米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○需要喚起に懸命なブロイラー業界


骨なしむね肉需要に対応

 最近のブロイラー卸売価格は、供給増で業界が生産調整を行っているものの、
牛肉や豚肉との競合激化により、99年3月以来前年水準を下回って推移している。
こうした中にあって、国内市場では、利便性に優れる骨なしむね肉への需要が高
まっている。成長の見込める分野として脱骨ラインを整備した加工業者が相次い
だこともあり、ブロイラー処理羽数は現在、約4割が骨なしむね肉の加工用に仕
向けられている。また、脱骨に要する労働コストの抑制や歩留まりの向上のため、
より大型のブロイラーが求められることから、1羽当たりと体重量は、99年が前
年比2.7%増の2.26kg、2000年1〜6月でも0.2%増の2.27kgと増加傾向にある。

◇図 ブロイラーの体重量◇


新製品の開発に力点

 このような骨なしむね肉需要の高まりには、調理の手間をかけたくないという
消費者の志向が表れている。全国鶏肉協議会(NCC)が実施した一般消費者への
アンケート調査でも、味付けむね肉やあぶり焼き用味付けチキンのように調理時
間を節約できる付加価値商品が、試してみたい新製品の上位を占めた。こうした
ことから、業界では、ハムやベーコンなど豚肉製品の圧倒的な優位が確立された
朝食ではなく、昼食や夕食をターゲットとした新製品の開発こそ、飽和状態にあ
る食肉市場にあって需要を掘り起こすカギであるとし、各社とも新製品の開発に
しのぎを削っている。また、レストランやファストフードなどの外食部門は現在、
好調な経済による個人所得の伸びを背景に食費の47%が支出される一大市場とな
っている。さらに、業界では、外食部門向けに、輸出の伸び悩みで荷余り感のあ
るもも肉を使った新製品の開発に成功すれば、これまで国内ではほとんど消費さ
れなかったもも肉の新たな市場が開拓されるとしている。

試してみたい鶏肉の新製品
br-us06.gif (3510 バイト)
 資料:NCC(民間調査機関による一般消費者への電話アンケート調査)
  注:調査期間は2000年6月2〜4日。有効調査対象者は、
    男性585名、女性529名


将来的には情報技術を駆使したマーケティングも

 こうした新製品のマーケティングについて、牛肉や豚肉との競争に勝ち抜くた
めには、新製品の開発のみならず、情報技術を駆使した販売など、ユーザーの求
める商品を提供する戦略が重要であるとみられる。最近では、業界最大手のタイ
ソン・フーズ社がマクドナルドなど3社と共同で開始する企業間ネット取引(B
toB)のように、インターネットを通じた取引形態がブロイラー業界にも現れて
おり、取引の合理化とマーケティング面での需要喚起に期待が寄せられている。

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