◇絵でみる需給動向◇
豪州統計局(ABS)が公表した輸出統計によると、99/2000年度(99年7月〜 2000年6月)の乳製品輸出量は、バターは前年度を42%と大幅に上回ったものの、 脱脂粉乳とチーズで前年度割れするという結果となった。 豪州農業資源経済局(ABARE)が今年6月に発表した第1次産品に関する需給予 測では、99/2000年度の乳製品輸出・生産動向は、すべての乳製品で輸出は前年 度を上回ると予測されていた。また、ABSの公表による上半期の輸出実績におい ても、順調な滑り出しを見せていたことから、前年度を上回ることが期待されて いた。しかし実際には、オリンピックを控え、好景気による国内市場の需要が国 際市場よりも強いものであったことから、すべての乳製品で輸出量が増加すると いうことにはならなかった。
99/2000年度の主な乳製品輸出は、製品によって、前年比の増減が異なること となった。国際価格の動向が必ずしも輸出に反映されておらず、今後の輸出見通 しも難しいものになると思われる。 (バター) バター輸出量は、前年度比42.1%増の6万9千トンと大きく上回った。増加の要 因は、エジプトなどの中東諸国が原油価格の高騰から好景気となっていることや、 ロシアの経済回復が挙げられ、今後も輸出拡大が期待されている。また、シンガ ポールや香港、台湾などのアジアも、安定した輸出先となっている。 (脱脂粉乳) 脱脂粉乳の輸出量は、前年度比11.7%減の21万トンとなった。国際価格が東南 アジアなどの需要を反映して高値で推移する状況において、前年度を下回ること となった。豪州の脱脂粉乳の輸出は生産量の8〜9割を占めており、国際市場の動 向が直接生産に影響するが、生産動向自体も輸出量に大きな影響を与える。AB AREによると、チーズなど他の乳製品の増産に伴い、前年より生産が減少すると の予測をしており、これが輸出減少の要因の1つと考えられる。2000/01年度に ついても強い需要は続くとしており、生乳の製品仕向けをめぐる動向が注目され る。 ◇図 脱脂粉乳の生産量と輸出量◇ (チーズ) チーズの輸出は、前年度比16.9%減の14万3千トンと大きな減少を見せた。こ れまでの輸出量は、生産量に比例して増加傾向にあった。しかし、ABAREの予 測では、99/2000年度の生産量は前年度を5.6%上回るとしているにもかかわら ず、輸出量は増加しなかった。これは、好景気により高まる国内需要が、輸出 需要を上回ったことが要因であると考えられる。また、輸出先は、従来通り東南 アジアを中心としつつも、中東やオランダなど幅広いものとなってきている。 ◇図 チーズの生産量と輸出量◇
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