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合弁事業に取り組むタイ乳業界



【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 5月27日発】タイで乳飲料の販売シェアが
業界第2位のダッチ・ミル社は、子会社のデーリー・プラス社との合弁事業を第3
位のネスレ社に働きかけている。乳業界では、これが成功すると第1位のフォア・
モースト社に直接影響するとみており、その動向を注目している。

 タイ乳業界では、販売不振による乳製品価格の引き下げ競争が常態化している。
また、乳業各社は、経済危機の影響で資金が不足するなど、これまでのような企業
経営が通用しない難しい局面に遭遇している。

 こうした状況下で、牛乳を含めた乳飲料の販売シェアが業界第2位のダッチ・ミ
ル社は、付加価値を高めた乳製品市場を開拓するためにデーリー・プラス社(以下
「プラス社」という。)を設立するとともに、乳業工場の増設などで取扱高の維持
を図ってきたが、その販売シェアは低下していた。

 このため、ダッチ・ミル社は、プラス社の先端製造システムを有効に活用して、
将来に向けた新乳製品の市場開拓を合弁事業により有利に行うとともに、経営合理
化を一層推し進めるために、多くの企業に合弁を持ち掛けていた。この中で、同社
は、第3位のネスレ社と新製品などへの考え方に相通じるものがあったため、最も
合弁事業の可能性の高い企業として選定し、積極的に働きかけている。

 同業界では、ダッチ・ミルグループの広報および販売促進を一手に引き受けてい
る関連企業の責任者が、合弁の詳細については話すことができないとしつつ、これ
を否定しなかったことからその可能性は高いとしている。また、業界では、この合
弁が成功すると第1位のフォア・モースト社に直接に影響するとみており、その動
向を注目している。

 なお、同社は、合弁事業の実施により生産された新製品を10代の若者をターゲ
ットにした戦略と考えている。

 一方、ダッチ・ミル社は、低温殺菌牛乳、ドリンクヨーグルトなどの販売シェア
回復を図るために、販売促進費として1億バーツ(1バーツ=約3.4円)を使用
した結果、99年第1四半期の低温殺菌牛乳の販売高は、前年同期に比べ2倍の伸
びとなった。しかし、同社のチルド乳酸菌飲料の販売シェアは74%と安定してい
るが、今後とも成長が見込まれるUHT乳酸菌飲料(室温流通可能)では、シェア
が60%から45%に低下している。

 今後は、広報宣伝費を増額することでシェアの回復を図るとともに、企業合弁を
前提として、販売戦略の見直しを行うとしている。なお、UHT乳酸菌飲料の他社
のシェアは、アイビ社およびネスレ社がそれぞれ22%および17%となっている。

 ちなみに、業界によると、牛乳および乳飲料全体の販売総額は260億バーツと
見積もられ、そのうち、第1位のフォア・モースト社の販売総額のシェアは19.
6%、第2位のダッチ・ミル社が同13.6%、第3位のネスレ社が同11.7%
となっている。また、種類別では高温殺菌牛乳の市場全体に占めるシェアは、昨年
の44.2%から40.2%へ減少し、対照的に乳酸菌飲料および豆乳のシェアは
29.5%、11.7%から32.9%、13.4%にそれぞれ拡大している。


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