豚肉の輸入制度、 運用改善に動く (フィリピン)




豚肉輸入制度の運用変更を検討

 フィリピンの豚肉輸入は、 94年のウルグアイ・ラウンド(UR)合意により、 ミ
ニマムアクセス数量 (MAV)を設定し、 関税化が図られている。 しかしながら、 9
6年の豚肉輸入量はMAV49, 985トンに対して約6千トンと、 極めて低水準
に止まっていることから、 米国は、 フィリピン政府が事実上、 輸入を制限してい
るのではないかとして、 昨年4月末より WTO協定における22条協議を2国間で
行っていた。 

 こうした中、 フィリピンの農務長官は、 同協議を早期に終了させるため、 豚肉
の輸入制度の運用の変更を検討していると発表した。 同国では、 現在、 豚肉を輸
入する際には輸入許可証を必要としており、 許可された数量の豚肉を輸入しなか
った場合には、 反則金を支払うことになっている。 しかしながら、 許可証の多く
が養豚業者に交付されていることから、 これらの多くは実際には輸入されていな
い状況にあった。 


隔たりを見せる両国の主張

 検討されている主な変更点は以下のとおりである。1) 輸入許可を受けた養豚業
者が指定された期日までに許可数量を輸入しなかった場合、 年内にその数量を他
の輸入業者に再配分する。2)輸入量が許可数量の50%未満の業者については、次
年度の許可数量を10%カットする。 3)ただし、 許可数量を輸入しなかった業者
への反則金制度は廃止する。 これに対し、 米国の提案は以下のとおりとなってい
る。 1) 未輸入分を再配分する。 2) 輸入量が許可数量の80%未満の業者の次年
度の許可数量を50%にカットする。 3)輸入許可証の割当制を先着順に移行する。 


運用変更は次期ラウンドへの布石

 以上のように、 両国間の主張にはまだ開きが見られるものの、 フィリピン政府
が歩み寄りをみせていることから、 同協議は決着に向けて動きはじめたものと見
られている。 この背景には、 温と体流通が主流を占める同国では、 米国産の冷凍
豚肉は流通し難いと見られることと、 次期ラウンド交渉に向けてより有利な条件
で臨みたいフィリピン政府の思惑があり、 この協議を長引かせるより、 現行輸入
制度の運用変更で協議を乗り切りたいとする同国政府の意向が浮き彫りとなって
いる。 



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