豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○加速を続ける乳製品生産


好調な生乳生産を反映し乳製品生産も増加

 豪州酪農庁(ADC)によると、98/99年度(7〜6月)の生乳生産は前年度を
7.8%上回る記録的な数量となり、そのうち約8割が仕向けられる加工用は前年度
を9.7%も上回ったことから、主要な乳製品の生産量は総じて前年度水準を上回
った。

 主要乳製品の中でも、特にバター(バターオイルを含む)は他の乳製品に比べ
て大きな伸びを示し、前年度を13.9%上回る17万5千トンとなった。これは、伝統
的な輸出市場である東南アジアの経済回復に伴う需要の回復や、生産の約4割を
占める国内需要が好調であったことが背景に挙げられる。ADCは、近年の国内に
おけるバター消費の減退を食い止めるため、98年11月から開始したバターの風味
や天然性をアピールした販売促進キャンペーンが功を奏し、前年水準を上回る好
調な売れ行きが続いているとみている。

 このほか、輸出依存度が約9割と高い脱脂粉乳や全粉乳といった粉乳類の生産
も、主要な輸出先である東南アジア向けが増加したことから、それぞれ前年度比
10.7%増の23万8千トン、同12.8%増の14万3千トンと大きな伸びを示した。

◇図:チーズ生産量の推移◇


輸出好調なチーズ生産は国内需要がカギ

 チーズの生産量については、前年度を3.9%上回る31万2千トンと比較的小さな
伸びにとどまった。チーズは、輸出の伸びが前年度に続き2ケタ増であったもの
の、他の乳製品に比べ輸出依存度が5割程度と低いことから、国内向けの需要の
伸び悩みが影響したと考えられる。タイプ別生産を見ると、主に輸出向けのラウ
ンドアイタイプについては、前年度比40.8%増となったが、チーズ生産の約6割
を占める国内仕向けが多いチェダータイプ(プロセスチーズを含む)は前年度並
みになっている。そのほか、シュレッドタイプについては、9.2%増となったが、
クリームチーズなどのフレッシュタイプについては、1.1%減となった。


99/2000年度はおおむね増加見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)が9月に発表した需給見込みによると、99/20
00年度の生乳生産量は、経産牛頭数が前年度に比べ増加するものの、1頭当たり
乳量がほぼ前年度並みと見込まれることから、前年度を1.3%上回る1,056万2千
キロリットル程度になるとみられている。また、同年度の主要乳製品の生産量
は、輸出減が見込まれるバターを除き3〜6%程度の増加が見込まれている。

 ただし、ABAREでは、現在、豪州の酪農乳業界が直面している制度改革の動
向いかんによっては、生乳生産に影響を及ぼす可能性もあるとみている。

主要乳製品の生産量および輸出量の推移
mi-aus06.gif (3237 バイト)
 資料:ADC「Monthly Statistics」、
           ABARE「Australian Commodities」
 注1:99/2000年度はABAREの予測値
  2:輸出のバターはバターオイルを含み、同脱脂粉乳は
    バターミルクパウダーを含む
  3:輸出量は繰越在庫を含むことから、生産量を上回る場合もある

元のページに戻る