪の割合が低いことな
どが証明された。 よって、 心血管疾患の因子を持った消費者には、 グラスフェッ
ド牛肉の方が健康的と言える。 


2.南米の牛肉産業と国際貿易への参入


 (1) 貿易規制

 3国の牛肉産業は、 政府の政策により、 成長と輸出拡大が大幅に阻まれてきた
だけでなく、 諸外国の政策からも大きな打撃を受けてきた。 以下、 そのような諸
外国の決定および政策の例を挙げる。 

1) 口蹄疫を理由とした規制

 多数の国が、 口蹄疫を理由に南米産牛肉の輸入を制限したことから、 南米諸国
は、 この50年間、 事実上牛肉の国際市場から姿を消すこととなった。 

 この2年間に、 以下に述べる2つの新たな展開があったことで、 この口蹄疫に
関する問題は、 21世紀の初頭までに解決されるという期待が高まっている。 

 次の南米3国のおいて、 口蹄疫撲滅が著しく進展した。 

・ウルグアイ:93年に、 予防接種を用いての口蹄疫清浄国と宣言された。 94
 年には予防接種を停止したが、 その後、 口蹄疫の発生は報告されていない。 現
 在は、 予防接種なしでの口蹄疫清浄国と宣言されるのを待っているところであ
 る。  (その後96年には予防接種を実施していない清浄国と認められた (編集
 部注)) 

・アルゼンチン:97年、 予防接種を用いての清浄国と宣言された。 近い将来、 
 予防接種なしの清浄国として認定されることを望んでいる。 

・ブラジル:口蹄疫の撲滅に向けて、 大きく前進した。 肉牛の繁殖が行なわれて
 いる同国で最も重要な2つの州において、 口蹄疫の発生事例がなくなっている。 

 ガット・ウルグアイラウンドで、 各国が、 牛肉貿易の制限に関し、 口蹄疫の危
険ゼロから最小限の危険へと基準を変更することに合意した。 

 以上の2つの展開により、 まずウルグアイが、 続いて最近アルゼンチンが、 米
国およびカナダ市場に冷凍牛肉等を輸出することが認められた。 

 EUは、 口蹄疫の発生例のない地域であるにもかかわらず、 南米産牛肉に対し
一度も市場を閉鎖したことがなく、 南米にとっては伝統的な市場となっている。 

2)保護主義および補助金

 主要牛肉輸入国は、 補助金制度、 輸入関税、 非関税障壁など発展途上国からの
牛肉輸入を制限してきた。 これにより、 3国のように自然に恵まれ安価な牛肉の
生産が可能な国からの牛肉の輸入が困難な状況にあった。 

 ウルグアイラウンドで最終合意が成立したことによって、 牛肉産業の保護主義
が終結したわけではない。 しかしながら、 ウルグアイラウンドでさまざまな市場
アクセス等の改善が行われたことで、 我々は、 幾分、 将来を楽観視できるように
なった。 

 また、 世界貿易機関 (WTO) が設立されたということは、 国際ルールによる
調停が利用可能であることを意味する。 

 南米の牛肉産業および牛肉生産を規制していた2つの外因的な問題が改善され
たことで、 2000年までに、 世界の牛肉市場における3国の競争力が高まる可
能性が大きくなったといえる。 

 (2) 牛肉輸出

 南米3国の輸出量の合計は、 世界の牛肉総貿易量の19%を占める。 これは、 
NAFTA (北米自由貿易協定) 、 オセアニア (豪州とニュージーランド)、EU、 
南米の4地域のなかでは、 第3位にあたる。 

 南米の総輸出量のうち、 アルゼンチンが占める割合は51%、 ブラジルは30
%、 ウルグアイは19%である。 


 注:枝肉換算ベース

 3国の輸出量は、 牛肉の総生産量のわずか11%を占めるに過ぎず、 生産され
た牛肉のほとんどが、 それぞれの国内市場で消費されているというのが現状であ
る。 生産量に占める輸出量の割合が一番高いのはウルグアイで46%、 続いてア
ルゼンチンが17%、 最後がブラジルでわずか5.6%となっている。 

 このように輸出の割合が低い要因として、 3国の国内消費量が非常に多いこと
が挙げられる。 特に、 ウルグアイとアルゼンチンの1人当たりの年間消費量は、 
それぞれ62kg、 60kgとなっており、 これらは世界でも最高の牛肉消費水
準である。 

 しかしながら、 ここ数年の間に、 消費者の食習慣が変化し、 さまざまな種類の
食品が消費されるようになったことから、 牛肉の消費量は著しく減少している。 
アルゼンチンでは、 過去6年の間に、 1人当たりの牛肉消費量が25%も減少し
た。 

 このように、 食習慣が変化したことにより、 将来的には、 輸出に向けることが
できる余剰分が増加するものと考えられる。 

 南米産牛肉の輸出先は、 主として、 欧州諸国、 米国 (加熱処理品)、および近隣
諸国に限られていた。 

 現在までのところ、 アジア太平洋諸国への南米産牛肉の輸出は、 衛生上の理由
に基づく規制等により、 ゼロに近い状態であった。 

 しかしながら、 アジア太平洋諸国への輸出が制限されていたのには、 他にも原
因がある。 世界でも成長率が最も高い牛肉市場へ南米産牛肉を輸出することを可
能にするため、 解決しなければならない問題点として次の点が挙げられる。 

1)輸出が過度に大西洋地域に集中していること
2)消費者が要求している牛肉の特性に関して知識が不足していること
3)輸送距離が長く、 頻度が少ないこと
4)歴史的に見て、 政府が交渉にかかわることが少ないこと
5)南米地域の主要牛肉供給国を統合する貿易ブロックが確立されていないこと
6)世界的に見て知名度の低い南米産牛肉の販売促進プログラムおよび認知プログ
 ラムが不足していること

 (3) 生産の観点から

 前述したように、 南米地域の実際の牛肉生産力は、 潜在的な生産力よりもずっ
と低くなっている。 

 従来よりも質の高い肉牛飼養技術を用いれば、 生産性は高まることが証明され
ている。 しかも、 肉牛ブリーダーの大多数が、 そのような技術を利用できるはず
である。 生産性を向上し、 生産量を増やすことは、 決して非現実的な話ではない。 

 生産性が10%向上すると仮定すると、 と畜率を25%に上げることが可能で
ある。 生産性が向上し、 と畜重量が10%増加すると、総生産量は1,050万ト
ンないしは1,100万トンになると考えられる。 すなわち、生産量は30%〜3
7%増加することとなる。 このような牛肉生産の改革に、 5年から7年の歳月を
要すると考えられる。 

 次に、 輸出に向ける余剰量がどれくらいになるかを見極めるためには、 消費量
を予測する必要がある。 

 1人当たりの牛肉消費量が上昇すると予想されているのは、 ブラジルのみであ
る。 ブラジルの1人当たりの消費量は、 30kgから33kgへと10%増加す
ると見込まれている。 加えて、 人口増加も考慮すると、 ブラジル国内の牛肉総消
費量は810万トン (現在の同国の牛肉総消費量から勘案して610万トンの誤
りと考えられる:編集部注) になると考えられる。 

 一方、 アルゼンチンおよびウルグアイでは、 今後5年間に、 1人当たりの牛肉
消費量が5%減少すると予想される。 これに、 人口増加分を加味すると、 アルゼ
ンチンとウルグアイの牛肉総消費量の合計は240万トンになる。 

 生産量から消費量を差し引いた残り (=輸出可能数量) は、 200万トンない
しは250万トンになると考えられる。 すなわち、 100万トンから150万ト
ンの増加となる。 

 (4) 市場の観点から

 主要市場の過去5年間の変化を示すデータは、 以下の表のとおりである。 


 注:枝肉換算ベース

 増減の割合は変化するとしても、 それぞれの主要市場の増加および減少の傾向
は今後も変わらないと予想される。 よって、 最も高い成長率が見込まれるのは、 
アジア太平洋市場である。 

 経済成長率や牛肉市場の成長を予測することは可能である。 しかしながら、 生
産の伸びがいつまで継続するか、 また、 牛肉は不足するのか、 それとも余るのか
を予測することは、 たいへん困難である。 

 いずれにせよ、 今後数年の間に、 最も高い成長率が見込めるのはアジア太平洋
市場である。 輸出に向けることができる余剰量の予測が正しいとすれば、 南米諸
国は、 量の面でも質の面でも、 アジア太平洋諸国の需要に応える力があるといえ
よう。 


3.消費者の要求および異なる種類の牛肉を生産する必要性


 (1) 牛肉のし好に関する消費者の動向

 自然の状態に近い肉牛からの牛肉生産から 「産業化」 された牛肉生産への変化
が進められている。 

 人工飼料添加物の投与、 ホルモン剤の使用、 動物由来の原料を用いて生産した
飼料による肥育、 人体の健康に影響を及ぼす疫病の発生、 また食品衛生学上の安
全性に関する保証がないことにより、 自然状態に近い牛肉、 新しく 「産業化」 さ
れた牛肉のいずれかを問わず、 消費者の牛肉離れが進むようになった。 

 市場に出回っている牛肉の種類をいかに見分け、 区別するかという問題に対す
る明確な回答が見つかっておらず、 また安全性に関する保証もなく、 情報も不足
しているため、 消費者は、 牛肉の消費を控えるという選択肢を選ぶに至ったので
ある。 

 牛海綿状脳症 (BSE) の発生、 および子牛に使用されるホルモン剤が消費者
を不安に陥れたことは間違いない。 スペインで行なわれた研究の報告書には、「出
所不明の牛肉の終焉」 という注目すべきタイトルが付けられていた。 また、 その
研究により、 高品質牛肉が備えている特性に加え、 消費者が以下のことを要求し
ていることが明らかになった。 

1)自然の環境のもとで飼養された牛であること
2)牛の衛生管理
3)ホルモン剤をはじめとする化学物質を使用せず、 牧草などナチュラルな飼料を
 用いて肥育した牛であること
4)品質保証
5)企業および国による保証

 (2) 牛肉の種類についての考察

 有史以前より、 牛肉は人間の食欲を満たすばかりか、 人間にとって必要な栄養
素を提供する重要な栄養源であった。 また、 その類を見ない食味のため、 最も需
要の高い食品の1つとなっている。 

 牛は草食動物であり反芻動物である。 よって、 グラスフェッド牛は、 はんだ牧
草を、 人間にとって必要不可欠な栄養素を豊富に含む健康な肉に作りかえること
ができるのである。 

 世界、 特に一部の国が高度に工業化したこと、 また、 牛肉生産において、 土地
面積当たりの生産性の向上が図られたことにより、 肥育方法が大きく変わり、 ま
た、 草食かつ反芻動物である牛を牧草地ではなく屋内で飼養するという方法が取
られるようになった。 

 極端な例だと、 密度の高い肥育施設において、 動物由来の飼料副原料を用いて
肥育され、 成長を促進させる化学物質および薬剤を投与される場合もある。 現状
では、 このようにして生産された牛肉が、 自然に生産された牛肉と何の区別もな
いまま、 市場に出荷されているのである。 

 最近では、 「産業的な」 方法で飼養された肉牛は、自然の肉牛とは明らかに異な
る品質を持つことが明らかになっている。 飼養方法、 肥育方法、 および投与され
たと考えられる人工添加物によって、 それぞれ特性が異なってくるのである。 

1)ホルモンなどの成長剤を投与された肉牛と投与されない肉牛
2)グレインフェッド牛または動物由来の飼料原料を使用して肥育された牛と使用
 しないで肥育された牛
3)肥育施設で飼養された牛と屋外で自由に牧草をはんで育つ牛

 肉牛の違いはこれだけには止どまらず、 他にもさまざまな違いを列挙できるだ
ろう。 

 消費者が明確に表した要求は、 牛肉産業および世界貿易によって真摯に、 かつ
確実に満たされなければならない。 消費者の要求をどれだけ早く、 正確に、 はっ
きりと満たすかによって、 牛肉産業が進むべき方向が決定されると考えられる。 

 (3) アジア太平洋地域における南米牛肉産業の地位

 グレインフェッド牛肉のほうが、 グラスフェッド牛肉に勝るかどうかという問
題については、 さまざまな意見が出されている。 ここでは、 そのような議論をす
るのは避けたいと思う。 なぜなら、 最終的に答えを出すのは消費者であるからで
ある。 

 しかしながら、 それぞれの牛肉には、 やわらかさや品質の斉一性など、 単なる
味の好みの違いを越えた特性があることも事実である。 南米の肉牛および南米産
牛肉には、 以下に述べる要素をすべて満たしているという長所があることを指摘
したい。 

1)汚染とは縁のない、 恵まれた自然環境の中で飼養されていること
2)自由で健康的に飼養されていること
3)人体に有害な物質を一切用いず、 牧草で肥育されていること
4)どんなに厳しい安全基準を設けている国のいかなる肥育規則にも適合すること
5)長年にわたる輸出の経験があり、 各企業には輸出契約を履行する豊富な経験を
 持った衛生管理者が存在すること
6)南米ではBSEが発生していないこと

 今後は、 南米産牛肉の価値を知らない消費者の選択の幅が広がるよう、 適切な
開発、 販売促進活動を行ってゆく必要があるだろう。 

 最後に、 南米産牛肉は、 量、 質、 安全性のすべての面において、 アジア太平洋
諸国の潜在的需要を満たす力があると述べさせて頂きたい。 

 南米産牛肉について知らない方には、 ここで私が述べたことが正しいことを、 
実際に確かめて頂きたいと思う。 南米産牛肉には、 実に多くの利点がある。 


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