パラグアイで口蹄疫発生


口蹄疫撲滅計画」を実施中のブラジルは国境を一時閉鎖

 パラグイアにおいて、口蹄疫の疑いのある小水疱を呈した牛が数頭見つかっ
た。疑似患畜が見つかったのは、パラグアイ東部のカニンデジュ県のコルプス
クリスチ市に所在する牧場である。ブラジルの国境から20キロメートルのとこ
ろにあり、ブラジルのマットグロッソドスル州およびパラナ州と隣接している
ため、ブラジル政府および両州の衛生当局は、監視体制を強化した。この両州
には合わせて3,200万頭弱、ブラジル全体の20%弱の牛が飼養されている。

 ブラジルのプラチニデモラエス農相は9月24日、パラグアイの衛生当局が最
終的に診断を下すまで、家畜および畜産関連製品について国境を一時的に閉鎖
することとし、さらに国境監視のため陸軍に応援を依頼したと発表した。ブラ
ジル政府は、2005年までに口蹄疫を撲滅する「口蹄疫撲滅計画」を実施中であ
り、万一国内の清浄地域に口蹄疫が侵入した場合、EUなどの生鮮牛肉の輸入国
が輸入禁止措置をとることを懸念している。


パラグアイ、関係国と Panaftosaも交えた現地調査を実施

 パラグアイは同日、血液検査等の結果、口蹄疫ではなく、牛伝染性鼻気管炎
(IBR)であったと発表したが、その後、ブラジルとパラグアイは2国間の検討
会をメルコスル等関係国(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、パラグ
イア、ウルグアイ)に口蹄疫に係る衛生監視体制の監査権限を与えられたパン
アメリカン口蹄疫センター(Panaftosa)の技術者も交えて開催した。しかし
ながら、調査方法について両国の意見は異なったため、10月2日に最終的な結
論がなく終了した。

 これと平行して、アルゼンチンとウルグアイはPanaftosaに対し、パラグア
イへの調査団派遣を要請し、10月2日にPanaftosaから前向きに検討する旨の回
答を得た。一方、パラグアイは、血液サンプルの検査結果を見るべきであると
した。

 このような情勢の中、10月9日、メルコスル等関係国による会議が開催され、
その中で、血液検査により陽性を疑うサンプルがあったが、確定に至るための
情報が不足しているとして、10月14日から1週間程度の現地調査が実施される
ことになった。


パラグアイ、ブラジル双方で口蹄疫発生をプレスリリース

 現地調査の結果を受けて、パラグアイ衛生当局およびブラジル農務省は10
月31日、それぞれプレスリリースで「10月31日にPanaftosaからO型ウィル
スが検出されたとの報告を受領した」と発表した。

 2001年パラグアイ農牧省の統計によると、日本の国土の1.1倍の面積に約990
万頭の牛が飼養されており、そのうち肉用牛が約920万頭、乳用牛が約70万頭
となっている。なお、口蹄疫発生が疑われているカニンデジュ県には、牛は68
万頭弱、全体の6.8%が飼養されている。

 パラグアイの牛肉輸出動向を見てみると、2001年の輸出量46,200トンのうち
チリへ約55%の25,400トンを、ブラジルに30%弱の13,800トンを輸出しており、
チリとブラジルの2国で約85%を占めている。また、輸出向けと畜頭数は全体
の68%を占めており、牛肉の輸出志向が強い国とも言える。

 また、パラグアイは、1997年に国際獣疫事務局(OIE)から、口蹄疫ワクチ
ン接種清浄国として認定されている国であり、また2002年からEU向け高級牛肉
の関税割当枠(ヒルトン枠)を1,000トン与えられている。

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