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EUがオーガニック畜産物の生産基準を承認



【ブラッセル 井田 俊二 7月1日発】 EU農相理事会は、6月、EUのオ
ーガニック畜産物に関する生産基準を承認した。統一的な飼養等の基準を定め
るほか、消費者に対し、基準に適合した製品であることを保証するため、今後、
牛肉、豚肉等の製品についてEU共通のロゴマークを付したラベルを提示する
こととなった。  
  
  EU農相理事会は、6月の理事会において、これまで統一的な規定のなかった
EUのオーガニック畜産物に関する生産基準を承認した。

 EUにおけるオーガニック農産物の基準は、91年(理事会規則2092/
91)に穀物等についてその生産方法等の基準が定められた。一方、畜産物に
ついては、統一的な基準が定められていなかった。このため、EU委員会は、
96年にオーガニック畜産物に関する生産方法等の基準を提案し検討が行われ
ていた。この提案には、畜舎環境、動物愛護および飼料等オーガニック畜産物
を生産するための基準となる条件が定められている。

 このたび承認されたオーガニック畜産物の基準の主な条件は次の通りとされ
ている。

 飼料面では、遺伝子組み換え飼料および人工成長促進物質を使用した場合、
その対象としない。また、将来的には肉および骨粉を飼料として与えることは
禁止することとしている。

 衛生面では、病畜への抗体投与回数の上限を、大家畜については3回、小家
畜については1回と定めており、これを超えた場合には、その家畜から生産さ
れた畜産物はオーガニック畜産物と認定されない。

 飼養面では、家きんは81日以内にと畜しなければならないと規定している。
ただし、成長が遅れ、と畜体重に達しない個体については、規定の適用が免除さ
れる。この場合、生産者は個体の成長が遅れた証拠を提示しなければならない。
また、家畜を野外で飼育するための最低期間を規定している。ただし、天候条件
の悪いフィンランド等では規定の適用が免除される。

 また、EUでは、今後この基準に従って生産したオーガニック畜産物を消費者
に保証するため、牛肉、豚肉等の製品に統一のロゴマークを付したラベルを提示
することとなった。

 なお、この規定は、官報告示日から1年後に実施に移される。
 EUにおけるオーガニック農産物は、市場シェアは小さいものの、食品の安全
性に対する消費者の関心の高まりから、近年、需要が急速に拡大している。しか
しながら、オーガニック畜産物については、これまで統一的な基準がなく、各加
盟国が独自の規定が適用されてきた。このため、既に今回の統一基準よりも厳格
な基準を適用してイギリス等では、今後一層の基準強化を求めている。

 ベルギーに端を発した鶏肉・鶏卵等のダイオキシン汚染問題や遺伝子組み換え
食品の安全性に関する論議等、食品の安全性に対する関心は非常に高い。このよ
うな状況下、オーガニック農産物が今後ますます注目されるものとみられる。


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