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米・加、EU・ベルギー産鶏肉等の輸入を禁止



【デンバー駐在員 本郷 秀毅 6月10日発】ベルギー産鶏肉・鶏卵などの一部
からダイオキシンが検出された問題で、米国は6月3日、EU全15ヵ国からの鶏
肉、豚肉およびそれらの製品の輸入を禁止すると発表した。また、カナダは、ベル
ギー産の家きん肉、卵、豚肉、それらの製品および家畜飼料に加え、牛肉および乳
製品にも輸入禁止措置を拡大した。

 ベルギー政府が5月28日、同国産の鶏肉・鶏卵から高濃度のダイオキシンが検
出されたとして、小売店に対して国産鶏肉・鶏卵の販売を中止するよう指示したこ
となどを受けて、米農務省(USDA)は6月3日、EU加盟全15ヵ国からの鶏
肉、豚肉およびそれらを含む製品の輸入を禁止すると発表した。併せて、本年1月
以降に輸入された製品を検査し、追加策が必要かどうかを検討するとしている。

 また、米保健社会福祉省・食品医薬品局(FDA)は6月4日、ベルギー産の家
きん肉および卵製品について、同局検査官による厳密な調査検討に付すため、検査
・保持を命ずる輸入告示を発布した。この結果、検査官による安全が確認されるま
での間、ベーカリー製品、マカロニおよびヌードル(パスタ)、卵および卵製品、
ソースおよび香辛料、カスタード・プリン・ミックスの輸入が禁止されることにな
った。同局筋によれば、乳製品を対象に含めるかどうかについては、16日までに
決定する見込みである。

 グリックマン農務長官は、今回の措置は消費者の安全を守るための予防措置であ
り、EUによるホルモン投与牛肉の輸入禁止措置に対する報復措置ではないとして
いるものの、輸入禁止措置の対象について、EU全体を包含することとしたことか
ら、EU側からは非難の声が上がっている。

 こうした米国政府の動きに対して、アナリストは、今回の輸入禁止措置はEUに
対する貿易上の武器として、米国に目的遂行の手段を与えるものだとしている。ま
た、他のアナリストは、牛肉に残留するホルモンに対する恐怖は科学的には証明さ
れていないのに対して、ダイオキシンに発がん性があることは多くの証拠によって
確認されており、EUによるホルモン投与牛肉の輸入禁止措置に米国が対抗する絶
好の機会であるとして、相互の関連性を予測している。

 今回、輸入禁止の対象となったEUからの豚肉・豚肉製品の輸入額は、昨年実績
で年間2億5千万ドル(300億円:1ドル=120円)であり、家きん製品の輸
入はわずかであるとされている。

 一方、カナダ食品検査庁(CFIA)は6月3日、ベルギー産の家きん肉、卵、
豚肉、それらの製品および家畜飼料の輸入を一時的に禁止すると発表した。併せて、
ダイオキシンなどの禁止物質を含んでいる可能性のあるベルギーおよび他の国々か
らの輸入食品を特定し、必要な措置を講じるとしている。

 翌6月4日、CFIAは輸入禁止措置の対象を牛肉、牛肉製品および乳製品にも
拡大すると発表するとともに、消費者に対して、ベルギー産のこれら産品を含む食
品を食べないよう勧告した。その具体的な例として、CFIAは、マヨネーズ、ケ
ーキおよびペストリー、パン、パスタ、ミルク・チョコレートなどを挙げている。


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