今年度のトウモロコシ生産量は微増と予測(ブラジル)


生産量は微増と予測、ただし霜害の懸念も

 ブラジルの国家食糧供給公社(CONAB)は7月13日、99/2000年度におけるト
ウモロコシの収穫状況調査結果を発表した。これによると、収穫時期が2〜4月
(第1収穫)の収穫量を2,726万トン(前年比1.9%増)、また収穫時期が7〜8月の
サフリンニャと呼ばれる端境期収穫(第2収穫)量を585万トン(同3.5%増)と
見込んでおり、通年で3,311万トン(同2.2%増)で前年をわずかに上回ると予測
している。

 第1収穫については、雨不足によりトウモロコシの作付適期が遅れた結果、ト
ウモロコシの代替として大豆の作付けを選択した生産者が増加したことなどから、
中西部が428万トン(同8.6%減)、南東部が685万トン(同3.2%減)とそれぞれ
生産量が減少した。南部は1,224万トン(同2.3%増)と増加したが、主産地のパ
ラナ州では556万トン(同4.8%減)と減少した。一方、天候に恵まれた北部、北
東部では、それぞれ109万トン(同2.6%増)、281万トン(同42.4%増)と生産量
が増加した。

 第2収穫については、南東部が干ばつの被害などにより33.5%減の64万トンと
大幅に減少するものの、北東部が26万トン(同0.2%減)、中西部が213万トン
(17.6%増)、南部が282万トン(7.6%増)となることから全体で3.5%増と見込
まれている。しかし、7月の中旬に同国最大の穀物生産地であるパラナ州などで
霜害が発生し、農産物に多大な被害を及ぼしたものとみられる。このため第2収
穫の生産量は、この予測値を下回るとみられている。


家畜飼料向けを中心にトウモロコシの需要が増加

 ブラジルにおける主な生産地は、伝統的にパラナ州、サンタカタリナ州、リオ
グランデドスル州からなる南部が中心で全体の約45%を占める。中でも、パラナ
州は全生産量の約4分の1を占め、同国最大のトウモロコシ生産州である。

 同国のトウモロコシ生産量は世界全体の約5〜6%であるが、近年、養鶏、養豚
など畜産業の急速な進展を背景としてトウモロコシ需要(全体の60%以上が家畜
飼料向け)が増加しており、不足分をアルゼンチン、米国、パラグアイなどから
輸入している状況にある。

 国家食糧供給公社(CONAB)によると、98/99年度のトウモロコシ生産量は
3,240万トンに対し需要量が3, 500万トンで、110万トンのトウモロコシを輸入し
た。


注目されるGMトウモロコシの輸入

 同国では、家畜飼料向けを中心としてトウモロコシ需要が増加する一方、国内
生産の大幅な増産は期待できないことから、特に家畜飼料向けトウモロコシの需
給はひっ迫基調で推移している。

 こうした需給動向を反映して、生産者価格は昨年9月以降高騰している。サン
パウロ州では、2000年1〜5月の月平均価格(60kg当たり)が対前年比50.0%高の
13.2レアル(約792円:1レアル=約60円)、またパラナ州では、同37.8%高の
11.3レアル(約678円)となっている。このため、特に市場の価格変動リスクを
直接被るインテグレーションの傘下にない生産者や、十分なストックを確保する
ことのできない中小規模生産者にとって、このような飼料原料価格の高騰が経営
面で深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

 また、同国政府では、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの輸入を規制して
いるため、GM作物の作付けが進んでいるアルゼンチン産トウモロコシなどの輸
入をめぐり貿易摩擦に発展している。このため、状況次第では、今後同国におけ
るトウモロコシの需給のひっ迫に拍車をかけるものと懸念されている。このよう
な中、ブラジルにおけるGM作物の生産、輸入、流通・販売を管理する国家バイ
オ安全委員会(CTNBio)は7月、海外で生産・販売されている13種類のGMトウモ
ロコシの飼料向け輸入を承認する意見書を農務省に提出した。今後、同国におけ
るトウモロコシの需給を占う上で、GMトウモロコシの輸入をめぐる対応が注目
される。

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