米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○好調続く肥育豚価格


3ヵ月続きの50ドル超

 肥育豚価格が堅調に推移している。米農務省(USDA)によると、2000年7月
の肥育豚価格(全米平均取引価格)は、前年同月比53.0%高の50.3ドル/100ポ
ンド(121円/kg:1ドル=109円)と、5月以来3ヵ月連続の50ドル台となった
(左図参照)。これは、記録的な暴落を経験した98年末を底に立ち直りつつも30
ドル台半ばで推移した99年の水準に比べ大幅な回復であり、1〜7月で見ると前年
同期比29.6%高の46.4ドル/100ポンド(112円/kg)となった。


ベーコン需要が高値継続に貢献

 このような肥育豚価格の高値維持は、と畜頭数の減少に伴い、市場への豚肉供
給が減少していることが一因として挙げられる。しかし、最大の要因は、ベーコ
ンの原料となるばらを中心に、豚肉需要が極めて高水準で推移していることとみ
られる。ベーコン人気は、ファストフードなどの外食産業からの根強い需要に由
来している。業界では、食中毒への懸念からハンバーガーパティへの加熱が念入
りに行われるようになり、ジューシーな食感を保つためにベーコンが積極的に採
用されているともみられている。さらに、消費者は、好景気による所得の伸びを
享受し、ベーコンを具材とした付加価値の高い商品でも選択する傾向にあるとい
う。このため、外食部門では、ハンバーガーのみならず、サンドイッチや朝食の
メニュー向けなどにベーコンが多用されている。一方、ロインも、牛肉価格の高
騰で価格競争力が増したことから小売部門などからの引き合いが強まり、需要は
堅調に推移している。こうしたことから、豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)
は、99年8月以降前年を上回って推移し、2000年1〜7月の平均では、前年同期比
44.5%高の64.9ドル/100ポンド(156円/kg)となった。

◇図 豚肉の卸売価格◇


年平均では40ドル台半ばに落ち着く見込み

 豚肉生産は秋に向かって季節的に増加する傾向にあることから、肥育豚価格は
今後弱含みで推移し、供給がピークとなる11月ごろには40ドル前後まで値を下げ
るとみられる。このため、USDAでは、2000年平均の肥育豚価格は現在の50ドル
水準から値下がりし、45〜46ドル/100ポンド(108〜111円/kg)となると見込
んでいる。また、2001年についてUSDAは、と畜頭数の増加に伴い豚肉生産が増
加することに加え、現在の加熱気味の豚肉需要がこのまま継続するとは限らない
ことから、年平均価格は40ドル台前半なるものと見込んでいる。

◇図 肥育豚価格の推移◇


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