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EU、イギリス産牛肉の輸出再開を決定



【ブラッセル 島森 宏夫 7月15日発】EUは、14日、イギリスにおける「生
年月日に基づく輸出措置」(DBES)の下で一定の要件を満たすイギリス産牛肉
および牛肉製品の輸出禁止措置を8月1日から解除することを決定した。

 DBESが適用され輸出が解禁されるのは、と畜時に6ヵ月齢を超え30ヵ月齢
未満の牛から生産された骨を除去した牛肉および牛肉製品である。生体牛には適用
されない。また、牛肉を生産するための牛は96年8月1日以降に生まれたもので、
その母牛は子牛が6ヵ月齢になるまで生存し牛海綿状脳症(BSE)を発症しなか
ったことが要件となっている。さらに、BSEを発症した母牛から生産された子牛
は、と畜とう汰されることとされている。

 なお、BSE検査は、臨床的にBSEを発症した動物由来の陽性サンプルについ
てのみ評価されており、臨床的にBSEを発症する前の早期段階でのプリオン(病
原体)検出が可能かが不明であることから、今回の要件には含まれなかった。

 EUは、96年3月にBSEと人のクロイツフェルドヤコブ病との関連が指摘さ
れて以来、イギリス産牛肉の域内および域外への輸出禁止を継続してきた。イギリ
スのうち、北アイルランドにおいては、DBESと同様な「輸出保証牛群措置」
(ECHS)が98年3月に承認され、同年6月から牛肉輸出が解禁されている。

 DBESについては98年11月にEUにより承認され、輸出の解禁日はその運
用状況が満足いくものである場合に検討されることになっていた。4月までの調査
で、その運営は大きな遅滞もなく行われほぼ満足いくものであることが確認された
ことから、今回の決定に至った。

 今回のEUの決定に関し、イギリスのブラウン農相は、同国牛肉産業が世界市場
から疎外された期間は大変長かったが、輸出の再開はこれまであらゆる安全対策を
適切に講じ耐えてきた関係者の功績であると歓迎の意を表した。

 イギリスの今後の課題は、DBESの適正な運用はもちろんのこと、長期にわた
り失った市場をどのように回復していくかである。特に最初の1年間は近隣の主要
貿易相手先であるフランス、ベルギー、オランダなどを中心に輸出されるものとみ
られている。

 一方、98年11月から99年8月1日までの予定で輸出が禁止されてきたポル
トガル産の牛肉については、BSE発生率が高いことに加え、と畜場の監視が十分
でないなど牛肉および骨粉の管理体制の不備を理由に2000年8月1日まで輸出
禁止を延長すべきと提案されている。そのほか、ポルトガル政府からは、同国内で
の処分能力が小さいことからそれを補うために牛肉および骨粉を他の域内国で最終
処分するための輸出要件設定ならびに食品や飼料へ使用されないとの条件下での闘
牛(生体)の域内国への輸出許可が提案されている。これら3提案については、常
設獣医委員会の見解を待って、正式に決定される見込みである。


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