LIPC WEEKLY

バターの消費が見直されるドイツ


    

【ブラッセル駐在員 東郷 行雄 3月7日発】  健康上の理由からバターを中

心とした動物性脂肪食品の摂取量が減少しているのは各国の共通した傾向である

が、ドイツでは、減少傾向が続いていたバターの消費が回復傾向を示している一

方で、ヘルシーなイメージを持っていたマーガリンの消費が落ちてきている。



 ドイツでは、コレステロール問題などの健康上の理由から、バターの消費は80

年代後半以降減少傾向が続いていたが、最近の調査によると、消費が回復する傾

向にあることがわかった。

 

  95年におけるドイツのバター国内消費量は、全体で56万5千トンに達し、

この1年間だけで5千トンの増加を示した。これは、国民一人当たりのバター消

費量を約100グラム押し上げたこととなり、この結果、一人当たり年間消費量

は、ほぼ7kgの水準まで回復した。



 反面、今までヘルシーなイメージを持っていたマーガリンの消費は、90年に

一人当たり8.3kg消費されていたものが、95年には7kgまで減少し、95

年の消費量を見る限りでは、バターの消費量ときっ抗したものとなっており、今

後は、バターの消費量が上回ってゆくという興味深い見通しも出ている。



  このように、バターの消費が回復してきた背景には、消費者がバターに持って

いた非健康的なイメージが徐々に薄れつつあることが挙げられている。



 旧西ドイツの主婦を対象にした調査によると、ヘルシーな脂肪食品としてバタ

ーを支持した主婦が全体の43%を占めたのに対し、マーガリンを支持した主婦

は36%でしかなかったことからも、消費者の両者に対する健康面でのイメージ

が、変わりつつあることが裏付けられている。



 また、家庭でバターを利用する機会も着実に増えてきているようである。



  ドイツでは、全体の6割のバターが家庭で消費されているが、家庭におけるバ

ターの利用方法を調査したところでは、パン食に、通常バターを使用すると答え

た主婦が、旧西ドイツで91年に40%であったものが、最近では52%まで増

えてきている。こうしたことから、パン食にも利用しやすいスプレッドタイプの

バターの普及が、今後の消費の伸びの一つのカギを握っているものとみられてい

る。

                                                                            

  バターおよびマーガリンの一人当たり消費量の推移 

                                          (kg/年間)      

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  国 名 品 目  1990  1991  1992  1993  1994  1995       

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  ドイツ バター     7.3   6.9   6.8   6.8   6.9  (7.0)      

         マーガリン   8.3   8.2   8.0   7.7   7.2  (7.0)      

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