LIPC WEEKLY

下院本会議、農業法案を可決


    

【デンバー駐在員 堀口 明 3月6日発】 米国下院は2月29日、賛成270、

反対155の多数で農業法案を可決した。上院は、既に2月初めに独自の農業法

案を可決しており、今後は、両院協議会により統一案を作成した上で、大統領の

署名を求めることになる。



 先に下院で議決された農業法案は、論議の中心となっていた農産物の価格支持

制度について、これを廃止し、7年間にわたって、農産物の価格動向にかかわら

ず、一定の補助金を交付するというロバーツ下院農業委員長の提唱した内容とな

っている。また、これまで、不足払いを受けるための条件であった減反も廃止さ

れ、生産者は自由に作付けできることや、酪農関連の規定も盛り込まれている。



 上院では、既に、価格支持制度に関しては下院案と同内容の農業法案が成立し

ている。今後は、両院協議会により両院の統一案を作成して、大統領の署名を求

めることになる。 



 両院協議会では、下院側が、貿易、農村開発、調査研究関連などの法案につい

て、農業法の第2部として別に審議するとの考え方を採っているため、これらを

含めて一括して法案を成立させようとする上院側との調整が求められている。ま

た、酪農関連規定について、上院案にはこれが含まれておらず、今回の下院案に

ついても、ソロモン議員(共和党、ニューヨーク州選出)などの提案による、現

行の価格支持制度を2000年までの5年間で廃止するなどの内容に、酪農団体

が強く反発しており、調整は難航するものとみられる。



 今回の下院案の可決に対して、グリックマン農務長官は「価格支持制度は、農

産物価格の低落時に農業経営を守る役割を果たすものであり、価格動向に関係な

く補助金が交付される現行法案の内容は改善する必要がある」としている。しか

しながら、米国最大の農業生産者団体であるファーム・ビューローが下院案の可

決を歓迎するなど、現在の穀物価格の動向や好調な輸出市場の状況などを背景に、

生産者の大勢が価格支持制度の廃止を支持しているため、両院協議会でこれに大

きな変更が加えられることは考えにくい。



 また、農産物の作付けが始まっていることなどから、両院協議会で協議された

後の法案に、大統領が拒否権を行

使することは難しい状況にあるとの見方が一般的である。


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