通貨下落で養鶏農家が困窮 (インドネシア)




トウモロコシの国内生産が減少

 インドネシアでは、 近年の急速な経済成長を背景として食肉の消費量が増加傾
向で推移している。 鶏肉についてはほぼ自給を達成しており、 飼料となるトウモ
ロコシもほぼ国内産によって賄われてきた。 

 しかしながら、 昨年の大規模なエルニーニョ現象により発生した干ばつの影響
を受け、 トウモロコシの国内生産が減少したことから、 飼料を輸入せざるを得な
い状況となっている。 


輸入飼料価格の上昇が生産コストを圧迫

 このような中、 養鶏農家の鶏の販売価格は、 昨年6月に1kg当たり約6,00
0ルピア (100ルピア=約1. 8円) であったが、 12月には1, 200か
ら1,600ルピアと暴落している。 これは、 購買意欲の低下により流通在庫が
過剰になったためと見られている。 さらに、 販売価格の下落に加えて、 通貨ルピ
アの急落により輸入飼料が値上がりしたことによる、 生産費の上昇が深刻な問題
となっている。 また、 生産意欲の低下した養鶏農家がブロイラーひなの購入を手
控えたことから、 ひなの農家販売価格が急落し、 ひな生産農家にまで被害が波及
している。 


鶏肉需要の減退に危機感

 インドネシア養鶏農家協会 (PPUI) の試算によると、 ひな価格の下落による生
産農家の損失は720億ルピアとみられており、 この他にも飼料費、 輸送費の値
上げ分、 過剰供給となったひなの処分代等の損失があり、 農家の総損失額はかな
り多額に上ると予想されている。 

 PPUIでは、 この悪循環により、 将来、 鶏肉の供給不足が発生した場合、 小売価
格の高騰は避けられないことから、 これまで経済発展による所得向上に伴って順
調に伸びてきた鶏肉消費が、 他の食品に移ってしまう恐れもあり、 その場合、 鶏
肉需要は、 簡単には回復できないとして危機感を強めている。 



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