ブラジル、今年の牛肉輸出は59万トンと予測


2000年牛肉輸出は前年比4.5%増にとどまると予測

 ブラジルの牛肉輸出量は96年以降増加傾向で推移しており、99年の牛肉輸出量
は56万5千トン(前年比46%増)で98年の牛肉輸出量(38万6千トン)を大きく上
回った。これは99年1月、ブラジル通貨レアルの対ドルレート切り下げにより輸
出競争力が強まったことなどから、EU向けを中心に輸出量が増加したためである。

 このように輸出の拡大が見込まれる中で、ブラジルの全国食糧供給公社(CON
AB)は、2000年の牛肉輸出量を前年比4.5%増の58万7千トンにとどまる予測して
いる。97年以降家畜の保留が進んでいること、生産量に見合う消費の伸びが期待
できそうにないこと、輸出競争力はあるものの新規市場開拓に時間がかかること
などを理由としている。

牛肉の需給
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 資料:CONAB
  注:99年は推定値、2000年は予測値

 ブラジルでは98年5月、国際獣疫事務局(OIE)から2州で口蹄疫ワクチン接種
清浄地域に認定されたのをはじめ、現在では南部・中西部の7州と1連邦地区が認
定されており、口蹄疫清浄化に向けた体制整備が進んでいる。こうした家畜防疫
上の地位の改善を背景として、ブラジルではこれまでの主要輸出先であるEU
(ブラジルの牛肉輸出量の60〜70%を占める)だけでなく、北米自由貿易協定
(NAFTA)地域やアジア諸国など新たな輸出市場の開拓が期待されている。ただ
し、今回の予測にあるように、ブラジル産牛肉が新規輸出市場に参入するために
は一定の期間が必要であるとみられている。


業界では強気な輸出予測も

 一方、牛肉業界では、最近の牛肉価格が低下を背景として2000年の牛肉輸出量
を約65万トンとさらに増加するとの見方もある。大消費地市場における去勢牛平
均枝肉単価の推移を見ると、今年初めの1.37〜1.53ドル(約149〜167円:1ドル=
約109円)/kgの高値から下落を続け、最近では1.26〜1.37ドル(約137〜149円)
/kg(生体単価では約0.75ドル(約82円)/kg)まで下落している(参考:アルゼ
ンチンの最近の平均枝肉単価は約1.5ドル(約164円)/kg)。

輸出形態は生肉(冷凍・冷蔵肉)の比率が増加

 ブラジルの牛肉輸出量は、96年以降、加熱加工肉(1時間以上加熱し味付けし
た加工肉)を主体として増加傾向で推移しているが、その中で生肉(冷凍・冷蔵
肉)の比率が増加してきている。98年における牛肉輸出量の比率を形態別に見る
と、加熱加工肉が72%、生肉が28%に対し、2000年(1〜4月)では加熱加工肉が
59%、生肉が41%と生肉の比率が増加した。これは、従来、EUまたは米国向けの
加熱加工肉が、牛肉輸出量・金額のかなりの部分を占めていたのに対し、最近は
国内価格低下の影響などによりEU向け生肉輸出比率が増加したためである。この
ため、2000年(1〜4月)の輸出金額を見ると生肉が加熱加工肉を上回っている。
また今年末には、米国向け生肉輸出が見込まれており、今後も生肉輸出量の傾向
が続くものとみられる。

 なお、欧米に向けられる低級部位を原料とする塩蔵肉は、アルゼンチンが生産、
輸出を減らした分、ブラジル産が増加しているとみられる。

牛肉輸出
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 資料:コンサルタント情報(FNP)

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