◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)は7月末、豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA)との共同調査による四半期ごとのフィードロット飼養動向調査を発表 した。これによると、2000年6月末時点での飼養頭数は67万3千頭と前年同期比 15.8%増、前回調査の2000年3月期と比べると17.6%の増加となり、99年6月期の 記録であった58万8千頭を大きく上回る過去最高を記録した。 ◇図 フィードロット飼養状況の推移◇
2000年6月期の州別の飼養頭数については、前回調査と比較すると、わずかに 減少しているウェスタンオーストラリア(WA)州を除き、いずれも増加してい る。前年同期比で見ても、ニューサウスウェールズ(NSW)州とクィンズランド (QLD)州の大幅な増加が目立っている。その要因としては、輸出向け飼養頭数 の増加と、これまで若齢牛の消費を主体としていた国内市場において、好調な景 気動向を背景とした消費拡大策などの効果により穀物肥育牛に対する需要が高ま っていることを反映したものであると考えられる。 また、ここ数年、高水準を維持しているフィードロットの稼働率は、飼養頭数 の増加に合わせて上昇しており、2000年6月期は飼養頭数同様過去最高となる80 %を記録している。稼働率の上昇は、特にNSW州で82%、QLD州で86%と顕著に なっている。これは、フィードロット各社が素牛価格の上昇によるコスト増加分 を相殺するため、中小規模フィードロットを閉鎖するなど集約化を進めているこ とによるものである。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」 注:設定フィードロットのみを対象とし、 500頭以下のフィードロットを含む。
フィードロットの仕向け先の内訳では、日本向けが前年同期比で11.2%増、前 回調査比で17.1%増の39万6千頭と増加している。日本向け増加の要因としては、 豪ドル安で推移する為替相場と、米国産牛肉の価格の上昇で同国からの日本向け 輸出が減少したことによるものと考えられる。また、国内向けは前年同期比で24 .3%、前回調査比で17.7%増の25万7千頭とシェアを拡大している。 ALFAによる今後のフィードロットの見通しでは、米国との競合で短期肥育牛 の輸出価格は10%低下、また、牛群の再構築により素牛価格は8%上昇するとし ている。しかし、比較的安値にある飼料穀物価格に助けられ、さらに、今後はオ リンピック開催に伴う需要の拡大が予想されるため、豪州のフィードロット産業 は、短期的には良い状況が続くとみている。
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