米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2003年に好転が期待される肥育豚価格


● ● ● 10月の価格は前年同月比22.5%安 ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、2002年10月の肥育豚価格(生体重換
算、全米平均取引価格)は、前年同月比22.5%安の100ポンド当たり32.0ドル
(1キログラム当たり約87円:1ドル=124円)となった。価格は、2001年10月
からおおむね前年同月を下回って推移している。と畜頭数の増加などによる生
産量の増加が、価格低迷の要因とみられる。干ばつによる肉豚の早期出荷など
もあり、と畜頭数は4月以降前年同月を上回っており、1〜10月の累計では前年
同期比2.6%増の8,290万4千頭となった。また、生産量は、前年同期比3.1%増
の736万トンとなった。(左図参照)


● ● ● 繁殖豚のと畜頭数が増加 ● ● ●

 干ばつによる飼料価格の上昇や肥育豚価格の低迷などによる収益性の悪化か
ら、生産者は繁殖豚の飼養規模を縮小する傾向にあるとみられる。10月に公表
された四半期ごとの飼養動向調査でも、肥育豚については前年同期を上回った
ものの、繁殖豚については、4期ぶりに前年同期を下回る結果となっている。
4月以降、繁殖豚については前年同月を上回ると畜が行われており、10月も前
年同月比5.4%増となった。繁殖豚の飼養頭数の減少により、今後の生産基盤
の縮小は明らかである。

 また、前年を上回って推移してきた子豚生産頭数も、6月以降は前年水準を
下回って推移している。2002年第3四半期(6〜8月)の子豚生産頭数は、前年
同期比1.5%減となり、これは、2003年第1四半期(12〜2月)にと畜されるこ
ととなる。また、第4四半期(9〜11月)と2003年第1四半期(12〜2月)につい
ても、いずれも前年同期を下回ると見込まれている(それぞれ2.5%および1.1
%減)。

 なお、これらの子豚については、その75%が5,000頭以上の飼養経営体によ
って生産されていることが、先日公表された「繁殖用豚群の構造調査」で報告
され、大規模経営体が引き続き生産の中心という結果となっている(「畜産の
情報」11月号トピックス参照)。

◇図:飼養頭数の推移◇

◇図:子豚生産頭数の推移◇


● ● ● 今後の肥育豚価格は回復傾向 ● ● ●

 こうした供給量の減少見込みから、肥育豚相場は今後上昇するものとみられ
る。USDAでは、2003年第3四半期以降前年高に転じるとし、2003年通年での平
均価格は、前年比2.7〜11.5%高の100ポンド当たり35〜38ドル(約96〜105円)
と予測している。2003年の生産量は同1.7%減の880万9千トンと見込まれてい
るが、9,10月と前年同月比がマイナスに転じた1頭当たり枝肉重量の軽量化が
今後も進めば、生産量の減少幅はより大きいものになるとしている。

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