EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○消費の回復と好調な輸出を背景に安定的に推移する肉牛価格


● ● ● 2002年1月以降、前年同月を上回って推移 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、EUにおける10月の平均肉
牛価格(指標価格)は、前年同月を7.2%上回る100キログラム当たり117.2ユ
ーロ(約1万4,400円:1ユーロ=123円)となった。肉牛価格は、2000年末に発
生した牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃により消費者不安が増大し、需要が減
退したため、2000年10月頃から急落し、2001年までは低迷した。2002年1月以
降、肉牛価格は前年同月を上回っており、BSEの影響からの回復の兆しを見せ
始めているものの、2000年の水準には達していない。

2002年10月の平均肉牛価格(指標価格)

資料:MLC
注1:生体重ベース
注2:各国の主要市場における指標価格


● ● ● 2002年の消費量は、前年比では増加 ● ● ●

 価格上昇の要因としては、消費の回復が挙げられる。フランス食肉ボード
(OFIVAL)によると、2002年第3四半期までのEUにおける牛肉消費量は、前年
同期比9%増の476万トンとBSE発生以前(2000年)の水準には達していないも
のの、かなり回復している。2002年第3四半期までの牛肉消費量を2000年の同
期と比較すると、ドイツ、イタリアではそれぞれ26.4%減、19.2%減といまだ
に大きく下回っている中、その他の国ではその減少幅は小さいものとなってい
る。OFIVALでは、牛肉消費が2000年の水準にまで回復しない要因として、経済
成長の停滞や豚肉や鶏肉への消費のシフトを挙げている。また、2002年の牛肉
消費量は、99年と比べると5.7%下回るものの、前年と比べると6.8%増にま
で回復すると予測している。


● ● ● 輸出も高水準 ● ● ●

 EUの域外への輸出量の増加も、肉牛価格の上昇の要因としている。OFIVAL
によると、2002年上半期の牛肉、牛肉製品および生体牛の輸出量(枝肉重
量ベース)は、前年同期比21%増の28万9千トンとなった(北朝鮮への食料支
援分も含む)。この輸出量の増加は、ドイツやデンマークからEU産牛肉の最大
の輸出市場であるロシアへの輸出が好調であったことによるものである。OFI
VALは、2002年の輸出量は、前年比21.1%増の65万4千トンになると予測してい
る。

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