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FDA、乳脂肪分に関する表示規則を改正


 【デンバー駐在員 堀口 明 11月26日発】 保健社会福祉省食品医薬品局
(FDA)は、先ごろ、牛乳乳製品の乳脂肪分表示に関して、「低脂肪」、「脂
肪分低減」などの表示用語の使用基準を改正する最終規則を官報公示した。改正
規則の施行は、98年1月とされている。

 FDAが改正した乳脂肪分に関する表示規則によれば、従来、「低脂肪(lowfat
)」と表示することのできた乳脂肪分2%の飲用牛乳は、規則施行後はこの表示
ができなくなり、代わりに「脂肪分低減(reduced fat)」と表示することにな
る。一般に製造販売されている飲用牛乳で「低脂肪」の表示が行えるのは、乳脂
肪分が1%のものに限られることになる。なお、今回の規則改正の対象となって
いるのは、飲用牛乳、カッテジチーズ、ハーフアンドハーフの3種類の牛乳乳製
品となっている。

  米国では、食品の栄養面での特徴を強調し、消費者の食品購買を促すため、脂
肪分や食物繊維分などの栄養成分などに関して「低」、「高」などの表示を行っ
た食品が数多く販売されている。これらの用語を表示することについては、「9
0年栄養表示・教育法(NLEA)」により、それぞれについて一定の基準が定
められている。

  NLEAの規定によれば、飲用牛乳などについて「低脂肪」と表示するために
は、基準供給量(1回の標準的消費量、飲用牛乳の場合は240ml)当たりの
脂肪含有量が3g以下であることが条件とされている。この基準から、乳脂肪分
2%の飲用牛乳は、基準供給量当たり約5gの脂肪を含んでいるため「低脂肪」
の表示は行えないことになる。しかしながら、飲用牛乳などについては、これま
では免除規定により「低脂肪」の表示を行うことが許されていた。

  今回の規則改正は、飲用牛乳処理会社により組織される飲用牛乳財団(MIF)
や公共利益科学センター(CSPI)などの申請に基づき改正の検討が行われた
ものである。申請を行ったCSPIは、「乳脂肪分2%の飲用牛乳を低脂肪牛乳
としていたこれまでの表示は、消費者に乳脂肪分2%の飲用牛乳は脂肪分が少な
いとの誤解を与えるものであり、この誤解に基づき多くの消費者が普通牛乳から
脂肪分2%の飲用牛乳への切り替えを行っていた」として、「規則を改正して正
確な知識を消費者に与える必要がある」と今回の申請理由を説明している。FD
Aも、今回の乳成分に関する表示規則の改正が、法律の基本原則と整合させるも
のであり、食品表示に正確さと公正さをもたらすものとしている。

  なお、今回の規則改正では、併せて、無脂肪の飲用牛乳について、脱脂(skim)
や無脂肪(non fat、no fat、fat free)などの用語を同義語として使用できると
している。

  ここ数年来、米国の飲用牛乳消費量は、全体としては、わずかな減少で推移し
ているが、脂肪分で分類した消費内訳は、普通牛乳が大きな減少を示す一方で、
低脂肪牛乳や無脂肪牛乳が顕著な伸びを示す形となっている。表示の変更がこの
傾向にどの様な影響をもたらすか注目される。

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