エルニーニョ現象、 収束過程の兆候を確認 (豪州)




豪州の乾燥傾向は今後弱まる可能性も

 このほど、 豪州気象局は、 エルニーニョ現象が今後、 弱まる可能性もあるとす
る見通しを示した。 これにより、 現在の豪州南部での雨不足も、 予想以上に早く
解消する可能性があるとしている。 

 これは、 豪州気象局が1月5日に発表した長期予報の中で示したもので、 東部
太平洋側の赤道付近での海面温度が通常と比較して最大5℃上回っていること、 
また北部熱帯地域での昨年12月の降雨量が例年水準を上回っていることなど、 
いずれも過去にエルニーニョ現象の収束過程で見られた兆候が確認されたとして
いる。 

 しかし、 これらの兆候には例外もみられることから、 同局では、 現時点で、 エ
ルニーニョ現象の収束を予測するには時期尚早と慎重ながらも、 今後、 3月頃ま
でにかなり弱まり、 現在の乾燥した天候状態も予想より早く改善する可能性があ
るとしている。 



冬作穀物の品質に影響か

 豪州では、 過去のエルニーニョ発生時、 東部を中心に深刻な干ばつにみまわれ
たケースが多く、 昨年来、 豪州の農業関係者にとって天候は大きな関心事となっ
ている。 

 現在、 南部を中心に乾燥状態にあり、 昨年12月以来、 山火事が多発している。 
雨不足が伝えられているのは、ビクトリア(VIC)州、 ニューサウスウェールズ(NSW) 
州南西部、 ウェスタンオーストラリア州南部、 タスマニア州東部などで、 かなり
の乾燥状態にあるとされる。 これまでのところ、 農業生産に雨不足による際立っ
た被害は出ていない。 しかしながら、 冬作穀物は収量ではほぼ平年並みを確保で
きるとみられているが、 小粒だったり品質的に劣る低級品の割合が高いとされて
いる。 


地域により降雨量減少の予想も

 また、 畜産関係では、 NSW州南西部の肉牛生産やVIC州での酪農に、 雨不足の影
響が出始めているとされる。 特に、VIC州では、 近年の乳製品市場の好況を反映し、 
新規参入や規模拡大の動きが目立つが、 その際には草地管理に必要な水をかんが
いに依存しているケースも多く、 河川からの取水制限が実施されている一部地域
では、 雨不足への不安はかなり高まっている。 

 今回の予報の中で、 豪州気象局は、 エルニーニョ現象の収束過程の兆候を確認
する一方で、 QLD州の大部分およびNSW州の北部で、 降雨量は減少に向かう可能性
も残っているとしている。 

 なお、 2月に入って、 エルニーニョ現象が当分の間続くという米国の報告もあ
り、 しばらくの間は天候眺めの日々が続きそうである。 



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