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EUが豚肉民間在庫補助を発動


【ブラッセル駐在員 井田 俊二 9月24日発】EU豚肉管理委員会は、9月15
日、豚肉の民間在庫に対する補助を発動することとし、9月28日から実施する決定
を行った。EUでは、最近の豚肉需給の緩和に伴い市場価格が大幅に下落しており、
今回の決定はその対応策として取られた措置である。
 EUでは、最近の豚肉需給の緩和に伴う市場価格の大幅な下落に対する対応策とし
て、豚肉の民間在庫に対する補助を9月28日から実施することを決定した。豚肉流
通業者を対象とした在庫に対する補助を実施することにより、豚肉の民間在庫の促進、
市場流通量の抑制を図り、需給の改善を達成するための措置である。
 今回の対象となる在庫量は、7万トン以内としている。
 補助金の対象として契約する豚肉の在庫期間は、4カ月、5カ月または6カ月のい
ずれかとしている。ただし、EU域外に輸出する場合に限って、当該契約期間満了前
であっても豚肉を出庫することができるが、この場合には在庫の日数(月数)の変更
に応じてペナルティが課せられるため、補助金額が削減されることとなる。
 また、補助金の交付条件として、豚肉は契約期間満了後遅くとも6カ月以内に輸出
されなければならないと規定されている。
 なお、1契約当たりの最低数量単位は、ボンレス豚肉で10トン以上、それ以外の
規格で15トン以上となっている。
 今回決定した、部位別在庫期間別の補助額は次のとおりである(1ECUは、約
159円)。
          (単位:ECU/トン)
       在庫期間      追加または控除
    4カ月 5カ月 6カ月 /1月 /1日
枝肉   315 352 389 37 1.24 
モモ、カタ  379 421 463 42 1.41 
マエ、ロース 
ベリー  197 230 263 33 1.09
中く   290 325 360 35 1.17
(中間胴部)

 

 近年のEUにおける豚肉価格は、96、97年と需要増加等により堅調に推移して
きた。しかしながら、98年には主要国での生産意欲の向上に伴う供給量の増加に加
えて、主要な輸出相手先であるアジアおよびロシア地域における経済危機の影響によ
り需給が緩和基調となり、市場価格が急速に下落し低迷が続いている。9月第2週に
おける豚枝肉の参考価格をみると、108ECU(1万7千円)/100sであり、
97年9月の豚枝肉参考価格(175ECU(2万8千円)/100s)と比較して
約6割の水準まで落ち込んでいる。
 このため、EUでは豚肉の需給改善に向けた対応策が急務となり、その対策の一つ
として98年8月から輸出補助金の引き上げ措置が取られた。今回の民間在庫に対す
る補助措置は、これに続く対応策である。
 なお、同日の管理委員会では、いくつかの加盟国の要望により輸出補助金の再度の
引き上げが提案されたが承認されるには至らなかった。

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