経産牛飼養頭数増加も、と畜頭数が増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 第3四半期の生乳生産量は前年同期比増も、一部で減少 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2006年第3四半期(7〜9月)の生乳生産量は、干ばつによる減産が懸念されていたが、全米生産量の約7割強を占める上位10州においては、その影響が軽微であったことから、前年同期比1.4%増の2,029万2千トンとなった。生乳生産量の1位はカリフォルニア州(433万4千トン、前年同期比2.0%増)であった。そのほか上位10州のうちアイダホ州(129万6千トン、同6.7%増)、ニューメキシコ州(87万トン、同7.9%増)、テキサス州(76万4千トン、同8.5%増)が高い伸び率を示した。

 しかしながら、主要23州のうち9州で生乳生産量が前年同期を下回っている。特に、全米の生乳生産量に占める比率は低いものの、ミズーリ州(19万トン、同6.7%減)、ケンタッキー州(13万2千トン、同10.5%減)でかなりの程度減少した。地域的な生乳の減産により、加工原料乳不足が生じ、乳製品の生産量は一部で干ばつの影響を受けた。脱脂粉乳の全米生産量の約7割を占める西部地域では、カリフォルニア州を除いて、ワシントン州(627万トン、同3.6%減)、オレゴン州(257万トン、同3.3%減)ともに生産量が減少したため、西部地域の第3四半期における脱脂粉乳の生産量は、同4.5%減少している。


● ● ● 経産牛飼養頭数、と畜頭数がともに増加 ● ● ●

 全米における経産牛飼養頭数は増加傾向で推移しており、10月末の飼養頭数は、前年同月比0.5%増の910万7千頭となった。飼養頭数の増加が生乳生産量の増加を支える一方で、経産牛と畜頭数も5月以降前年を上回って推移している。

 第3四半期の経産牛平均飼養頭数は、生乳生産量上位のうち南部のニューメキシコ州(36万1千頭、前年同月比9.1%増)、テキサス州(33万7千頭、同5.3%増)および新興酪農地域のアイダホ州(49万5千頭、同6.2%増)で高い伸び率を示したが、主要23州のうち11州で飼養頭数が減少した。

 また、2006年第3四半期のと畜頭数は、前年同期比10.3%増の59万8千頭となっている。USDAは、この状況を受けて、11月公表の第4四半期の経産牛平均飼養頭数の見込みについて、これまでの912万頭から下方修正し、910万5千頭とした。

経産牛飼養頭数とと畜頭数の推移

資料:USDA「Livestock Slaughter」


● ● ● 飼料価格高騰が懸念材料● ● ●

 2006年は、生乳の生産者販売価格が前年を下回って推移していることや、エタノール生産の増加からトウモロコシなど飼料価格が上昇していることなど、酪農家の収益への影響が懸念される要因が生じている。USDAは、生乳の生産者販売価格は第4四半期以降やや上昇すると見込んでいるが、飼料価格の上昇傾向は2007年まで続くとの見解を示している。


元のページに戻る