USDA、 MMO制度の改正案を発表 (米国)




96年農業法に基づく改正

 米農務省(USDA)は、1月23日、 連邦ミルク・マーケティング・オーダー (MMO) 
制度の改正案および同制度が改正されるまでの期間、暫定的に、 基礎公式価格(BF
P) の下限値設定を検討するための公聴会を開催すると発表した。 

 96年農業法では、 MMO制度に関して、 99年4月までに、 オーダー(地域) 数
の10〜14への統合や、 同制度に関するあらゆる問題点の見直しを行うよう規
定していることから、 これまで農業法に基づく制度改正に向けてさまざまな検討
がなされてきた。 


5つの主要改正案を提示

 今回発表された主な改正案は、 1) オーダー地域の統合 (31→11) 、 2) 飲
用規格 (グレードA) の用途区分の統一化、 3)BFPに代わる新たな乳価算定方式の
導入、 4)クラスII (ソフト乳製品向け) 上乗せ価格の増額 (30→70セント/
100ポンド) 、 5) クラスI (飲用乳向け) 価格の新しい算定方式の導入などと
なっている。 

参考:生乳の品質・用途別区分

 注:グレードAは、米保険社会福祉省食品医薬品局が示す基準に従い、各州が
   定める飲用向け生乳基準を満たしたものである。
   グレードBは、米農務省が示す基準に従い、各州が定める加工原料乳基準
   を満たしたものである。


乳製品価格から乳価を算定

 現行では、 グレードA生乳の用途別取引価格は、ミネソタ・ウィスコンシン両州
における加工原料乳規格 (グレードB) 生乳の平均取引価格を基礎としたBFPを指
標価格として算定されているが、 近年この算定方法をめぐり生産者から不満の声
が高まっていた。 

 今回の案では、 これまでのBFPに代わり、 製造された乳製品の価格を基に、生乳
成分 (乳脂肪、 タンパク質および乳糖等) ごとの価格を算出し、 これらの乳製品
の市況動向がクラスIII (チーズ) およびクラスIV (バター、脱脂粉乳) の価格に
反映される仕組みとなっている。 


クラスIの算定方法に対する意見を募集

 また、 クラスIの価格算定方式については、オプション1Aおよび1Bという2つ
の案を提示し、 関係者からの意見を求めることとしている。 

 オプション1Aは、 基本的に現行の価格設定方式をほぼ踏襲しており、一方、 オ
プション1Bについては、 経済モデルの採用等による見直しを図り、より市場価格
の変動を反映するよう改定されている。 ちなみにUSDAは、オプション1Bを採用し
たい意向を示しているが、 同案を採用する場合には、 酪農家の手取り価格が低下
することから、 その経過措置として、 5年間で段階的に新方式に移行するよう3
つの緩和措置を提案し、 2003年には新方式による上乗せ価格を適用するとし
ている。 


最終規則成立は今秋までに

 USDAによると、MMO制度の改正・実施に至るまでの間、 市場の安定化を図るため
暫定的に、 BFPの下限値設定を検討するための全国的な公聴会を、2月17日に開
催するとしている。 

 また、 USDAでは、 今回の改正が乳価に与える影響について、 ほとんどの生産者
に対して1%以下と見込んでおり、 今秋までには最終規則を発表したい意向を表
明した。 



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