ワシントンDC近郊の大型自然食品スーパー(米国)

ワシントン駐在員事務所  渡辺 裕一郎、樋口 英俊


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 飲用乳の販売コーナー。非オー
ガニック・ミルクも一緒に並んで
売られている(左)。1クォート
(約0.95リットル)パックの全乳
の小売価格は、オーガニックが約
1.6ドル(174円)、非オーガニッ
クが約0.9ドル(98円)。
 ワシントンDCの北に隣接するメリーランド州
ロックビルのショッピングモールの一角にある、
自然食品の大型ストア「フレッシュ・フィールズ」
の第1号店(91年開店)。1日の平均来客数は、
およそ2千人超。同店は、96年に世界最大の自然
食品スーパー・チェーンであるホール・フーズ・
マーケット社に吸収合併された。来店していた主
婦に、オーガニック商品を買い求める理由を尋ね
たところ、食品の安全性という観点に加えて、農
薬等の化学物質を使わず、環境に悪影響を与えな
いためであるとの答えが返ってきた。
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 入店後、真っ先に目にする色鮮やかな野菜売場の光景。
上部のディスプレーには、向かって左から、「conventi
onal(一般作物)」、「organic(オーガニック作物)」、
「transitional(オーガニック認定申請中の作物)」の色に色分けされた表示方法が説明されている。店内に
は、オーガニック基準に関する資料のほか、遺伝子組み
換え作物に対する表示等を求めるパンフレットや、食品
への放射線照射に反対するもの、米国政府への投書用葉
書も置いてあった。

 

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 鶏卵のコーナーにも、オーガニック(左)と非オーガ
ニック(右)とが並ぶ。価格差(10個パック)は、約3
ドル(330円)対1.7ドル(180円)。ただし、売れ行き
は、およそ15の割合とのこと。

 

ひとくちメモ

 米国におけるオーガニック(有機)食品の市場規模は、90年の約10億ドル
(1,090億円)から、99年には約60億ドル(6,540億円)に達するなど、近年、
急成長を遂げている。米農務省(USDA)は、本年末までに、オーガニック食品
の生産、表示、認証等に関する全国統一基準を制定する意向であるが、これに至
るまで、足かけ10年にもわたる議論が繰り広げられたことからしても、国民がい
かにオーガニック食品について高い関心を抱いているかがうかがえるだろう。

 このようなオーガニック食品は、一般のスーパー等においても購入できるが、
オーガニック食品をはじめとした、いわゆる自然食品を主体に取り扱う大型専門
店の躍進も見逃せないものとなっている。そこで今回は、世界最大の自然食品ス
ーパー・チェーンに属する店舗の1つを、首都・ワシントンDC近郊に訪ねたので、
同店におけるオーガニック畜産物の販売状況を中心に紹介する。

 なお、USDAが行った97年までの調査結果によると、オーガニックと認定され
た乳用牛の飼養頭数は、5年間で5倍弱の約1万3千頭、採卵鶏の飼養羽数は、同
11倍強の約53万8千羽にまで急増した。一方、肉用牛や肉豚等の頭数については、
99年2月まで、オーガニック表示が認められていなかったため、同期間中は減少
傾向にあったが、最近では、拡大しているとみられている。
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 食肉コーナーの天井から垂れ下がっているディスプレーは、
生産農場主の顔写真入りプロフィール。正面に見えるのは、
肉粉や魚粉等を一切使わず、大豆やトウモロコシ等の植物性
飼料を主体とするBell & Evans社(ペンシルバニア州)の農
場主を紹介したもの。同店では、大手パッカーの製品は取り
扱わず、飼養状況などが明らかな小規模な生産者による商品
を選定するよう心がけているとのこと。
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 食肉コーナーで一番の売れ筋商品の1つ、Bell & Evans社
の骨なし皮なしむね肉(左)。同社の製品は、ペンシルバニ
ア州農業省の後押しもあり、近年、日本にも輸出されている。
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 食肉コーナーの真中に位置するショーケースの前に立つ
食肉部門の販売主任パット・タブス氏。夏場のバーベキュ
ー需要に合わせたニューヨーク(ストリップ・ロイン)ス
テーキや串焼きの材料が、木炭や着火剤などと一緒に売ら
れている。冬場には、ケースの中がシチュー用食材に変わ
るらしい。
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 Niman Ranch(アイオワ州)のポーク・ロイン・チョッ
プ。抗生物質やホルモン剤等が使用されず、屋外で放し飼
いされる肉豚から生産された。1ポンド当たり約7ドル(16
8円/100g)と、一般スーパーでの販売価格に比べ約3
4割高。こうした精肉製品のほとんどは、店内でボックス・
ミートをカットしたインストア・トレー・パック商品。
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 バージニア州のSunnyside Farmsの牛ひき肉パック。こ
の生産者も、抗生物質やホルモン剤等を投与せず、放牧主
体で管理しているという。

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