中国、初の土地資源実態調査の結果を発表


20年をかけ、全面的かつ詳細な土地調査を実施

 中国は、国務院(政府)の統一計画に基づき、20年近くの歳月と延べ2千万人
もの人手、そして十数億元(約200億円前後:1元=約13円)の経費を費やし、全
国の土地資源の実態について、初めての全面的かつ詳細な調査を行った。発表さ
れた調査報告によると、96年10月31日現在、全国の土地の内訳は次のようになっ
ている。

◇図 中国の土地資源利用形態◇

 全耕地1億3千万ヘクタールの43.2%は中部地区(黒竜江省、吉林省、湖南省な
ど)に分布し、東部地区(河北省、山東省、広東省など)と西部地区(四川省、
雲南省、青海省など)は、それぞれ28.4%ずつであった。

 また、全国の耕地のうち傾斜が25度以上のものは607万ヘクタール(全耕地の
約4.7%)で、その76.5%が西部地区にあるほか、中部地区は17.1%、東部地区は
6.4%となっている。これら傾斜地の耕地は、国の規定に基づいて計画的に森林
や草地に戻し、生態系の改善に努めなければならないこととなっている。

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注:このほか、経済地帯別に東北、華北、東南沿岸(華南)、
  中南、西北、西南の6つに区分けすることもある。


1人当たりの耕地は0.1ヘクタール、かんがい施設なしが6割以上

 今回の調査結果から、中国の1人当たりの耕地面積は約0.106ヘクタールと推計
され、世界平均の半分にも満たないといわれる。1人当たりの耕地面積が比較的
大きいのは、主に東北(黒竜江省、吉林省など)、西北(寧夏省、青海省など)、
西南(四川省、雲南省など)地区など自然条件が厳しく、食糧生産が低い地区と
なっている。東南沿海地区(福建省、広東省など)や北京・天津・上海などの直
轄市では、食糧生産量に比較して耕地面積が小さく生産性が高いものの、耕地は
大幅に減少しているという特徴が見られている。

 また、かんがい施設のない耕地は、全国の耕地総面積の60.2%にも及び、この
うち中西部での割合は67%以上に達している。


砂漠化など土地資源の問題も明らかに

 今回の調査の実施により、中国の土地資源に関する問題点も明らかになってい
る。

 第1は水や土壌の流失で、流失現象の見られる面積は、建国当初の1億1,600万
ヘクタール(116万平方キロ)から1億6,300万ヘクタール(163万平方キロ)まで
増加した。これは、毎年約100万ヘクタール(1万平方キロ)の速度で、水や土壌
の流失現象が拡大していることを意味するものである。

 第2は砂漠化の問題で、中国西北の11省・自治区における砂漠化面積は、国土
の約17.6%に当たる1億6,890万ヘクタール(168万9千平方キロ)に達している。
このほかにも、国土の3分の1が砂漠化の脅威にさらされているといわれる。

 第3は湖水面積の縮小で、無計画な開発や気候の変化などにより、全国の湖水
面積は、建国初期に比べて約140万ヘクタール以上も減少した。

 第4は土壌汚染であり、工業排水や農薬などにより汚染された耕地は、全国の
耕地面積の約16%に当たる2,186万7千ヘクタールに達している。


20年近くで6百万ヘクタール以上の耕地が減少

 調査結果により、中国の耕地面積が、都市の拡大や無計画な開発区の設置など
により、この19年間で少なくとも約630万ヘクタール近く減少したことも判明し
た。これは、現在の耕作面積の約5%に相当する。

 なお、今回発表された全国の耕地面積は、従来公表されていた数値よりも約3
千5百万ヘクタールほど増えている。しかしこれは、それまで地方によって異な
っていた計量単位と集計基準を統一したことによるもので、実際に耕地が増加し
たわけではない。

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