世界の粗粒穀物、在庫の減少で価格は10年来の高値


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 豊作が見込まれる中国のトウモロコシ生産 ● ● ●

 米国農務省(USDA)が11月に公表した粗粒穀物需給予測によると、世界における2006/07年度(10月〜翌年9月)の粗粒穀物生産は、9億6,447万4千トンと3年連続で生産増が見込まれている。

 特に、中国のトウモロコシは、主要な北部地域の生育環境が良好で、単収は昨年記録した5.29トン/ヘクタールを上回る過去最高の5.30トン/ヘクタールが見込まれることから、生産は前月予測を200万トン上回り記録的な1億4,300万トンの豊作としている。

中国と米国のトウモロコシ生産量

資料:USDA/FAS


● ● ● 粗粒穀物価格は、ここ10年来の高値 ● ● ●

 一方、世界における2006/07年度の粗粒穀物在庫は、生産を上回る需要増から、前年度を27%下回る1億2,164万8千トンが見込まれている。特に、米国における2006/07年度の粗粒穀物在庫は、増加する国内エタノール用仕向けや輸出需要から、96/97年度以来の最低水準となり、前年度を5割下回る2,739万1千トンが見込まれている。

世界の粗粒穀物在庫

資料:USDA/FAS

 このため、粗粒穀物価格は上昇を続けており、ここ10年間で最高水準となっている。

米国の粗粒穀物生産者価格

資料:USDA/FAS


● ● ● トウモロコシ価格の上昇は米国の輸出競争力を減退 ● ● ●

 トウモロコシ価格の上昇は、米国産トウモロコシの輸出停滞を招くとともに、価格が上昇することで、中国、ブラジルといった国の輸出増が見込まれるとしている。また、今後とも、このような価格上昇が継続することになれば、資金力のない国は、トウモロコシの輸入を見合わせることになるとしている。


元のページに戻る