2007年の生体豚輸入頭数も高水準で推移の見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● カナダからの肥育素豚の輸入頭数シェア高まる ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、2006年の生体豚輸入頭数は前年比7.0%増の876万3千頭となった。そのうち、110ポンド未満(50キロ未満の肥育素豚)は同11.0%増の601万4千頭で、生体豚輸入頭数全体に占める割合も前年の66.1%から2.5ポイント増の68.6%となるなど、肥育素豚の輸入が増加している。

 この要因として、第一に、カナダでの肥育豚価格(オンタリオ州の基本価格)が2005年8月以降1キログラム当たり1.5ドル(173円:1カナダドル=115円)を下回る低水準で推移していることが挙げられる。カナダ産豚肉の第1位の仕向け先である米国では、国内生産量が増加していることに加え、米ドルに対するカナダドル高の影響で豚肉輸出量が減少している。さらに、米国におけるトウモロコシ価格の上昇はカナダの穀物価格にも影響を及ぼしていることや、カナダでの労働者の人件費が高いため、米国に比べて肥育コストがかさむことなどから、米国で肥育するほうが有利なため、カナダからの肥育素豚の輸入頭数が増加しているとみられる。

 この結果、2007年第1四半期(1〜3月)の米国のカナダ産生体豚輸入頭数も、前年同期比7.9%増の230万1千頭となるなど、輸入頭数は今後とも、増加傾向で推移することが見込まれる。


● ● ● カナダの豚飼養頭数は、前年同期比3.1%の減少へ ● ● ●

カナダ(オンタリオ州の)肥育豚価格の推移

資料:農畜産業振興機構調べ
注:枝肉重量ベース


 USDAによると、米国およびカナダの豚飼養頭数は、前年同期比0.4%増の7,522万4千頭となった。飼養区分別に見ると、繁殖豚(雄を含む)が同0.4%増の769万3千頭、肥育豚は同0.4%増の6,753万1千頭となった。

 米国の豚飼養頭数(2007年3月1日時点)は好調な豚肉輸出を背景に緩やかな増加となった一方で、カナダの豚飼養頭数(同年4月1日時点)は同3.1%減の1,412万1千頭と減少している。カナダの豚飼養頭数は、2005年7月に1,492万3千頭のピークを迎え、その後減少傾向で推移している。これは、肥育豚価格(オンタリオ州の基本価格)が低水準で推移していることに加えて、主要生産州であるマニトバ州における環境規制の強化や、近年の穀物価格の高騰が背景にあるとされる。

米国およびカナダの豚飼養動向
資料:USDA
注:「米国」は3月1日現在。「カナダ」は4月1日現在。
「米国+カナダ」は、それぞれの合計。


● ● ● メープルリーフ・フーズ社の再編進む ● ● ●

 カナダの豚肉最大手メイプルリーフ・フーズ社は、サスカトゥーン州のサスカトゥーン工場を2007年に閉鎖したのに続き、オンタリオ州エトビコ工場を同年10月末で閉鎖することを公表した。同社は、付加価値の高い食肉製品や加工食品分野に経営資源を集中するため、マニトバ州のブランドンにすべての豚肉加工場を統合することを決定しており、2006年に取得してからおよそ5,500万カナダドル(95億円)以上が投資されるだろうとしている。


元のページに戻る